なぜトレック・セガフレードはSRAM Red eTap AXSのフロントリングを大きくしたのか?54-41Tを使用。
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情報源:Bigger chainrings for Trek-Segafredo, but not for the usual reasons
SRAMが去年発表した最新の電動ワイヤレスコンポRed eTap AXS。12速の電動化、そしてリアスプロケットに10Tという新しい最小ギアが用意された。
10Tの登場によりフロントリングを大きくしなくても最大速度が上がるため、ちょっとした軽量化になるとも考えられる。ただ、長くなったチェーンや、大きくなったプーリーの機構などを考えると軽量化という点ではさほど意味はないか。
そんなSRAM Red eTap AXSを去年から使うワールドツアーチームの1つがトレック・セガフレード。アメリカンコンポにアメリカンバイク。だが、同チームは去年からちょっと同コンポを使う他のチームとは異なる点があるらしい。それは、フロントリングの大きさ。トレック・セガフレードは通常使われるフロントリングよりも大きなサイズのものを使っているもよう。
トレック・セガフレードの仕様
Four days. That’s all it took for Trek to turn around Mads Pedersen’s custom Project One Madone as spoils for becoming the male road racing champion of the world. https://t.co/jOP0x4l1TU pic.twitter.com/Xfa4AWU6I0
— Cyclist (@cyclist) January 14, 2020
SRAM Red eTap AXSがプロチームで使われる場合は、普通はフロントが50-37Tで、リアは10-28Tまたは10-33Tとなっている。る。この10-28Tや10-33Tは、それぞれこれまでの伝統的な(?)なスプロケでいうところの11-31Tと11-36Tに相当する。今年からSRAMを使うことになったMovistarもこの仕様である。
ところが、トレック・セガフレードはフロントリングに54-41Tという通常よりも大きなギアを採用しているもよう。
なぜトレック・セガフレードは違う仕様なのか?
では、なぜトレック・セガフレードは他チームと違う仕様になっているのか?それはおそらく次の2点を考慮した結果のものだと推測される。すなわち、
- チェーンの摩擦によるパワーロスの増大
- ワイドレイシオによる非効率性
最初のパワーロスという点では、以前に大手メディアVelonewsが48x10Tという組み合わせと53x11Tによる組合せでワット数の違いを実験したときに、前者のほうがより非効率的、すなわちより多くのパワーロスが摩擦により発生しているという結論になった。250ワットで走るときには、48x10Tのほうが6ワット余計なパワーが必要となるという結論。10Tは不利となる。
またワイドレイシオという点では、最小の10Tまたは11Tを使う場合は9%または10%のギア比の変化だが、通常の普通のスプロケでそれらに相当するギアへ変速する場合のギア比は8%または9%という変化。つまり、10Tを使うときのほうがギア比の変化が大きい。
こういった点はアマチュアやワシのようなゆるポタ勢には全く関係のないレベルの話ではあるが、毎日毎日高出力で何時間も走り続け、しかもトップレベルの争いをし続けるプロ選手にとっては非常にストレスのたまるものだと考えられる。
そこでおそらくトレック・セガフレードは10Tを使わなくてすむように、フロント側のギアを変更という作戦に出たのかと推測される。
仮にMovistarと同様にSRAM Red eTap AXSの標準仕様(?)である50ー37Tを使うならば、50x10Tでギア比は5。一方で、トレック・セガフレードが使う54-41Tで最小10Tを使わず11Tを使うとしたら、54x11Tでギア比はだいたい「5」を確保できる。
ようするにいちおうはスプロケに用意されているものの、その最小10Tをできるだけ使わないようにしたいという考えかなのか?
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