なぜポガチャルはパワーメーターもサイコンもなしで勝てたのか?第20ステージタイムトライアル
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今年のツール・ド・フランスを歴史に残る伝説にした第20ステージの個人タイムトライアル。もちろんその優勝者はチームUAEのタデイ・ポガチャル(Tadej Pogačar)だったわけだが、実はそのときポガチャルはサイコンもパワーメーターもつけていなかった。
恥ずかしながら言われて初めて気づいた。
情報源:Pogacar rode without power meter or computer for La Planche des Belles Filles
タイムトライアルでポガチャルはサイコン&パワーメーターなし
次の画像をみてほしい。たしかにそのハンドルにサイコンがついていない。
サイコンがついていないということは、当然パワーメーターもついていない。つけておく意味がない。
厳密にいえば、その日ずっとつけていなかったわけではない。ポガチャルは山のふもとで一度バイクを交換している。TTバイクからノーマルバイクへ。
その日のスタートしたときに乗っていたコルナゴのTTバイク「K-One」には、Stage社のサイコンとパワメーターもついていた。だが、心拍計(ハートレートモニター)は着用していなかったもよう。
一方で、ログリッチはサイコンがついていた。次の画像を見て欲しい。
🇫🇷 #TDF2020
— Team Jumbo-Visma cycling (@JumboVismaRoad) September 19, 2020
What a fight! We are so proud of you @rogla ♥️#ifeelsLOVEnia pic.twitter.com/ydhB7T5REr
なぜポガチャルはサイコン&パワーメーターを使わなかったのか?
このようにTTバイクにはサイコン&パワーメーターをつけていながらも、後半の山で使ったノーマルバイクのColnago V3RSにはどちらもつけていなかった。それはいったいなぜなのか?
この点につき、チームや本人からの明確なコメントはなく、ただの仮説にすぎないがおそらく「精神的に自由になりたかった」のではないか。
サイコン&パワーメーターなしで軽量化という線も当然あり得るが、それで得られる軽量化とそれらがないデメリットを天秤にかけると、軽量化を優先するほどの効果があるのか微妙なところ。
そこで軽量化とは別の理由が考えられる。それこそが、サイコンやパワーメータの使用が当たり前になり、それらに支配されているといっても過言ではない最近のロードレース界において失われつつある自由な走りだったのではないか。
子供用に無邪気にツール優勝という夢を追いかけた若者の自由な心が、La Planche des Belles Fillesを最速で登る翼を与えたのかもしれない。