Jumbo-Vismaのギャンブル？2021ツール・ド・フランスの第15ステージの作戦について

昨夜のツール・ド・フランス第15ステージでは、Jumbo-Vismaの大胆な作戦が功を奏した。同ステージの結果については感想記事「アメリカとサングラス。2021第15ステージの結果と感想」を見てもらいたい。

また第15ステージのハイライト動画はこちらをどうぞ。

この日の成果について、チーム公式サイトでクライマーのステフェン・クラウスヴァイク（Steven Kruijswijk）が次のように述べている。

“We wanted to go for the stage win today, but also protect Jonas. If we made sure we were in front of Jonas, we could always wait. In the end it all fell into place. The ride over the Ventoux and this stage victory ensure a high morale in the team. It says something that, despite the fact that we are only racing with five people, we can still race like this. We’re in good shape. It is a pity that we didn’t succeed in our main goal with Primoz, but we got back on track.”

訳「チームとしては今日はステージ優勝を狙うとともに、ヴィンゲゴーも守るつもりだった。もし、ヴィンゲゴーが遅れていれば彼を待つためにみんな下がる予定だった。最終的には全てが予定どおりにいったわけやけどね。「ダブル」モン・ヴァントゥの優勝と今日の優勝でチーム内の士気は高い。うちは5人しかもういないけど、こんなふうにやれるんだというのを示してるようなもんやね。チームとしてはいい感じ。当初の最大目標だったログリッチの総合優勝はできなくなったが、それでもチームとして息を吹き返したのよ」

今日のJumbo-Vismaの作戦はかなり大胆なもので、なかなかのギャンブルと言えた。普段はあまり見ない作戦だった。

というのももう同チームには5人しか選手が残っていない。そのうちクス、クライスヴァイク、ファン・アールトの3名が逃げに乗り、後方で今のエースであるヴィンゲゴーを守るのはクラシック・スペシャリストのマイク・テウニッセンだけという状態。

もしヴィンゲゴーになにかあれば逃げ集団から下がってアシストに戻る作戦だったとはいえ、なかなかリスキーな作戦だったのではないか。

ただ実際には上クライスヴァイクの言葉どおり、全てが完璧にシナリオどおりに動いた。

逃げにのったファン・アールトは山岳賞ポイントも次々に獲得し、山岳賞争いでも1位のワウト・ポエルス（Wout Poels）に対して10pt差に迫り、3位のナイト・キンタナとはポイント数で並んだ。

そしてヴィンゲゴーがトラブルで遅れることもなく、逃げの3名からクスが優勝。最後の下りではファン・アールトがヴィンゲゴーのために後方に下がり、彼を連れてゴール。

まさにJumbo-Vismaが描いたシナリオが全て上手くいった、パーフェクトな1日となったと言える。