今年最も補強に成功したチームは?
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そろそろ今年の移籍市場も終わる時期である。マーク・カヴェンディッシュなどを含めてまだ有名選手でも新契約が発表されていない選手もまだまだいるが、各チームは来年度に向けた選手を確定する時期である。
今年はロードレース日程だけでなく移籍市場もコロナにより大きな影響を受けた。なにせスポンサーの懐事情が厳しく、チーム予算も減少。選手を獲得しようにもそのための資金のやり繰りが例年以上に大変。それは選手側からすれば、移籍先を見つけることがより困難になったとも言える。
そんな特殊な移籍市場の今年で最も成功した熱い補強を成し遂げたのは、ワールドツアーチームではなく、実はProTeam(プロコンチネンタルチーム)のトタル・ディレクト・エネルジー(Total Direct Energie)ではないか?
情報源:Inside Total Direct Énergie’s active moves on the rider market
2018年までチーム状況:ゴリアテvsダビデの物語
同じフランスのライバルチームには、コフィディス(Cofidis)やFDJ(Française des Jeux)といった20年近くロードレースでスポンサーを続ける強力なスポンサーがいた。しかし、トタル以前(2018以前)のディレクト・エネルジーにはそのような強力なスポンサーはおらず、まるで旧約聖書の中の巨人ゴリアテに挑む小さなダビデのようだった。
だがしかし、2019年にフランスの国際的石油会社トタル社(Total)が加わり、トタル・ディレクト・エネルジーとなった。圧倒的な大企業がスポンサーになったと言える。そしてチームの予算が増えた。
今年獲得した選手
チームは今年、ワールドツアーチームから以下の選手を獲得した。
- Edvald Boasson Hagen(NTTから。ノルウェー)
- Pierre Latour(AG2Rから。フランス人オールランダ―。2018年ツール・ド・フランス新人賞)
- Alexis Vuillermoz(AG2Rから。パンチャー。フランス人)
- Alexandre Geniez(AG2Rから。フランス人)
- Victor de la Parte(CCCから。スペイン人)
- Chris Lawless(イネオスから。イギリス人。2019ツール・ド・ヨークシャー優勝)
一方、チームの主力選手であるパンチャーのLilian Calmejaneが移籍してしまうが、それを補って余りあるだけの補強と言えるだろう。現役のワールドツアー選手を6名も獲得できたことはやはり大きな成功であろう。
こういった思い切った補強ができたのはやはり上述のトタル社の支援があればこそである。
ただ、チームのマネージャーJean-René Bernaudeauは、「これはまだ始まりにすぎない」と言う。その先はもちろん、ワールドツアーライセンスの獲得であり、ワールドツアーチーム(WorldTeam)への昇格である。今後数年間でその目標を達成しようと目論む。
そしてさらには、女子版チームや育成チームも作りたいとチームの拡大の夢を語っている。