今年の世界選でマチュー・ファン・デル・プールはMTBとロードレースに出場へ

今年のシクロクロス世界選手権で見事な作戦勝ちで再び世界王者に輝いたマチュー・ファン・デル・プール（Mathieu van der Poel）。アルカンシェルを奪い返したオランダの怪物はここ2ヶ月ほどレースから離れていたが、ついにロードレースを再スタートする。

情報源：Van der Poel to ‘gamble’, racing road and mountain bike at Glasgow Worlds

世界選手権はMTBとロードレースに参戦。ただし「ちょっとギャンブル」

まず、レース復帰は来週6月14日（水）から始まるバロワーズ・ベルギー・ツアー（ Baloise Belgium Tour）だ。なぜ同時期に開催されるツール・ド・スイスではなくバロワーずを選んだのかというと、山ばかりのツール・ド・スイスではマチューはグルペットで登り続ける日々となるが、それではトレーニングにならない。そこで限界まで追い込め、しかも優勝も狙えるバロワーズを選んだもよう。

そして今年の特別な「欲張りセット」となる世界選手権では、マウンテンバイク（クロスカントリー）とロードレースの両方でアルカンシェルを狙う。もしその両方で世界王者となれば、シクロクロス世界王者という称号とともに、3つの分野にわたり「虹をかける」ことに成功する。これは、マウンテンバイクの申し子（？）だったピーター・サガン（Peter Sagan）にもできなかったことで、現役の選手でそれを成し遂げられる可能性があるのはたった二人。このマチュー・ファン・デル・プールと、もう一人はいうまでもなくトム・ピドコック（Tom Pidcock）だ。

ただ、マチューとしてはやはりロードレース世界王者のほうがより優先度が高い。というのもMTBについては特に準備・調整などはしないまま参戦するからだ。なぜそんな中途半端な状態で参戦するのかというと、変にプレッシャーを感じたくないこと、そしてMTBのほうは来年のパリ五輪出場のためのポイント稼ぎという側面もあるからのようだ。現状、パリ五輪MTBクロスカントリーについてはオランダの出場枠は1つしかない。オランダはあまりMTBが強くない。

そのような世界選MTBの出場については、マチューは「ちょっとしたギャンブルやけど、パリ五輪出場のためにはMTBにも出ないけない」と話す。

なお今年の世界選手権ではロードレースが8月6日、MTBは8月12日となっている。

ツール・ド・フランスに向けて心身ともに万全

これまでマチューといえば、あまり長い休養や調整期間をとらず、次から次へレースを連戦するという過ごし方をしてきた。だが慢性化しつつあった背中・腰の痛みによって、どうしても休まざるを得なくなり、今年は春のクラシックを終えて2ヶ月ほどレースから離れていた。

だがここしばらくは今後のツール・ド・フランスにむけて計画的で入念なトレーニングをつめており好感触。マチュー自身もこれまでのようなレース転戦という走り方ではなく、狙うレースのために他のレースには出場せずに一定の期間しっかりとトレーニングをする方法を高く評価している。もちろんツールに向けたモチベーションは高い。

衝撃のツール・ド・フランスデビューを飾った一昨年と違い、昨年のツールではファンも彼自身も期待していたような走りができなかったが、今年は万全の状態に仕上がった怪物を見られそうだ。

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