ロット・デスティニーの危機と財政難について
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かつてはワールドチームでありながらも現在はベルギーのProTeamへ降格してしまったロット・デスティニー(Lotto-Dstny)。しかし、これまで順調にUCIポイントを稼ぎ、ポイントという観点では2026年からワールドチームに復帰できる可能性がかなり高い状態にある。
またアルノー・デ・リー、マキシム・ファン・ヒルス、レナルト・ファン・イートヴェルトなど才能ある若者たちがチームのエースとなっており、若手の育成にも成功しているように思われる。
しかし、セカンドスポンサーであるDstny社が来年からその地位から降りる予定のため、チーム予算が来年から減ることが予想される。
そんなロット・デスティニーが今シーズンに陥っている諸問題が、オランダメディアのWielerflitsの調査によって明らかになった。
目次
ロットが投資額を増額か
上述のように来年からデスティニー社がセカンドスポンサーから外れる。チームのCEOのスポンサー探しが行われているところだが、これまでデスティニーの代わりとなる新しいスポンサーはまだ見つかっていないようだ。
このままだと来年からはロットが単独タイトルスポンサーになる可能性が高い。そこでロットは来年負担するチームへの投資額を少し増やそうとしているらしい。その額は約600万ユーロ(約9億7800万円)と推測されている。
デスティニー社の未払と諸問題
これまでの報道によるとセカンドスポンサーのデスティニー社が今シーズン後半用に払うべき金銭の一部を払わない状態になっていたようだ。そのためチームの財政は厳しくなり、様々なコストカットが必要となりいろいろ問題が起こっていたようだ。
移動費用や宿泊費は選手の自費
情報源メディアの報道によると、選手はチームカーを使って移動する場合には問題ないのだが、それ以外の手段で移動するとき(たとえばマイカーなど)には交通費は自腹となっているようだ。また宿泊施設もチームが用意したホテル以外のホテルを使うのならばやはり自腹となるらしい。チームの経費とは全く別の支払いとして扱われるようだ。
またスタッフはこれまで必要なものを買うためにチーム名義のクレジットカードを使えたのだが、今は常にそれを使えるわけではなく、使い方に制限がかかっているようだ。
ブエルタ・ア・エスパーニャ前の高地キャンプも中止
今夏のブエルタ・ア・エスパーニャにチームは本来高地トレーニングキャンプを行う予定だったのだが、上述のようにデスティニー社からの予算の入金がなかったため、それを行うだけの予算が不足してブエルタ前のトレーニングキャンプができなかったとのこと。
なぜRidleyからOrbeaへチームバイクを変更したのか
昨年のシーズン中にロット・デスティニーはそれまで長年パートナーシップを結んでいたバイクブランドのRidleyかOrbeaへチームバイクを変更すると発表した。そのへんのゴタゴタは以下の過去記事を見てほしい。
- Lotto DstnyがRidleyとの契約を解除しCannondaleまたはWilierか?
- ロット・デスティニーはオルベアと契約か。リドレーから変更へ?
- リドレー社CEO激怒!ロット・デスティニーによる契約解除とチームバイクのオルベアへの変更について
建前上はリドレーのバイクは時代遅れというものだったが、実際にはやはりお金の問題で、チームにより多くの予算を投入してくれるバイクブランドを選んだというのが真相だろうと思われている。
ウェアサプライヤーもVermarcからFILAに変わるところだった?
またウェアについてもこれまでのVermarcからイタリアブランドのFILAに変えようとしていたようだが、この動きもどうやら「おい、Vermarc。もっとお金を出さないと契約をやめて他のブランドに変えるぞ」と脅して、Vermarcからより多くのお金を引き出そうとしていたのではないかということだ。
監督への不満
予算不足の影響で年間のレースカレンダーを確実にこなすのが難しくなっていたようで、各選手が出場したいと希望していたレースに出場させることができなかったり、監督がそうした選手の要望を聞くことすらしなかったりで選手に監督・上層部に対する不満が溜まっていたもよう。
2025年はレース数も選手数も減らしてコストカット?
上で書いたように来年はロット社の単独タイトルスポンサーとなる可能性が高い。ロット社も予算を増やすようだが、それでもいきなり何十億円も一社で出せるものではない。
そのため来年に向けてチームは保有する選手の数を少なめにし、年間のレース数も減らす方向のようだ。選手数でいえば今年は29人だが、2025年は現時点で23人となっている。