雨の超級山岳!2021ツール第9ステージの結果と感想
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昨日の第8ステージでは、タデイ・ポガチャルが「もう今年のツールは終わったな」と思えるほどの強さを見せつけて、ライバルたちを圧倒した。
しかし今日は今大会初の超級山岳が登場するステージ。しかも雨のため低温と下りの危険との戦いともなる。特に雨により低温で肉体のパフォーマンスが下がったり、風邪をひいたりもする場合もある。
はたして雨が波乱を生んだか?
目次
今日のコース
今日は今大会初の超級山岳(HC:Hors catégorie)が登場。レース中盤なので多少遅れても挽回は可能かとも思える。ちなみに標高自体はその直後の2級山岳(1968m)のほうが高いが、そこまで登る距離が少ないので難易度は少し低いという扱い。
ただ雨と低温の状況だと体調を崩す選手も多くなるし、なによりその2級山岳の後の下りが危険になる。大きな落車がないよう祈るばかりだ。
ただやはり決定的な勝負の命運は最後の1級山岳だろう。今日の一番いやらしい点は、その1級山岳の山頂でゴールではなく、そこから2kmほど平坦路があること。登り切るのに力を全て使ってしまうとその平坦路で捕まる可能性がある。なかなか面倒なコース設定だ。
プリモシュ・ログリッチとマチュー・ファン・デル・プールがツールを去る
今日はまず寂しいお知らせから。
🇫🇷 #TDF2021
— Team Jumbo-Visma cycling (@JumboVismaRoad) July 4, 2021
Primoz Roglic won’t start in today’s stage of @LeTour. He suffers too much from his injuries.
Get well soon @rogla 🍀
このようにツール前は絶対的二強として評されていた優勝候補の一人、プリモシュ・ログリッチがツールと別れを告げた。今後チームユンボは、ヨナス・ヴィンゲゴーの新人賞ジャージをキープすること、そしてステージ優勝を狙うこと、この2つに絞って今後闘うことになる。
Thank you for all your kind messages and for supporting @mathieuvdpoel in our (difficult) decision to let him leave @LeTour today!
— Alpecin-Fenix Cycling Team (@AlpecinFenix) July 4, 2021
Participating at the @Olympics have been his dream since he started mountain biking. Go chase that medal now, Mathieu!
📸 A.S.O./Pauline Ballet pic.twitter.com/9iVXJdrlCk
また、マチュー・ファン・デル・プールもツールと別れを告げた。もともとマチューは東京五輪こそが最大目標であり、ツールはあくまでスポンサーのために(仕方なく)走ると公言していたのだが、蓋を開けてみれば祖父に捧げる勝利とマイヨ・ジョーヌという感動のドラマが待っていた。
ファンや主催者の期待どおりにツールを盛り上げてくれたマチューだが、おそらくマチュー本人もツールに出場してよかったと実感しているのではないだろうか。このあと東京五輪(MTBのクロスカントリー)に向けて調整に入る。
熱い山岳賞争い。こつこつ稼ぐキンタナ!
一昨日、昨日とパっとしなかったArkéa-Samsicのエース、ナイロ・キンタナ。コロンビアではあのエガン・ベルナルよりも圧倒的に人気が高いコロンビア村の村長だ。
そんなキンタナが今日は輝いた。まず昨日山岳賞ジャージを奪取したバーレーン・ヴィクトリアスのワウト・プルスとともに逃げて山岳ポイントを稼ぐ。さらに、超級山岳Col du Pré (HC)でも積極的に逃げ続け、コツコツを山岳賞のためのポイントを稼ぐ作戦に出る。
途中で、こんな風に同郷のイギータから補給食とボトルを融通してもらうキンタナさん。
キンタナ「くれ」
イギータ「はい・・・」
いやいやもっとフレンドリーだったはず。
そして標高があがり雨による低温が選手を苦しめる。ジュリアン・アラフィリップもわざわざ停車して温かい装備へ着替える。
🇨🇵#TDF2021 Julian Alaphilippe (Deceuninck-Quick Step) no quiere enfermarse, pone pie a tierra y cambia su ropa de abrigo. pic.twitter.com/5fM2OgvZgS
— Ciclismo Internacional (@CiclismoInter) July 4, 2021
超級山岳を超えてからの2級山岳でもキンタナはトップで山頂を通過しポイントを稼ぐ。
これまでにない勢いで走り続けるキンタナ。このままステージ優勝まで突っ走るか?
ポガチャルがマイヨ・ジョーヌ喪失!?
だがキンタナの快走も残り22kmまでだった。残り22kmでキンタナはベン・オコナーとセルヒオ・イギータから遅れていく。やはり山岳賞ポイントを稼ぐために頑張りすぎたか。
オコナーとイギータはこのまま二人で最後まで行くかと思ったら、残り17kmでオコナーが加速。イギータを切り離して独走スタート!
