グランツールエースのこれからの困難
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少し前に同様にUCIによる改訂版レース日程が発表され、グランツールの開催の日時がひとまずは決まった。(過去記事:【5/5発表分】ツールか世界選か難しい。改訂版2020ロードレース日程について)
また世界各国もロックダウンの緩和に向けて少しずつ動き出している。
加えて先程書いたようにスペインのステージレースのブエルタ・ブルゴスの予定通りの開催(ただし条件付きではある)が発表された。(過去記事:ブエルタ・ブルゴス開催へ)
これらのように中止・延期が相次いだロードレース界にもようやく一筋の光がその長く暗いトンネルの先に見えてきた感がある。
ただレース予定が決まったとしても、特にグランツールでの優勝や総合上位を狙う総合系エースたちには、目標となるレームに向けての準備という点でいくつかのまだまだ困難がつきまとう。
情報源:Altitude camps the next hurdle for grand tour contenders
その困難の1つは、海外からの渡航制限。日本の自転車メディアでも報道されているように、南米の母国へ帰国しているエガン・ベルナルなどがヨーロッパへ戻ってこれないかもしれない。あるいはそれが可能となってもだいぶその時期が遅くなるかもしれない。
そうなるとツール出場メンバー揃っての合同練習やチーム戦略のレッスンなどに悪影響が出るだろう。いくらIT技術が進歩した現代でも、やはり実際に見てみないとわからないというのが人間の体であり、スポーツである。
2つめの困難は、コースの下見ができないこと。
現状、各国はロックダウンの緩和がなされつつあるが、それはあくまで「日常生活」をおくるためのものであって、あらゆる娯楽や、不要不急の何もかもが許されているわけではない。重要な勝負どころとなるコースを下見するための入山もやはりまだ許されていない地域も多いであろう。
そして3つめの困難が、今回の情報源記事でも書いてあるように高地トレーニングができないことである。
この点は2つ目の困難と関係するが、山への移動や入山がまだ禁止されているところが多い。そのうちそれらの制限も解除されるかもしれないが、問題はその時期である。極端な話、ツールの前日に入山がOKとなっても無意味である。
高地トレーニングには一定の期間が必要なため、もしそれを行うならばそのためにスケジュールの調整をしなければならない。ただでさえ過密になった今後のロードレース日程を考慮すると、どのレースをどのように活用し、いつ高地トレーニングに入るか、その結果の確認をどのレースで行うか、などを決定するのはなかなか頭の痛い作業となる。
チーム側や総合エースたちからすれば、できるかぎり早く高地トレーニングが可能となる時期を、そのような山のある自治体や国に定めてもらいたいものだろう。