
レムコのいないSoudalーQuickStepに未来はあるのか?
レムコがいなくなるSoudalーQuickStepに未来はあるのか
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昨夜正式にレムコのレッドブル移籍が発表されたわけだが、来年からSoudalーQuickStepはレムコ・エヴェネプールという絶対的エースを失うことになる。
これまでチームはレムコ・エヴェネプールのグランツール優勝のためにそれまで最強を誇っていたクラシックレースを捨て、レムコのためのチームづくりを進めてきたわけだが、それも無駄となってしまった。
パリ五輪ダブル金メダリストにして元世界王者というベルギーの至宝がいなくなったチームは、今後メディアや世間からの注目度が下がることが予想される。それはチームの価値が減るということでもあり、それがたとえ短期的なものであってもやはりダメージは大きいのではないか。
そんな同チームに未来はあるのだろうか。来年からチームはどのように戦っていくのか。チームのCEOユルゲン・フォレがそれについて語る。
レムコの移籍は6月にはもう確定事項だった?
これまでSoudalーQuickStepを率いてきたパトリック・ルフェーブルが退任し、後任として新しくCEOとなったユルゲン・フォレ(Jurgen Fore)氏。
そんな彼は今回の取材で、「もともとツール・ド・フランス後にレムコの将来について話すつもりだったのだが、もう6月の時点で我々にチャンスはないとはっきりしていた。だから引き留めようと余計なことはしなかった」と明らかにする。
レムコとSoudalーQuickStepの契約は2026年いっぱいまで残っていたが、Red Bull-BORA-hansgrohe側がその最後の1年分を買い上げた形で、SoudalーQuickStepに金銭を支払ったと見られる。
その金額についてはフォレ氏は、
“We’re not going to discuss sums, but it’s a fair amount. Although sponsors like Soudal would prefer to see a contract honored, we decided we didn’t want to go to court.”
訳「金額がいくらかについてどうこう言うつもりはないが、それ相応の額だ。スーダル社のようなスポンサーとしては契約を最後まで守ってほしいと思っていただろうが、チームとしては裁判沙汰にはしたくなかった」
このように語り、チームとしてはできるだけ穏当に円滑な形でレムコ・エヴェネプールの契約途中での移籍が実現するよう配慮したようだ。
仮に強制的に引き留めた場合に、レムコが来年チームにどれだけ貢献してくれるかは期待できないという考えもあったかもしれない。世間も心情的にレムコの味方となり、チームの寛容性のなさが批判されることもあり得る。ベルギー国籍のチームであり、ベルギーのスポンサーを持つだけに、ベルギー国民に嫌われるのは避けたいところだ。法律論よりも感情を優先するのが人間というもの。
チームの未来は?
フォレ氏は来年からのチームの方針について、
Chasing GC positions and winning stages in Grand Tours will certainly be part of that
訳「総合成績とステージ優勝の両方をグランツールで求めるのも、来年からのチーム方針の1つだ」
このように語り、レムコを失ってもまだグランツール総合成績も狙うつもりのようだ。現実的に考えればおそらくはグランツールの総合表彰台という意味ではなくトップ10を狙うという意味だろう。
グランツールにおけるステージ優勝という点では、やはりエーススプリンターのティム・メルリールで狙うことになるだろう。もちろん21歳のフランス人で期待の新鋭スプリンター、ポール・マニエ(Paul Magnier)もいるが、グランツール経験という点ではツールでメルリール、ジロかブエルタでマニエという感じになるか。
もちろんこれまでの契約延長と獲得選手の発表からすれば、クラシック班を再び充実し強化することも明白だ。特にアップダウンに強い選手はツール・ド・フランスなどでもステージ優勝を狙うのに向いてるため好都合だ。
チーム予算の規模からすればグランツール総合表彰台を狙えるだけの力はなく今後も難しいだろう。しばらくはクラシックとグランツールでのスプリントステージに狙いを定めるのではないだろうか。














