【よくばりセット】2022ツール・ド・フランスのコース発表!パリ~ルーベの石畳!ラルプ・デュエズ!40kmの個人TT!強風分断!
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見ていた人は多いだろうか、昨日は来年度の2022ツール・ド・フランスの全ステージのコースが発表された。
それがどのようなものになったか?一言でいえば、「よくばりセット」だ。つまり、「全て」が入っている。横風も、石畳も、長い個人TTも、そしてラルプ・デュエズも。
目次
2022ツール第1週目のコースについて
デンマークでスタート
来年のグランデパールはデンマークのコペンハーゲン。7月1日の金曜日に13kmの平坦基調の個人TTから始まる。もちろんその初日の優勝候補はフィリッポ・ガンナ、ワウト・ファン・アールト、シュテファン・キュングたちだ。
2日目と3日目はどちらもスプリンター向けのステージ。ただどちらも海岸沿いを走ることになるため強い風がスプリンターチームの思惑を崩すかもしれない。特に2日目は、島と島を結ぶ海上の大きな橋「グレートベルト・リンク」が登場。この橋は長さが20kmもあるらしい。そのためその区間ではかなりの強風に苦しめられる可能性もある。一波乱ありそうなステージだ。
なお4日目はフランスへの移動日ということで休息日となる。
パリ~ルーベの石畳が再び!
第4ステージからツールはフランスの北方エリアから展開される。第4ステージは平坦ステージ。だが続く第5ステージが鬼門となる。そう、パリ~ルーベの石畳の登場だ。
ワレーからアランベール(アーレンベルグ)までの155kmに、合計19.4kmとなる11個の石畳区間が含まれている。
その11の区間のうち5つはこれまでパリ~ルーベでもツール・ド・フランスでも使われたことがないものだ。
パリ~ルーベの石畳が登場した直近のツール・ド・フランスは2018年の第9ステージ。そのときはジョン・デゲンコルプがステージ優勝。
それ以前では2015年と2014年か。特に2014年は当時の絶対王者クリス・フルームが石畳に入る前に落車でリタイアした年だ。逆にその年、石畳を巧みに走り総合優勝するきっかけをつくったのがヴィンツェンツォ・ニバリだった。
その危険な第5ステージを終え、次の「山場」は第7ステージ。2010年にツールに初登場して以来何度も使われている難関山岳、プロンシュ・デ・ベルフィーユ(Planche des Belles Filles)が登場し、その山頂フィニッシュだ。
2019年には山頂へ続くグラベルロードが用意された。
その第7ステージを終えるとプロトンはスイスへ向かう。第8ステージでUCI本部の近くを走り、そして第9ステージではまたフランスへ戻るというルート。どちらもアップダウンのあるステージだ。
2022ツール第2週目のコースについて
7/11の2回目の休息日をはさみ、7/12からツールは第2週目が始まる。
第2週目の最大の山場はなんといっても栄光のラルプ・デュエズ(L’Alpe D’Huez)が登場する第12ステージと、そしてその前日のコル・ド・グラノン(Col du Granon)の第11ステージ。2日連続の山岳ステージで、しかも両日ともに山頂フィニッシュ。
この2日間で大きな差がついてしまえば、総合争いからツール中盤にして脱落ということもあり得る。
コル・ド・グラノン(Col du Granon)は、登坂距離11.3km、平均斜度は9%以上。
一方、ラルプ・デュエズ(L’Alpe D’Huez)は、登坂距離13.8km、平均斜度は8.1%。
2022ツール第3週目のコースについて
7/18の大会最後の休息日を終えて、7/19からついに最終週がスタート。
まず近年のツールと比べての最大の特徴として、最終日前日の第20ステージで40kmという長めの距離の個人TTが組み込まれていることだ。今年の2021ツールも最終日前日に個人TTだったが、その距離は約30km。来年はそれよりも10kmほど長くなる。初日の個人TTの13kmとあわせて来年のツールは個人TTが合計53kmとなる。(ただ個人TTの総距離は今年のツールのほうが長く58km)
よってその第20ステージのTT距離の長さを考えると、やはり来年のツールはまずTTが得意な選手が圧倒的優位と言えるだろうか。
さて第三週の初日第16ステージから山岳ステージだ。ただ、その第16ステージは山頂フィニッシュではなく、続く第17&第18ステージが2日連続の山頂フィニッシュとなる。
第17ステージの山頂フィニッシュとなる山ペイラギュード(Peyragudes)は、登坂距離8km、平均斜度7.8%。調べてみたらかつて映画007「トゥモロー・ネバー・ダイズ」のロケ地になった山のようだ。ちなみにブタは歴代ジェームズ・ボンドの中でダニエル・クレイグが最も好きだ。
