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なぜ2021年の最新バイクが値上げされるのか?

値上げの理由は、東レの最新カーボン素材、アジアの工場の技術力向上、コロナ、英国のEU脱退・・・

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少し前に、スペシャライズド(Specialized)などが一部の製品を値上げするという情報を紹介した。

そして、海外の市場でも特にハイエンドモデルの多くでいわゆる「100万円オーバー(※為替どうこうは考慮しない)」となるバイクが増えている。

それでは一体なぜ2021年モデルでそのような値上げが起こっているのか?

情報源:Why do so many 2021 bikes cost upwards of £10,000?

要因1:東レの最新兵器カーボン「MXシリーズ」

2018年、世界最高峰のカーボンメーカー、東レが全てのカーボンを過去に追いやる秘密兵器を発表した。それが、トレカ®MXシリーズである。

このMXシリーズ最大の特徴は、本来矛盾する強度と弾性という2つの重要な要素を高い次元で両立させたことにある。

それまで東レは、強度を重視する場合はカーボン炭素繊維T1100Gを、弾性を重視する場合はトレカ®MJ(MXじゃなくてMJ)シリーズを、というように用途に応じた使い分けを提案してきた。

しかし、それら2要素をハイレベルに両立させたMXシリーズは、高い弾性率を維持したまま強度を30%向上させたとんでもない素材となっている。

この最新兵器ともいえるMXシリーズのうち、MX40と呼ばれるカーボンは、実はキャニオンの最新モデル(2021モデル)のUltimate CFRに使われている。このMX40により、同バイクは高い剛性を確保しつつ軽量化を実現。

そしてこの最新素材はスペシャライズドなど多くの他ブランドにも提供されている。バイクのスペック表には記載がされていなくても、中身はこの東レMXシリーズというものもあるだろう。

このMXシリーズの価格がこれまでのカーボン素材よりも高価になっている可能性がある。

そして最新の素材であるがゆえに、それを使った製品作りにも、繊細な配慮、高度な設計力・技術力が必要とされる。これまでよりも緻密な設計・計算・生産工程が必要位となるのである。これは製造コストの増加を生じさせる。

以上より、MXシリーズの素材価格、そして製造コストという2点で末端の製品価格上昇につながっていると考えられる。

要因2:アジアの工場との力関係の変化

言うまでもなく自転車産業界の心臓はアジアである。たとえハイエンドモデルであってもアジア各国にある工場がほとんどの自転車や各種のパーツを生産している。

では、なぜ世界中のブランドがアジアの工場に生産を委託するのか?

安いから?

それは違う。理由は、アジアの工場が有する技術力の高さである。情報源記事で関係者はそう述べる。

たしかに最初は安さが大きな理由だったかもしれない。だが、長年の生産活動により蓄えられた知識、経験、工夫、設備、資金・・・それら全てがアジアの工場の技術力を大きく向上させた。

この最高峰の生産技術能力が、アジア各国の工場に強い価格交渉力を持たせた。極論すれば、アジアが断れれば、欧米は死ぬ。力関係が変化したのである。

またアジアの工場も環境技術の採用など、付加価値をつけた生産技術をアピール。環境に敏感な欧米の価値観に合うような製品づくり、設備投資を行うことを理由に価格を釣り上げることができる。

このような高い技術力・生産力を背景にしたアジアの工場と各ブランドとの力関係の変化が末端価格の上昇につながったと言える。

要因3:コロナとBrexit(ブレグジット)

その他の要因としては、コロナ禍における生活様式の変化や、労働者の一時的解雇により、ロードバイクやMTBなどを購入する人間が増えたこと、つまり需要が大きく増えたことが挙げられる。

だが突然の需要に対応できるだけのシステムは当然に小さな自転車産業界にあるわけはなく、またコロナ禍ということで各地の工場や会社も休止しているなか、そのような需要に応じて生産量をいきなり増やすのは不可能だった。

需要に生産が追いつかなければ価格はあがる。

また、日本には直接関係はないだろうが、英国市場では英国のEU脱退がやはり各種のコスト増大(不安による備えも含めて)があったもよう。

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3 comentarii

  1. 強度30%向上!?
    凄い技術力ですね > MX
    それくらいスペックが上がればFEM解析なんかもぜーんぶやり直しでしょうけど、設計技術者にすれば腕が鳴る素材といえますね。

    • もちろん釣り竿のロッドもすでにMXシリーズを搭載しているブヒ。
      ロードバイクのフレームよりも、釣り竿のほうがその違いを実感できるかも??

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