今年マチューが勝てない4つ理由。春のクラシック(モニュメント)の難しさ
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毎年恒例のロードレースの始まりを告げるツアー・ダウン・アンダーが終わった。Mr.ツアー・ダウン・アンダーの1人であるリッチー・ポート(Richie Porte、トレック・セガフレード)がみんなの期待に応えて見事に総合優勝。これにはファンも「うんうん、やっぱりこうじゃないと」と納得の表情か。
シーズンインしたばかりではあるが、なんだかんだ言うてる間にすぐに春のクラシック(以下春クラ)という時期がやってくる。毎年いつの間にか冬が終わって、「え?もうそんな季節かいな」と思う。おっちゃん・おばちゃんにとって時間が経つのは早い。
そして今年の春クラのモニュメントにおいて最も注目度の高い選手といえば、やはりシクロクロスの絶対王者のマチュー・ファンデル・プール(Mathieu van der Poel。通称MVDP。以下マチュー)。春クラのモニュメント戦線で大暴れする予感がひしひしとする。みんなも期待していることやろう。しかし、今回紹介する記事では、マチューが今年の春クラでは勝てない理由が書かれている。果たしてその予想は当たるか?
情報源:Why Mathieu van der Poel will not win a Monument this season
マチューが今年の春のモニュメントで勝てない理由
理由1、歴史が示すデータ
まず春クラのモニュメントにデビューしたまさにその年にモニュメントで勝てた選手は、1955年にそれを成し遂げたJean Forestier以来現れていないという歴史上のデータがある。Jeanは1955年にパリ~ルーベに初参戦し、見事に優勝した。
また近年においても、春のモニュメントの女神は「おっさん」好きの傾向があると言える。特にパリ~ルーベでは、マット・ヘイマンやフィリップ・ジルベールなど。30歳以上の選手でいえばグレッグ・ファン・ファーベルマートもそう。
理由2、レースの難しさ
次にそもそも春のモニュメントは難しい。ミラノ~サンレモならば300㎞の長距離を8時間近く体力を節約しながら走る知恵と技術が、フランドル(ロンド)ではポジション取りが、パリ~ルーベでもポジション取りやコース取り、アタックするタイミング、そして忍耐が要求される。
これらはやはり実際にレースを経験し知恵を蓄えることが重要。モニュメント初参戦のマチューにはそれらが足りないとも言える。
理由3、スリップストリーム
シクロクロスやMTBと、ロードレースとの大きな違いはこれ。後ろについた選手が圧倒的に有利。
マチューがアタックをしかけても後ろについてこられれば、マチューは後続を引き離さなければならない。しかし、後続を引き離すための労力は、おそらくシクロやMTBよりも大きい。逆にライバルたちはマチューの後ろにだけついていればそれでいい。去年のアムステルゴールドレースのようにゴール前だけならなんとかマチューも先頭で耐えきれるかもしれないが、ゴールから遠ければ遠いほどマチューは苦労が増える。
理由4、チーム力の弱さ
最後にやはりチーム力。去年のフランドルとアムステルゴールドレースで見せつけた強さがゆえに、今年はどのチームもガチでマチューをマークしてくる。もう簡単には自由にさせてくれない。そんなマチューを解き放つにはチーム力が必要。
しかし、クラシック最強Deceuninck-QuickStepや、Bora、Lotto Soudal、Jumbo-Vismaといった強力チームと比べると、どうしてもチーム力は圧倒的に劣る。それらのワールドツアーチームにはモニュメント経験豊富な選手が多い。経験や知恵がチーム内で共有されているはず。去年の世界選では国別対抗であったがために強力なチームを持つことができた。しかし、春クラではそうは行かない。
他チームから本気でマークされるマチューを支えることができるのか?
これらの不利な状況を跳ね返せるか?ただライバルたちがお見合いすれば十分勝機はあると思える。特に、パリ~ルーベでは長距離アタックが最近有効な感じがする。ライバル勢が「まだ大丈夫やろ」と油断してる距離で仕掛けることができれば可能性はある。