今年トーマス・デ・ヘントのツール出場はなし
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この前のジロ・デ・イタリア第8ステージで、久しぶりに逃げでの勝利を達成した、プロトン随一の逃げ職人トーマス・デ・ヘント(Thomas De Gendt)。ファン待望の久しぶりの逃げからの勝利だった。
情報源:Tour de France start unlikely for Thomas De Gendt
ツール・ド・フランスには出ない
自身の得意技を発揮すること、それは自分自身の生き様を表現することだが、まさに自分そのものを全力で捧げて第8ステージに勝利したデ・ヘント。だからこそ嬉しさも格別。
そんなデ・ヘントだが、なんと今年のツール・ド・フランスには出ないらしい。チームの決定でそうなるようだ。
理由としては、今年は他のチームでもそうだったが病人や体調不良が相次いで様々なレースのための人員が不足していること、それに加えて、ツールを目指す選手はすでに高地トレーニングなど特別トレーニングに入っているため、彼らの予定を動かせないことなどが挙げられる。
ジロを最後まで走って、そのあとはツール・ド・スイスとなる予定。
第8ステージのパワーデータについて
近年は昔よりもプロトンの速度が上がっているとはよく言われること。
そして2020年~2021年のレースにおける「逃げ」については、2019年以前では逃げて勝てていたパワーを出してもプロトンから逃げることはできないというデータが発表されたりと、逃げ屋にとってはかなり難しい時代になっている。
そんな中、題8ステージでデ・ヘントは勝利を収めた。それでは彼は、以前の彼よりも強いパワーを出していたのか?
この点を尋ねられて、デ・ヘントはそれを否定する。デ・ヘントの考えは「その日はプロトンが遅かった」ということだ。彼はこう述べる。
“I saw in a tweet the comparison between all the Grand Tour stages that I won, you could see my power and looks like the average power is the same as in St Etienne [2019 Tour de France stage 8] and is the same like the one in the Vuelta in Gijon [2017, stage 19]. I think I’m pushing the same, I’m not pushing harder.
訳「ツイッターで、これまでに自分が勝ったときのグランツールの全レースと、今回の第8ステージのデータとを比較したツイートを見たんよ。そしたら似たような平均出力だったわけ。2019年のツールの第8ステージとか2017年のブエルタの第19ステージとかと同じだった。だから今回も同じようなパワーで、自分が昔より速く走ってたわけじゃないと思う」
では、なぜプロトンがその日遅かったのか?
それはやはり長丁場のグランツールだからこそ、プロトンもメリハリをつけて走っているということ。化け物揃いのプロトンといえども、毎日毎日がワンデイレースと同じ強度で走れるわけじゃない。このようにデ・ヘントは考えている。
その日の展開の妙もあるだろうが、たまたま第8ステージはプロトンという共同体の意思として、今日は最後まで少しゆっくりという意識になったのだろう。それにデ・ヘントの逃げがぴったりとハマった。
だが逃げなければ勝利はなかったのも確か。