なぜツール最終日にケヴィン・レザが集団の前にいたのか?
Share your love
ついにツール・ド・フランスが終わってしまった。今から振り返れば、コロナが全世界で猛威を振るい始めた中でツールも中止と発表されたときは仕方ないとわかってはいても誰もが悲しくなったであろう。
しかし、しばらくしてツールは日程こそ変更になるが、ある意味で「強引 に」開催すると発表された。そのときはみんな歓喜しながらも、同時に「そうは言うけど、本当にやれんのか?」という疑念も覚えたと思う。
だが本当にツール・ド・フランスはスタートした。初日のコロナ厳戒態勢の様子と世界中のファンの喜びの様子とが対照的な雰囲気を醸し出していた。だがそれゆえに今年のツールの特別感、そしてツールの影響力というものを世界に実感させた。
ツール・ド・フランスから静かな政治的メッセージ
さて、そんなツールの最終日第21ステージだが、個人的に注目した光景があった。それはこの映像。
黄色の〇と矢印の選手に注目してほしい。これはプロコンチネンタルチームB&B Hotels–Vital Conceptの黒人選手、ケヴィン・レザ(Kevin Reza)である。
最終日のスタートは、まずプロトンの最前列には各賞ジャージが並ぶ。そしてそのすぐ後ろには総合優勝王者タデイ・ポガチャルのチームであるUAE-TeamEmiratesと、ポイント賞ジャージのサム・ベネットのチームDeceuninck-QuickStepが並んだ。
TVに最も映る前列にそれらが並んだ。だがそこに各賞ジャージの選手らとは一切関係のないB&B Hotels–Vital Conceptのケヴィン・レザが並んでいた。スタート直後にそれに気づいて、ワシはこんなツイートをした。
選手の並び方が興味深い。
— ワイアードの豚 (@piginwired) September 20, 2020
各賞の後ろにDeceuninck-QuickStepとUAE。
黒人のケヴィン・レザもその列にいる。TVに目立つ位置にいる。BLM関連だろうか。#TDF #TDF20 #ツール #ツール・ド・フランス #tourdefrance2020#TourdeFrance #ツール・ド・フランス2020 #ロードレース #ロードバイク
どうやらやはり黒人差別(もっと大きくあらゆる差別撤廃)についてのメッセージだったらしい。
情報源:Tour peloton makes small anti-racism gesture, shows support for Kevin Reza
この情報源記事でのインタビューで、ケヴィン・レザは「ASOがそれを許可してくれた」と述べている。つまり、ツールとしてもいわれなき差別はアカンよということである。国際大会であるツールとしては当然であろう。実力のある選手が世界中から集まれば、それらの選手の出身国でもロードレース人気が高まる。それはまさにロードレース界が目指すもの。
別にワシは、それを「スポーツに政治を持ち込むな」とか小難しい理屈を並べてどうこう言うつもりは一切ない。「あぁやっぱりなそうやったんやな」と思っただけ。
ツールからの静かなメッセージである。
白人選手が殆どを締めているスポーツなだけに、こういったスタンスを示さないと非難にさらされるかもしれないからまあいいんじゃないと思うンゴねえ
左右にはっきりわかれる政治的主義・思想ならともかく、万人(少なくとも西側の価値観の国の)にとって共通・重要な価値観をこうやって静かに上品にやるのはOKでしょと思うブヒね。
まぁそれすら許せない原理主義者も多くいそうやけど。