最強の一角オランダの弱点とは?
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ロードレース最強国の一角オランダ。なんといってもマチュー・ファン・デル・プールの存在が大きいわけだが、そんなオランダにも弱点・・・というほどでもないがちょっとした停滞?というか選手の偏り?のようなものがある。
それについてUAEと並ぶ最強チームのチーム・ヴィズマ・リースアバイクで現場をまとめるヘッドDSGrischa Niermannが語っている。
チーム・ヴィズマ・リースアバイクはオランダ国籍のチームで、そのメインスポンサーのVismaはノルウェーのIT企業だが、もう1つのリース・ア・バイクはオランダが誇る複合企業体PONホールディングスの傘下にある。
なおPONホールディングスについてはこれまでも何度も記事にしてきたが、その傘下にあるPON.Bikeは、現時点でBBB、Focus、Cervélo、Cannondale、GT、Schwinn、Santa Cruz Bicycles、Mongooseなどのブランドを保有している。
そのように国籍やスポンサーからしてオランダ色が強いチームだが、2025年度のチーム編成ではオランダ国籍の選手は8人。最大30人中8人なので決して多いわけではない。
他のプロチームではチームの拠点がある国籍の選手を積極的にとっているチームもあるわけだが、ヴィズマについてはそうした採用方針はとっていないといえる。
なぜオランダ人選手を積極的にチームに入れないのか?という問いに対して、チームのヘッドDSGrischa Niermannは、「もしオランダ人選手が外国人選手と同じレベルならオランダ人選手と契約する」と言うが、チームの方針は「最高の選手を取ることだ」とも話す。つまるところオランダ人選手の中に、マチュー・ファン・デル・プール以外に圧倒的実力をもつ選手がいないということだろう。
平地系のクラシックレースについては、オラフ・コーイやディラン・ファン・バールレがいるわけだが問題はグランツール表彰台を狙えるレベルのオランダ人選手がいるかどうかだ。
かつてはトム・デュムランがいたわけだが、その彼も全盛期を迎えるであろうときにおそらく精神的なことが原因でロードレースをやめてしまった。他にもクライマーとしてはウィルコ・ケルデルマンやステフェン・クライスヴァイクなどもいるが、グランツールで表彰台を狙える可能性が高いかというとそれは難しいと言わざるを得ない。
つまり現時点でオランダにはグランツールでレムコ、ヴィンゲゴー、ポガチャルに並ぶ・・・とはまではいかないが、その次のレベルで争える選手(クライマー)がいないというわけだ。だからこそ、来年に向けてチーム・ヴィズマ・リースアバイクはサイモン・イエーツを獲得した。
来年からの世界選手権を見据えても、オランダは超級クライマーをどう育成するか、どのように輩出するのかが課題となるだろう。