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先月、アスタナで走るヤコブ・フルサンのチームイスラエルへの移籍が発表された。その36歳のデンマーク人の移籍の背景にはやはり「カナダコネクション」の存在があったようだ。
ここで言うカナダコネクションとは、チームイスラエルのオーナーで大金持ちの実業家シルヴァン・アダムス(Sylvan Adams)がカナダ人であること(イスラエルとの二重国籍)と、今年いっぽいアスタナのスポンサーだったプレミアテック(Premier Tech)社がカナダ企業だということだ。
そして実際にお互いに何年間も自転車業界でもビジネス業界でも顔なじみだったようだ。
これまでアスタナを支えていたのはカザフスタン政府だが、政府内の権力バランスが崩れたのか、政策の変更と予算の変更があったのかはわからないが、アスタナへの支援が減りつつあったようだ。
そこで財政難に陥ったチームにそれまで下位スポンサーだったプレミアテック社がメインスポンサーとして昇格。チームの苦難を救った。下の関連記事をまたどうぞ。
関連記事:アスタナが来年からアスタナ・プレミアテックへチーム名を変更へ
だが同社はアスタナの完全な支配権を有したかったとされている。そこでカザフスタン政府側との権力抗争がスタート。ツール・ド・フランス前にはカザフスタン政府側の代表というべきヴィノクロフが追放されたと見られる。
この追放劇が決定的な対立となったのだろう、カザフスタン政府側とプレミアテック社との関係は修復不可能なまでになり、結局プレミアテック社がスポンサーをやめてアスタナから撤退することになった。
関連記事:今年限りでアスタナからPremier Tech社がタイトルスポンサーから撤退
このとき、プレミアテック社のCEOの Jean Bélangerが、アスタナとの契約が今年いっぱいで切れるデンマーク人のヤコブ・フルサン(Jakob Fuglsang)とカナダ人のヒューゴ・ウル(Hugo Houle)との間で「来年度のワールドツアーチームとの契約はワシが保証したる。まかせとけ」と裏取引?保証?を約束したらしい。(情報源:Astana drama and Canadian connections led Jakob Fuglsang to Israel Start-Up Nation)
二人とも彼のその言葉を信じて朗報を待っていた。結果的にはカナダコネクションもあり、二人ともチームイスラエルとの契約が決まった。彼の言葉どおりになったわけだ。
ただプレミアテック社はもともとオーストリアのワールドツアーチームのバイクエクスチェンジと交渉していた。それはバイクエクスチェンジ側も認めていた。
ただ、チームの完全な主導権を保有したいプレミアテック社に対して、同チームの現オーナーはあくまでチームの所有権・主導権を維持したいという考えがあり対立。交渉が停滞し、そして2022年度に向けたワールドツアーライセンスの申請期限が迫り、時間切れとなった。この点につきまた下の過去記事を読んでおいてもらいたい。
関連記事:【悲報】バイクエクスチェンジとプレミアテック社とのスポンサー交渉が打ち切り
この交渉過程もフルサンは知っていたようだが、交渉決裂となってもフルサンは Jean Bélangerのことを信じて次の朗報を待っていたらしい。
そしてカナダコネクションによってチームイスラエル入りが決定する。
フルサンにしてみれば、「え、そっちかいな。でも実際合流してみればええチームやしOK!」という感じだったようだ。
しかし、上の情報源記事でフルサンはこうも明かす。「実はアスタナとプレミアテック社の決裂が発表される前から、チームイスラエルとはお話してたんやけどね」
さて残る論点は、アスタナと別れ、バイクエクスチェンジとの交渉に失敗したプレミアテック社がどのチームのスポンサーとなるのかだ。
この点につき情報源記事によると、チームイスラエルは10月のパリ~ルーベに Jean Bélangerを招待し、チームの様子などを視察させたらしい。そして現在もまだ両者の交渉は続いているらしい。ただまだ正式な合意などは発表されていない。
こういった状況を踏まえれば、プレミアテック社がイスラエルのスポンサーになる可能性は高いと思われる。