Omloopの賞金額が男女差別?17倍の差は適切か?
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近年世界中で熱い盛り上がりを見せるのが、差別撤廃運動。人種はもちろん性別による差別も大きな問題となる。
そんな中、先日のOmloop Het Nieuwsbladで優勝した男女それぞれの選手が得られる優勝賞金の額が、性別によって大きく差があるとして問題提起された。一方で主催者側はそれに反論している。
まずは次のインスタグラムを見てほしい。
これは男子の優勝者Davide Ballerini(Deceuninck-Quick Step)と、女子の優勝者Anna van der Breggen(SD Worx)との賞金額の差を示したものだ。
Balleriniは€16000、一方でAnnnaは€930と、約17倍の差となっている。さすがに17倍となると大きな差であると言えよう。
ちなみに、今回のOmloopについては言えば男子版はレースの最上位カテゴリーであるワールドツアーの一部である。しかし、女子版のほうは1つ格下のカテゴリ―のレースとなっている。そのためレースのカテゴリーが違うのだから賞金に差があること、それ自体は普通である。
ただ問題は、完全に差をなくすのか、あるいは差があるとしてその差が適切かどうかである。そして適切かどうかを判断する基準の設定がなかなか難しい。基準ができてもそれをどう運用するのかもまた難しい。
差をなくすとしても、いきなりそれが可能なのかどうかも問題となる。
この批判を受けて、Omloopの主催者フランダース・クラシック側は失望を隠さず、また反論もしている。次のツイートを見てほしい。
Quite disappointed with all the reactions we are getting about prize money after all the financial investments we have continuously made into women’s cycling for years now. #OHN21 #OHNWomen
— Tomas Van Den Spiegel (@tomasvds) March 1, 2021
フランダース・クラシック側の主張とすれば、
- ここ数年は女子レースのほうにも投資を続けてる
- そして今年は初めて女子レースのTV放映を実現させた
- 賞金額の差をなくすことが、女子プロにおける問題の直接の解決にはならない
といったものだ。
さて、おそらく主催者側の主張の中で、今後の女子レース界を占ううえで最も重要な項目は、おそらく女子レースのTV放映であろう。
TVで映ることが多くなれば、人気がでる。人気がでればスポンサーが増える。スポンサーが増えれば、より安定的なチームの運営や選手の生活保障(給料の増額など)が可能となる。そうなればプロを目指す若者が増える。若者が増えれば人気も出る。若いスターが選手がメディアに登場するチャンスも増える。それがまた新たなスポンサーを呼び込むことになる。そしてそれぞれのレースの賞金額も増える。こういった好循環が生まれるわけだ。
たしかに賞金額を同額にするだけでは直接女子プロ界が直面する問題には対処できない。まずTVでの露出を増やすというメディア戦略こそが最優先かつ最重要となろう。
まぁ17倍の差はさすがに大きいかとも思わないでもないが・・・
あと大切なのはなぜ差が生じているのかの説明だろう。今後は主催者側がなぜ賞金額に差が生まれているのか、その差が適切なレベルなのかをきちんと世間に向けてデータ(数字)とともに説明することがより重要になっていくだろう。説明したとしても納得しない人間は一定必ずいるが、説明という行為自体が重要となろう。