手のひらサイズの風洞トンネル?リドル・トレックが使う秘密兵器Aerosensor。抗力係数をリアルタイム測定できるシステム
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F1などで使われる風洞トンネルをロードバイク開発やトレーニングでも使うことが当たり前になった現代だが、風洞トンネルを使うには大金が必要。もちろん専用のそれを保有するならなおさらだ。自転車メーカーでも自社で専用の風洞トンネルを持っているのはおそらくスペシャライズドだけだろう。
そんな高コストな風洞トンネルだが昨今のエアロ効果重視というトレンドにあわせた開発・トレーニングには必要不可欠なものと言えるだろう。
だがアメリカのワールドチームであるリドル・トレックが、今年から「手のひらサイズの風洞トンネル」ともいえる秘密兵器、「Aerosenso(エアロセンター)」を使っていることを明らかにした。チームの投稿を見てほしい。
The technology of a wind tunnel in the palm of your hand!
— Lidl-Trek (@LidlTrek) January 18, 2024
Introducing @aerosensor, Lidl-Trek’s aerodynamic ally 🤝https://t.co/aFmwBvaR0k
Aerosensorとは?
公式サイト
製品PV
概要
Aerosenorは3つの意味を持つ。1つは会社名としてのもの。創業者はもともとF1のエアロ性能を研究するスペシャリストだったBarney Garrood博士。
そして残り2つの意味は、システム名でもあり製品名でもあるこいうこと。
システム名としてのAerosensorはまさにエアロ効果をリアルタイムで測定し、抗力係数aerodynamic drag coefficient:CdA)を計算するシステムのことで、どのような条件下でどのようなポジションで走ればどのようにエアロ効果が変化するのかを測定できる。まさに風洞トンネルでの実験の代わりとなるものと言える。
そしてロードバイクにおいてそのシステムを支える製品が主に2つ。1つはまさに製品名としてのAerosensor。これはリアルタイムで抗力を測定するデバイス。そしてもう1つがAerobodyというデバイスで、これはレーザーを使ってリアルタイムで選手のポジションを把握するもので、1mm単位でポジションを最適化させることを担うデバイスだ。
測定センサーとしてのAerosensorが、バイクのスピード、パワー、そしてそのAerosensorが測定した抗力という3つのデータを総合してサイコンと連携する。そしてAerobodyが乗り手のポジションを把握し、この2つのデバイスによってどのようなポジションならばどのようにエアロ性能が変化するのかがリアルタイムでわかるようになるというわけだ。
さてこのAerosensorシステムだが、導入するにはまずAPI レベルが3.1.0以上のGarmin Edgeが必要となっている。それ以外のサイコンではどうなるか不明。
また製品としてのAerosensorには、ANT+に対応するスピードセンサー、ケイデンスセンサー、パワーメータの3つが必要となる。
Aerosensorシステムは上公式サイトで購入可能で、この記事を書いている時点でAerosensorは¥137,200、Aerobodyは¥58,900となっている。
リドル・トレックにとっての利点
チームはこのシステムを12月のトレーニングキャンプでも試していたが、上述Barney Garrood博士は、高額な風洞トンネルを使うことなく、このAerosensorによっていつものトレーニングライドや普段のレースの全てが選手のエアロ効果をテストできる場となり、常にエアロ効果を検証し選手のパフォーマンス向上に役立てられると話す。