昨日の第8ステージが終わった時点で、オコナーは総合順位が14位。1位のポガチャルから8分13秒遅れだった。
だが、この上の画像を見て欲しい。マイヨ・ジョーヌ(ポガチャル)からこの時点で7分の差がついている。つまり、この画像の時点でポガチャルとの差は1分ほどにまで縮小している。そしてチームUAEとポガチャルは今日はもうメイン集団を管理しているだけという感じ。
実際この後も少しずつオコナーとポガチャル集団との差が拡大していく。つまり、どんどんベン・オコナーが逆転で総合1位に立つ可能性が大きくなっていく。まさかの展開だ。まさかオコナーがこうなるとは誰も予想していなかっただろう。彼は昨年のジロ・デ・イタリア第17ステージで優勝している。そのときはチームNTT(今のQhubeka NextHash)だったが、今年からAG2R Citroënに移籍した。25歳でまだ若いオーストラリア人。
ポガチャルとしては別にオコナーに奪われてもたいして気にしないかもしれない。どう考えてもポガチャルとUAEにはたいしたダメージにはならないだろう。まだツールは第1週。あと2週間もある。ポガチャルの力を考えればいつでも奪い返せる。
だがあまりにポガチャルとUAEがのんびりしているのに我慢できなくなったか、イネオスがついに集団先頭に立ってペースアップ。
ポガチャルは余裕だが、逆にポガチャル以外の総合系選手にとっては、ベン・オコナーに大きなタイム差をつけられると困るし、オコナーの総合成績があまりにも上がってこられると危険。最終日の表彰台が危うくなる。
ポガチャル今日もアタック!
(‘A`)「こんなんイネオスがポガチャルのアシストになっただけやん・・・」
イネオスのチーム力を利用して彼らに集団を引かせれば、UAEの面々は力を温存できる。そんなイネオスについていけばポガチャルはマイヨ・ジョーヌを守れる。
ところが、ポガチャルはそんなイネオスに対しても最後で容赦のない斬撃。マイヨ・ジョーヌを守りつつ、イネオスのカラパスたちにもタイム差をまたつける攻撃だ。
さてステージ優勝のゴールシーンをどうぞ。
🇨🇵#TDF2021 ¡Fantástica victoria de Ben O’Connor! Segundo triunfo en grandes vueltas para él, quien ya había festejado en el Giro 2020.
— Ciclismo Internacional (@CiclismoInter) July 4, 2021
🥇 Ben O’Connor🇦🇺
🥈 Mattia Cattaneo🇮🇹
🥉 Sonny Colbrelli 🇮🇹
pic.twitter.com/Pv0zCttp8W
そしてこの後6分ほど遅れてタデイ・ポガチャルがゴール。つまり、残念ながらベン・オコナーのマイヨ・ジョーヌは実現しなかった。
だがそれでも、超級山岳ステージでステージ優勝という快挙であり、彼自身の総合順位も大きく上昇し、このままの好調をキープできれば来週からもさらなる順位向上が見込め、最終的には表彰台という夢も???
AG2R Citroënのチームメイトもガッツポーズ#ツール #ロードバイク #ロードレース #ツール・ド・フランス #ツールドフランス #jspocycle #JSPORTS pic.twitter.com/4qrxtf9Qn8
— ロードバイクのブタ(略RBB) (@BikeNewsMag) July 4, 2021
とにかく、今日の大勝利にAG2Rのチームメイトたちもガッツポーズ。やったぜ!今日のディナーは豪華になること間違いなし!
なお、ポガチャルはカラパスに対して今日も32秒のタイム差をつけることに成功。マジパネェ。
今日のトップ10
順位 | 選手名 | チーム名 | タイム差 | ボーナスタイム |
1 | BEN O’CONNOR | AG2R CITROEN TEAM | – | B : 10” |
2 | MATTIA CATTANEO | DECEUNINCK – QUICK – STEP | + 00h 05′ 07” | B : 6” |
3 | SONNY COLBRELLI | BAHRAIN VICTORIOUS | + 00h 05′ 34” | B : 4” |
4 | GUILLAUME MARTIN | COFIDIS | + 00h 05′ 36” | – |
5 | FRANCK BONNAMOUR | B&B HOTELS P/B KTM | + 00h 06′ 02” | – |
6 | TADEJ POGACAR | UAE TEAM EMIRATES | + 00h 06′ 02” | – |
7 | RICHARD CARAPAZ | INEOS GRENADIERS | + 00h 06′ 34” | – |
8 | JONAS VINGEGAARD | JUMBO – VISMA | + 00h 06′ 34” | – |
9 | ENRIC MAS | MOVISTAR TEAM | + 00h 06′ 34” | – |
10 | RIGOBERTO URAN | EF EDUCATION – NIPPO | + 00h 06′ 34” | – |
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