このペイラギュードは2017年のツール第12ステージに登場。そのときはロマン・バルデがステージ優勝。そしてファビオ・アルがクリス・フルームからマイヨ・ジョーヌを奪った日でもあった。そのときのハイライト動画がこちら。
続く第18ステージの山頂フィニッシュの舞台はオータカム(Hautacam)。こちらは登坂距離13.6km、平均斜度7.8%らしい。今年は大会名物トゥール・マレー峠は登場しない。
そして総合争い最終決戦の舞台は第20ステージ。上述のとおり40kmの個人TTだ。ちょっとしたアップダウンが多いが、全体的には平坦基調といえるコースか。最後は下ってから100m弱ほどの高さを登ってのゴール。純粋なTT能力が問われる。
2022ツールの日程表と各日のコースタイプ
ステージ(コースタイプ) | 日 | 走行距離 | スタート地点~ゴール地点 |
---|---|---|---|
第1ステージ(個人TT) | 07/01 | 13km | COPENHAGUE ~ COPENHAGUE |
第2ステージ(平坦) | 07/02 | 199km | ROSKILDE ~ NYBORG |
第3ステージ(平坦) | 07/03 | 182km | VEJLE ~ SØNDERBORG |
移動日 | 07/04 | ||
第4ステージ(平坦・周回) | 07/05 | 172km | DUNKERQUE ~ CALAIS |
第5ステージ(石畳) | 07/06 | 155km | LILLE MÉTROPOLE ~ ARENBERG PORTE DU HAINAUT |
第6ステージ(丘陵) | 07/07 | 220km | BINCHE ~ LONGWY |
第7ステージ(山頂フィニッシュ) | 07/08 | 176km | TOMBLAINE ~ LA SUPER PLANCHE DES BELLES FILLES |
第8ステージ(丘陵) | 07/09 | 184km | DÔLE ~ LAUSANNE |
第9ステージ(丘陵) | 07/10 | 183km | AIGLE ~ CHÂTEL LES PORTES DU SOLEIL |
休息日 | 07/11 | ||
第10ステージ(丘陵) | 07/12 | 148km | MORZINE LES PORTES DU SOLEIL ~ MEGÈVE |
第11ステージ(山頂フィニッシュ) | 07/13 | 149km | ALBERTVILLE ~ COL DU GRANON |
第12ステージ (山頂フィニッシュ) | 07/14 | 166km | BRIANÇON ~ ALPE D’HUEZ |
第13ステージ(平坦) | 07/15 | 193km | BOURG D’OISANS ~ SAINT-ÉTIENNE |
第14ステージ(丘陵) | 07/16 | 195km | SAINT-ÉTIENNE ~ MENDE |
第15ステージ(平坦) | 07/17 | 200km | RODEZ ~ CARCASSONNE |
休息日 | 7/18 | ||
第16ステージ(山岳) | 07/19 | 179km | CARCASSONNE ~ FOIX |
第17ステージ(山頂フィニッシュ) | 07/20 | 130km | SAINT-GAUDENS ~ PEYRAGUDES |
第18ステージ(山頂フィニッシュ) | 07/21 | 143km | LOURDES ~ HAUTACAM |
第19ステージ(平坦) | 07/22 | 189km | CASTELNAU-MAGNOAC ~ CAHORS |
第20ステージ(個人TT) | 07/23 | 40km | LACAPELLE-MARIVAL ~ ROCAMADOUR |
第21ステージ(平坦) | 07/24 | 112km | PARIS LA DÉFENSE ARENA ~ PARIS CHAMPS-ÉLYSÉES |
2022ツール・ド・フランスのコースのまとめ
以上のように、来年のツール・ド・フランスのコースは、強風、石畳、難関山岳(ひょっとしたらグラベルも?)、そして最終日前日の長い個人TTという全ての要素がバランス良く(?)盛り込まれた、「よくばりセット」のようなコース設定となった。
いいかえると、全ての要素を兼ね備えた真の総合能力が必要とされているコース設計だといえようか。もちろん勝利の女神に愛される運も必要だ。
もちろん優勝候補は三連覇を狙うタデイ・ポガチャル。来年のコースが求める真の総合能力を備える最右翼だろう。そして次にプリモシュ・ログッチ。過去のツールではポガチャルよりも「運」に恵まれていないように思われるのが惜しいところ。逆にいえば運さえなんとかなれば総合優勝は十分可能な実力。ドイツ製機関車トニー・マルティンが引退でいなくなるが、チーム力もまだまだ盤石と言える。
なお公式サイトには現時点でまだ各ステージのデータや山岳コースのプロフィール画像などは掲載されていない。