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UCIがトラックバイク価格上限導入、ハンドルバー幅制限緩和、TTヘルメットの使用規制など多くの点でルール改正へ。その主要な内容のまとめ

UCIがバイク価格上限規制やハンドル幅規制などについて改正。その主な変更点などをまとめて解説

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昨日UCIから2026年と2027年に導入される予定の改正された新ルールや新施策などが発表された。その発表は多岐にわたっているが、特にその多くはレースでの安全確保という目的を有するものだ。以下、そのUCI発表の一部を簡単にまとめて紹介する。

UCI公式:The UCI takes important measures to protect rider safety and health, and approves 2026 UCI calendars for several disciplines

1. 男子UCI ProSeriesの出場権について

2026年から男子のUCI ProSeriesカテゴリーのレースにおいてその主催者は 前年のUCIチームランキングで上位5チームを招待しなければならなくなる。また、開催国のUCI ProTeamにも参加する権利を与えなければならない。

2025年6月にはトップ3のUCI ProTeamsにワールドツアー出場権を与える制度が認可されたがそれとセットになるものである。

こうした新制度によって強いProTeamがより多くのレースに参加することになり、大会の注目度があがるなどして大会運営の安定感を増すことが狙いだ。

2. ロードレース以外の分野のUCIポイントをロードレースのランキングにも算入

昨年の11月にUCIの新しいポイントシステムについて「UCIが新ポイントシステム導入か?シクロクロスのポイントをロードレースに加算?」という記事を書いた。

今回のUCI会合でこの新ポイントシステムについても次のような決定がなされ、2027年からの導入が決定した。

2027年導入予定のシステムとして、トラック競技、MTBのクロスカントリー、シクロクロス、そしてグラベルといった純粋なロードレース以外の分野のUCIポイントが、ロードレースのチームランキングにおけるUCIポイントにも算入されることとなる。

ただそうした分野のすべてのレースが対象というわけではなく、UCI世界選手権と各種目のワールドカップシリーズでのUCIポイントが対象となる。

また適用対象は、ロードレースにおける上位20位の男子選手と上位8位の女子選手だけだ。

3. ロス五輪でトラックバイクなどに「価格上限規制(プライスキャップ)」導入

2027年1月1日から次のロサンゼルス五輪におけるトラック用自転車の機材などに 価格上限(price caps) が導入される(トラック競技だけでロードレースは対象外)

もともと使用機材を大会数ヶ月前に登録させ、事前使用義務を課す制度が存在しているが。今回の価格上限の導入はそれを補うものになる。

この価格上限規制の象となる機材は、トラック競技におけるバイクのフレームセットだけでなく、フォーク、ホイール、ハンドルバーおよび拡張パーツ、ヘルメット、そしてスキンスーツにも及ぶ。

この規制は、参加国間の資金力格差を一定程度抑制し、すべての国に対して公平な機材アクセス権を保障するものだ。

上述のように通常のロードバイクはこの規制の対象外となるが、ルール上は普通の市場で一般人が購入できるものを使わなければならないとなっているものの、販売価格が数千万円するような特殊なパーツは一般人は購入できないため、実質的には無意味なルールと成り下がり、ルールの形骸化や濫用、そして脱法的な結果になる可能性がある。

仮にそうした事例が増えていけばロードバイクについてもバイク本体や各種コンポーネントについてもプライスキャップが導入されてもおかしくはないだろう。

4. ハンドルバーの幅・形状制限

ロードレースとシクロクロス

今年の6月に発表され世界中で批判の的になっていたハンドル幅制限だが、そのときの内容の内容は2026年1月1日から、ハンドル最大幅(外~外)で400mm、内幅で320mmというものだった。しかし今回の発表でUCIは最大幅(外~外)の400mmは維持したものの、内幅については320mmから280mmへ変更

またこの内幅についても、UCI機材技術委員会(Equipment and New Technologies Commission)は来年中に再検討を行う予定で、それによってはまた変更される可能性がある。

トラック競技

トラック競技においては2027年1月1日から最大幅(外~外)で350mm、最大フレア幅80mm、最大断面径が65mmとなる。

5. TTのフォアアームサポートパーツについて

TTでは前腕部分を置くパーツとしてフォアアームサポートが使わているが、それが今後TT以外の分野で禁止されることとなる。バイクのコントロール性を重視し選手の安全を確保するためだ。

    6. ヘルメットについて

    今年はこれまで通常のロードレースでTT用(TT向け)ヘルメットを使うことについて議論があったが、その点についても今回のルール改正で明確にされた。

    ロードレースとシクロクロスにおいて使用するヘルメットについて、2026年1月1日から主に次のような規制が課される。

    • 最低通気性要件
    • 耳を覆うシェルや付属品の禁止
    • バイザー付きヘルメットや取り外し式バイザーの禁止
    • 設計上の制限

    なおこのルールはトラック競技では2027年1月1日から適用となる。

    装備のエアロ性能による差が過度に拡大しないよう、選手間の公平性を確保するためだ。


    7. フィニッシュ地点のバリア仕様の検討

    安全施策を推進するSafeRに関して、フィニッシュラインでの使われるバリア(柵)の仕様・性能について議論が行われた。

    寸法、重量、重心位置、衝突耐力(強度)などを定める仕様案、耐衝撃性能を確認するテスト案などが策定されることになり、またそれらを基にして2026年前半に正式な仕様と認証制度が定められる。その後大会主催者やバリアを製造する業者にそうした情報や新しい制度が提供される予定だ。

    8. 異常気象対応プロトコル(Extreme Weather Protocol)について

    また近年の気候変動に伴う(?)と思われる異常気象に対応する、異常気象対応プロトコルについても改訂が入った。その中で特に次の2点の明確化が重要だと思われるので紹介しておく。

    • レース前とレース中を含めて誰が・いつ・どのように判断するか を明文化
    • 選手とコミッセール(審判団ら)による 選手・コミッセール合同ワーキンググループ を設立


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