マーク・カヴェンディッシュ「ボールは自分の手にない」
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今年ロードレース史上でも稀にみる奇跡的な復活の物語を作り上げたスプリンターレジェンドのマーク・カヴェンディッシュ。もう36歳。
そんな彼は現在所属チームのDeceuninck-QuickStepとの契約延長交渉をしている。といってもそれを実際にやるのは代理人だが。
カヴェンディッシュとしては残留希望のようだが、それが叶うかどうかは彼本人ではなくチーム次第で、ボールはすでにチーム側へ投げられているようだ。
情報源:Mark Cavendish: I want to stay at Deceuninck-QuickStep but it’s not up to me
カヴェンディッシュは、昨年末においては所属チームが決まらず満足なレースもできないままで引退の瀬戸際に追い込まれていた。
しかし、かつての古巣のDeceuninck-QuickStepに対してチームからの給料はほぼなしでいいので契約してほしいと願いでて、チームのボスのパトリック・ルフェーブルが「給料を負担するスポンサーを連れてきてくれれば考える」と応じ、すぐにカヴェンディッシュが個人スポンサーを連れてきて話はまとまった。そして移籍契約が実現した。
そんな経緯だったためカヴェンディッシュも「今年で最後やな」と覚悟したうえで2021年をスタート。ところが今年の大復活劇だ。本人もそんな一年になるとは予想していなかっただろう。
今年については大満足しているだろうし、もうやり残したこともないと思うのだが、驚くべきことに本人はまだまだ勝利に貪欲なようだ。情報源記事における次のコメントを見てほしい。
“I’m no longer head and shoulders above the rest, and that’s why I want to continue racing. I’ve lost races this year – that never happened before. This year I won a lot, but I also often finished second or third. I want to go back to that level where I don’t lose anymore. I believe it is possible.”
訳「昔と違って今はもう自分だけが特別なスプリンターというわけではないけど、それが逆に現役を続けたいという動機になっているのよ。今年は勝利を逃したレースも多かったわけ。しかも以前なら勝てていたはずのレースでね。たしかに今年はたくさん勝てた。でも同時に2位や3位も多かった。勝てるレースは全部勝てるレベルに戻りたいの。それも可能だと思ってる」
なんという勝利への執念。これが何があってもへこたれない彼の精神力の強さを支えるものか。ひどり落車・骨折が当たり前のスプリンターはこのレベルの貪欲さと執念を持っていないとやっていけないのだろう。怪我がつきものだけにそこから這い上がる闘争心がない必要なのだろう。