奇襲成功!?2021ジロ第20ステージの結果
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泣いても笑っても今日の第20ステージでジロの山岳ステージは終わり。明日はいよいよ最終日の個人タイムトライアルのみ。ベルナルの王座は安全圏のまま最後の山岳ステージだが、注目はサイモン・イエーツ vs ダミアーノ・カルーゾの総合2位争いだ。
第20ステージのコース
登場する山は全て1級山岳というヤバイステージ。2つ目の山を終えての下りも危険な香りがする。そして下り終えてからの最後の山で決着がつくだろう。
バーレーンがまさかの奇襲攻撃!?
残り50㎞あたりで、逃げ集団に大きな転機が訪れる。
まずこのようにチームDSMがエースのロマン・バルデを連れて合流する。ステージ優勝を狙うのと、そしてあわよくば表彰台を狙うか?
総合3位になるには4分差をひっくり返す必要があるが、展開次第で可能性はゼロとは言えない。また、仮にそれが不可能でもバルデの上にいるウラソフとのタイム差を逆転させることは可能なレベルだ。
だがブタは次の画面に驚いた。
なんとバーレーンが先手を打ってきた!ビルバオがカルーゾを連れてこの逃げに合流してきたのだ!うおおおお!!
まだ50㎞もあるのに!これは熱い展開!
イネオスとベルナルにしてみれば、カルーゾとのタイム差はまだまだ安全圏。無理に急いでカルーゾを追う必要はない。また仮にカルーゾからタイムを奪われてもある程度ならば痛くない。そもそも明日のTTでもベルナルのほうが強いだろう。それになんといってもチーム力が違う。
よってイネオスはあまり慌てる必要がない。
慌てるのはサイモン・イエーツとバイク・エクスチェンジだろう。なにせイネオスにペースづくりを任せてのんびりしていると、カルーゾにタイム差をつけられてしまうおそれがある。せっかく昨日タイムを奪ったのに。
もちろんバーレーンはそれを狙ったのだろう。完全にバイク・エクスチェンジを出し抜き、有利な展開に持ち込んだ!
そしてカルーゾとバルデはアシストとともに最後の1級山岳へ。
Uno de los momentos del Giro. Caruso, gregario de Landa y Bilbao en este Giro, pero que asumió con una clase gigante el liderato de su equipo ante los problemas, le agradece a Pello el trabajo tremendo que hizo por él.
— Thomas Blanco (@thomblalin) May 29, 2021
Ha estado en las dos pieles. pic.twitter.com/9WdVJJE3zb
これまで献身的に尽くしてくれた相棒のビルバオに感謝を伝えるカルーゾ。おそらく本人もこれでさらに気合が入ったのではないか。エースとして絶対にビルバオの働きを無駄にできない!
カルーゾはバルデと二人でゴールへ突き進むが、やがてバルデが遅れていきカルーゾの独走へ。
そしてその後方ではいつものようにイネオスの最終アシストのダニエル・マルティネスがベルナルを引き連れ、登りでカルーゾとの差をつめていく!そこにジョアン・アルメイダとサイモン・イエーツがついてく。
だが残り1.5㎞をきると・・・
サイモン・イエーツが遅れる!昨日強さを見せたばかりなのに・・・
そしてこのあとダニエル・マルティネスからついにベルナルが発射。アルメイダも結局ついていけずじまい。
逃げるカルーゾと追うベルナル。ベルナルとしてはカルーゾに負けてもまだまだ余裕のタイム差。本気でステージ優勝を狙う追撃なのか、それとも単に必要以上のタイム差を奪われないようにするだけの加速なのか・・・
そんな最後のゴールの動画はこちら。
A vitória de Caruso na 20° etapa do @giroditalia #giro #giro2021 #giro104 #ciclismonaespn pic.twitter.com/xCrLu0bvMZ
— País do Ciclismo (@DoCiclismo) May 29, 2021
カルーゾの、いやバーレーン・ヴィクトリアスというチームの勝利!
しかもカルーゾは中間スプリントもとっているため、数秒だがボーナスタイムも確保している。
33歳のカルーゾはこれまでグランツールでチームTT以外にステージ優勝がなかった。そういう意味では実質的に彼個人の初めてのグランツールでのステージ優勝といって良いだろう。
カルーゾは2014年にブエルタ・エスパーニャで総合9位フィニッシュというものがあるが、それ以外はここまでグランツール表彰台争いにはあまり絡んでいなかった選手。そしてすでに33歳。
だが昨年のツール・ド・フランスで総合10位フィニッシュ。そのとき彼の中で何かが再び目覚めたのかもしれない。32歳で何かが覚醒したか?
