パワーメーターの問題点・弊害。トレーニングで注意すべきこと
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プロはもちろん今ではアマチュアでもパワーメーターを使った科学的トレーニングというものがすっかりと一般的になっている。
一方でパワーメーターによってレースがつまらなくなるなどの批判は今でもあり、ロードレースファンの中でもレースでは使うなという考えの人もいるだろう。
実際、イタリアのProTeam(プロコン)のVini Zabù-KTMは、レース中のパワーメーターと心拍モニターの使用を禁止した。それはあまりにもそれらの画面に固執しすぎたり、数値を過信しすぎることで、「レースの流れ・展開」を読む能力が劣化し、勝利のチャンスを逃すことを防止するためである。
では、レースではなくトレーニングでパワーメータを使うべきなのか?パワーメーターを使うことの問題点とは?
情報源:Should you use a power meter during training? Here’s what the experts say
パワーメーターの弊害
情報源記事では次の4つのデメリットが書かれている。
- 問題点1:自分自身を信用できなくなる
- 問題点2:自分の肉体やバイクの調子を理解できなくなる
- 問題点3:楽しめなくなる
- 問題点4:価格が高い
以下、問題点1と2だけ軽く説明しておく。
問題点1:自分自身を信用できなくなる
まず問題点1のパワーメーターを使うと、自分自身を信用できなくなるという点については、今年のツール・ド・フランスで伝説的逆転劇を演じたタデイ・ポガチャルを思い出すとわかりやすい。第20ステージのタイムトライアル後半の一番重要な区間(登り区間)で、ポガチャルはパワーメーターなしで走りきったのである。自分の感覚だけを頼りにし見事に圧倒的な最速タイムを実現した。
また女子のTT王者Chloe Dygertも、今年の世界選手権タイムトライアルではパワーメーターなしで走り優勝。世界王者に輝いた。彼女はインタビューで、「パワーメーターを使わなかったことが最大の要因だった」と述べている。
問題点2:自分の肉体やバイクの調子を理解できなくなる
次に、問題点2である。これは問題点1とも関係しているが、パワーメーターの数値だけを信用し、ただそれだけを好不調の絶対的基準としてしまうことで、肉体と精神の両方の疲労の蓄積や、数値に現れないダメージを無視してしまうということである。
本当は心身ともに疲労がたまっているのに、数値だけは良い、あるいは数値も悪いため余計に必死にトレーニングを行ってしまう。数値を更新または維持しなければいけないという強迫観念に憑りつかれてしまう。
そうなれば蓄積された疲労がいつか限界を迎え、怪我や鬱病、あるいは集中力の欠如による落車などが発生する危険性がある。
またバイクの調子(メカやホイールなど)が悪いからデータが悪いのに、それを無視してパワーを追い求めると、機材の不具合がやがて走行中の落車につながることもある。
まとめ
ようするにパワーメーターにもメリット・デメリットがそれぞれあるから、毎日毎日病的にワット数を追い求め、パワーメーターばかりを眺めるトレーニングではなく、ときどきはそれを外して心身に耳を傾け、自由に走ることも重要だということである。
よく言われるように、手段が目的と化すのはよろしくないということである。
なぜロードバイクを買ったのか?パワーメーターを使うためでも、ワット数を稼ぐためでもないだろう。より自由に、より遠くへ、自分の足でまだ見ぬ景色を見たいからだろう。その景色がパワーメーターの画面では寂しすぎる。
使うときは目的とゴールを決めて使い、それ以外の場面では使わずに自由に、自分の感性・感覚のままに走る。この両立・バランスが本当に自転車を楽しむために、強くなるために必要なのである。
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