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現代のロードバイクのトレンドといえば、ディスブレーキを搭載したエアロロードバイクだ。
そんなエアロロードバイクというジャンルを誕生させ、それを確立させたバイクと言える、スペシャライズド(Specialized)のS-Works Venge(ヴェンジ)の歴史を振り返るという記事だ。
たしかにVenge以前もエアロなフレームはサーヴェロ(Cervélo)などが販売していた。しかし、
・今に至る「現代的エアロロードバイク」というジャンルの世界市場レベルの大きな流れを作り上げたという点
・プロトンでの実績という点
といった2点を考慮すれば、スペシャライズドのVengeがエアロロードバイクというジャンルを確立させたといっても良いのではと思う。
そんな初代Vengeの登場は2011年。ほぼ10年が経過したので、振り返るのもちょうどいいだろう。スペシャライズドのファンでも、今もVengeを愛している人は多いのではないだろうか。
またロードレースファンからしても、マーク・カヴェンディッシュやピーター・サガンらの勝利を支えたバイクとして印象に残っていると思う。
目次
初代 S-Works Vengeが発表されたのが2011年。それが上の動画のバイクだ。
当時の最新技術と最新デザインだったわけだが、ハンドル周りのワイヤー、コクピットのシステム、トップチューブの形状、後ろ三角の構造、リムブレーキなど、今から見ればやはり時代を感じさせるデザインだ。
この初代VengeはF1でおなじみのマクラーレン(McLaren)と共同開発されたモデルが最上級モデルとして展開され、その発表時にはマクラーレンのマシンと並べて発表されるなど、マーケティングという観点からもなかなかおもしろい趣向がこらされた。
その後2016年モデルとして第二世代となる S-Works Venge ViASが2015年に発表された。上の動画がそれだ。
このモデルになると今風のエアロロードバイクトいう感じのデザインにかなり近づいている。
初代とは大きくフレーム設計と構造が刷新されていることに気づく。
シートステーがシートチューブと接続する位置が下がっていたり、コクピットにAerofly ViASシステムが採用されるなどケーブルの完全内装化とフレームとの統合・一体化が大きく推進された。
またこの第2世代はプロトンだけにとどまらず、アマチュアたちも巻き込んで世界中で喧々諤々の論争を引き起こすきっかけとなる。
それはディスクブレーキ論争だ。
この第二世代Vengeは途中からディスブレーキが搭載されプロトンを走ることになる。そして2017年のブエルタ・ア・サンフアン第2ステージで、トム・ボーネンがディスブレーキ版Vengeを駆り、UCIレースとしては歴史上初めてディスブレーキロードバイクが勝利をおさめた。これは大きなニュースとなった。
今となってはディスブレーキロードバイクは当たり前すぎるほど当たり前になってしまっているが、当時は「ディスクブレーキは危険!ダメ、絶対!」vs「素手でローターをつかんで止めることもできるぐらい安全や!」など、反対派と容認派の間で熱い議論が繰り広げられた。
当時を思い出すと「あの時の安全性論争は一体なんだったのか」と不思議に思うのと同時に懐かしさすらある。だが数年前はそんな状況だったのも事実。
そして2019年モデルとなる第三世代が発表されたのは2018年の7月。
上の動画で、青いのが第二世代で、黒いほうが第三世代だ。
第三世代の開発コンセプトは世界最速、軽量化、そしてハンドリング性能の維持だった。エアロ性能がさらに強化され、そして当時のS-Works Tarmac SL5 DISCよりも軽いフレームに仕上げられた。
この第三世代Vengeはまさに現代的エアロロードバイクという感じ。前世代より一見シンプルなフレームデザインとなっている。コクピットのシステムも第二世代よりもシンプルなものとなり、ハンドルもシャープなエアロ形状。そしてなんといってもディスクブレーキが標準搭載。
まさに現代的エアロロードバイクの見本といっても良いだろう。
残念ながらその後は第四世代の発表はなく、2020年には2021年モデルとしてVengeの要素を取り込み開発された現行のS-WORKS Tarmac SL7が発表された。スペシャライズド曰く、「VENGEを過去に追いやる」。
以上、簡単すぎる振り返りだが、現代のエアロロードバイクの市場とその模範を作り上げたスペシャライズド S-Works Vengeの歴史をまとめてみた。
スペシャライズドファンとしては強く記憶に残る名車の一つなのではないだろうか。
(なおブタはスペシャライズドのバイクに乗ったことがない)
いつも楽しく見ています。
Venge Viasの異形リムブレーキ搭載バージョンは、今でも一番カッコいいロードバイクだと思っています。ディスクブレーキ版は、キッテルがツールで勝ちまくった印象が強いですね。
第二世代から第三世代になって、フロントタイヤとダウンチューブの間隔が広がったのが驚きでした。整流は奥が深い。
やっぱり初代よりも二代目のほうがインパクト強いという人が多い印象ブヒね。
当時はTrekとかもリムブレーキをBB付近につけたりとか、いろいろやってた頃かな?
かつてのエアロ効果が高いとされていた設計が、今は逆(?)の設計になってたりとほんといろいろ変わっていくブヒね。
はたして今後Vengeが復活したりするのかな?