ツールの裏の主役?2つの薬物ケトンとドーピングのAICAR
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情報源:Anti-doping labs on alert as powdered Aicar reported in Tour de France peloton
今年のツール・ド・フランスでは2つの薬品?食品?が、影で話題になっている。
1つは、Ketone(ケトン)という化学物質を含有したサプリメント。これは2018年のツールのおいて全22チーム中7チームが使っていたとされる。
参考:Questions raised over use of ketone ‘miracle drink’ at Tour de France
そしてもう1つはAicarという物質。AI-Car(人工知能車)ではなくて、アカデシンという物質。PeriCor Therapeuticsが開発したアデノシン制御剤らしい。よくわからん。
2019ツールと2つの薬物
①Ketone
まずはKetone(ケトン)のほうやけど、これは完全に合法。
世界アンチドーピング機構であるWADAの違反薬物リストにも載っていないし、現状の研究結果では特にこれといった負の側面は確認されておらず、完全にシロ。完全に合法。
ただ、チームSunwebのチームドクターは、「別になんのメリットも効果もないで」と言うてる。
プラシーボ効果はあるかもしれへんね。わりと長丁場のレースではそういうちょっとした「精神的な健康」のほうが大事やったりするから、心理面での安心感があるなら、それはそれでOKのような気もする。
で、問題は次のAicarのほう。
②Aicar(アカデシン)
このアカデシンについては完全にアウト。上記Wikipediaにもこう書いてある。
2009年にブリティッシュ・メディカル・ジャーナルは、世界アンチ・ドーピング機関がツール・ド・フランス2009の出場者がこの物質を使用した証拠を発見したと報じた
こういった過去の経緯を受けて、違法な薬物として2009年にドーピング認定されているものでもあり、現代の薬物使用に厳しいロードレース界で二度と使われることはないだろうと思われていた。
しかし、なんとアンチドーピング組織の捜査官や専門家によると、今日になって影でこっそりこのアカデシンがロードレースで使われているかもしれないとの疑いが出てきたもよう。Aicar is back!
なんでアカデシンが再び歴史の裏舞台に戻ってこようとしてるのか?明確な理由はまだ不明やけど、いくつかアカデシンの利点がある。
まず、インターネットで購入が容易であること。5mgで約€70ほど。日本円で約8500円。
次にその劇的な効能。上Wikipediaにはこう書いてある。研究者は次のようなことを発見した。
体内の速収縮筋繊維を、より効率のよい脂肪燃焼性の遅収縮筋繊維に変換することによって、持久運動のパフォーマンスが大幅に改善
(マウスに) 投与して運動させた時に発現する遺伝子の40%が活性化
よくわからんけど、ポン中作家の坂口安吾先生の言葉を借りると、「とにかく、きく」( 坂口安吾「反スタイルの記」より)。3倍界王拳みたいな感じ?
綜合ビタミン剤?いいえ違います。完全にアウトです。
3つめの理由としては、その性質。そもそも人間の体内で生成される物質であり、検査では人工的に作られたものなのか(薬物摂取によるものなのか)どうか、もともと体内にあったものなのかが判別しにくい。
4つめの理由としては、使いやすさ。水の溶けやすく、コーラやスポーツドリンクでもよく溶けて水分補給時に摂取しやすい。
こういった「非常に実用的な」メリットがある。だからこそ禁止薬物リストに入ってたわけで。それがなぜ最近になって再び使われ始めているとの噂がプロトン内であるのか、その確かな理由は不明やけど、やはり発見されにくいという点が大きいのかもね。