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UAEツアーでのトーマス・デ・ヘント(Thomas De Gendt)の落車事件をきっかけに世界中で議論のネタとなったフックレスリムの安全性。UCIもフックレスリムの安全性につき調査を行うと発表していた。
一方で彼が実際使っていたホイールメーカーのZIPPとタイヤメーカーVittoriaからは正式に、フックレスリムそのものが原因ではなく、なんらかの固い物体に衝突してホイールが激しく損傷したことが直接の原因だと明らかにされた。
そんな中、ついにUCIがフックレスリムの調査結果を発表した。
Use of hookless rims with tubeless tyres: the UCI reminds riders of the rules to follow and announces the preparation of new measures https://t.co/Y8aVsDBQSe pic.twitter.com/6p8aVN1em2
— UCI_media (@UCI_media) March 28, 2024
現在UCIルール(UCI Regulations)のarticle 1.3.018においては、タイヤとリムの互換性について国際標準規格であるISO(International Organisation for Standardisatio:国際標準化機構)5775-2:2021と5775-1:2023を遵守しなければならないと規定されている。
そしてUCIの現状認識としては次の3点を挙げる。
1つは、ISO規格が必ずしも守られていないこと。
2つ目は、ISOの不遵守がこれまでのトラブルの原因となっている可能性を否定できないこと。
3つ目は、現状では上記国際標準規格のISOとヨーロッパのタイヤ・ホイールメーカーによって作られた規格のETRTO(European Tyre and Rim Technical Organisation)という2つ規格が併存している状態で、ETRTOはISOとズレている点もあり、そのETRTOをチームのスポンサーが薦めることで、プロチームとしてはISOを遵守するのが難しくなっていること。
上記のような現状認識を踏まえてUCIは今回、短期的観点、中期的観点、そして長期的観点という3つの展望に分けてそれぞれ方針を発表した。
「とにかく、UCIルールを守れ」ということである。具体的には上述のUCIルールのarticle 1.3.018で書かれているISO 5775-2:2021と5775-1:2023に従えということだ。
UCIは、新しく創設されたSafeRという団体に安全性を審査・管理させようにする。SafeRは、ロードレース界のすべての関係者(プロチーム、選手、各種の自転車関連のメーカーなど)と対話しながら、フックレスリムとチューブレスタイヤについても、改良や解釈の明確化などを進める。
SafeRは、来年度の2025年度のシーズンに向けた機材の審査に向けて安全面で考慮すべき情報などを提供していくことになっている、また、チーム、選手、審判団にはフックレスリムとチューブレスタイヤの組み合わせに問題になりそうな場合は報告が求められ、その事故の状況が詳しく分析されることもある。
UCIは機材について(特にホイールについて)、今の基準や要件が安全面から適切かどうかを精査し、製造する企業からの情報だけに一方的に依存していないかなどを確かめていく方針だ。