そして今年ついにこの偉業だ。さすがにベルナルを逆転するのはもう99.9%不可能だが、サイモン・イエーツからタイムを奪うことに成功したので、総合2位をキープできる可能性は非常に高くなった。サイモン・イエーツは決してTTが強いわけではないので、明日のサイモン・イエーツとの激突でもかなり有利になったといえるだろう。
もう今日のバーレーン・ヴィクトリアスは見事としかいいようがない。
今日のステージの結果は次のようになった。
カルーゾは昨日サイモン・イエーツから奪われたタイム以上の差をつけることに成功。昨日の段階で20秒差近くまで迫られたが、今日は50秒以上の差をつけることに成功。
しかも上述のように中間スプリントでもボーナスタイムを、そしてステージ優勝によるボーナスタイムも加えて、対サイモンで大きく優位に立った。
そして今日の結果を踏まえて総合順位は次のようになった。
総合順位トップ15と各賞ジャージ
順位 | 選手名 | チーム | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|
1 | Egan Arley BERNAL GOMEZ | INEOS GRENADIERS | 85:41:47 | 00:00 |
2 | Damiano CARUSO | BAHRAIN VICTORIOUS | 85:43:46 | 01:59 |
3 | Simon Philip YATES | TEAM BIKEEXCHANGE | 85:45:10 | 03:23 |
4 | Aleksandr VLASOV | ASTANA – PREMIER TECH | 85:48:54 | 07:07 |
5 | Romain BARDET | TEAM DSM | 85:49:35 | 07:48 |
6 | Daniel Felipe MARTINEZ POVEDA | INEOS GRENADIERS | 85:49:43 | 07:56 |
7 | Hugh John CARTHY | EF EDUCATION – NIPPO | 85:50:09 | 08:22 |
8 | João ALMEIDA | DECEUNINCK – QUICK-STEP | 85:50:37 | 08:50 |
9 | Tobias S. FOSS | JUMBO-VISMA | 85:54:26 | 12:39 |
10 | Daniel MARTIN | ISRAEL START-UP NATION | 85:58:35 | 16:48 |
11 | George BENNETT | JUMBO-VISMA | 86:06:42 | 24:55 |
12 | Koen BOUWMAN | JUMBO-VISMA | 86:12:51 | 31:04 |
13 | Pello BILBAO LOPEZ DE ARMENTIA | BAHRAIN VICTORIOUS | 86:17:58 | 36:11 |
14 | Lorenzo FORTUNATO | EOLO-KOMETA CYCLING TEAM | 86:25:56 | 44:09 |
15 | Attila VALTER | GROUPAMA – FDJ | 86:26:38 | 44:51 |
マリア・ローザ(総合首位) | Egan Bernal |
マリア・チクラミーノ(ポイント賞) | Peter Sagan |
マリア・アッズーラ(山岳賞) | Geffrey Bouchard |
マリア・ビアンカ(ヤングライダー賞) | Egan Bernal |
ついに最終日:第21ステージのコース
明日(最終日)の個人TTはこのようにほぼほぼド平坦。総合上位勢の中ではアルメイダが一番TT能力が高そうだが、ベルナルも決して弱くはない。カルーゾも無難にまとめることができれば総合2位はキープできるはず・・・
一方でステージ優勝の大本命はやはり世界王者フィリッポ・ガンナだろう。今日はちょっと早めに仕事を終えた感があるのは、明日への調整のためか?
見事でしたねバーレーン!
引きを終えたビルバオの背中ポンポンしたカルーゾの姿にもグッとくるものがありました。
後はTT残すのみですが、今年のティレーノ〜アドリアティコでのTTだと
カルーゾ/52秒遅れ(46位)
ベルナル/55秒遅れ(53位)
サイモン・イエーツ/59秒遅れ(64位)
なんですよねぇ。さてさてどうなるか、見逃せないですね。
だいたいそのとおりになったブヒね。
ベルナルは限界まで追い込んで走ってたというよりはミスしないよう走っていたような感じがしたブヒ。
ベルナルとイエーツはまぁ来年もこれまでどおりとして(?)、個人的には来年カルーゾがどうするのか、チームが彼をどう扱うのかそこらへんに興味があるブヒね。