レビュー
Rapha




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2025世界選手権ロードレースはタデイ・ポガチャルが2年連続の100kmアタックから66km独走で優勝
史上最難とも言われる今年の2025世界選手権ロードレース。そのレースは完走者が極端に少ないサバイバルレースとなった。しかしそのレースでもあの男の伝説は終わらなかった。
目次
走行距離267.5kmという長丁場、そして獲得標高5500~6000m(?)というとんでもない史上最凶の世界選手権というコースだ。

基本的には全体を通じて周回コース。前半から中盤までに9周回、その後郊外の大きな登りに向かい、それを終えると後半からは6周回となる。通常の世界選手権やワンデイクラシックとはまた雰囲気が異なる

そして最大の注目となる登りモン・キガリの山を含む、3つの主要な登りのデータがこちら。
#Parcours 🚵♂️ / Les ascensions du jour :
— Renaud Breban (@RenaudB31) September 27, 2025
⛰ Côte de Péage / 1,8km à 5,9%
⛰ Mont Kigali / 5,9km à 6,9%
⛰ Mur de Kigali / 400m à 11% pic.twitter.com/kakJgsg14D
そしてラスト5kmのコースプロフィールがこちらで、登り基調のフィニッシュとなる。

通常のよくある世界選では強豪国ではない国々が最初から逃げるのだが、なんと今年はフランスなど強豪国の選手が逃げを狙って積極的に動く展開に。ポガチャルに勝つにはとにかく先手、先手を打つしかないという判断か?そしてまず次の7名の逃げ集団ができあがる。

このようにデンマーク、フランス、オランダ、スペイン、ポルトガル、スイス、ドイツといった通常のワールドツアーでいつも見る国々だけで逃げが形成される。
ヴァランタン・パレパントル🇫🇷、ポール・セクサス🇫🇷が動き、ジュリアン・アラフィリップ🇫🇷は位置を下げ、トーマス・ピドコック🇬🇧がチームカーから元の位置へ
— J SPORTSサイクルロードレース【公式】 (@jspocycle) September 28, 2025
Cycle*2025 UCI世界選手権大会 男子エリート ロードレース#Kigali2025 #RidingNewHeights #jspocycle pic.twitter.com/kn0G9NS46r

上で述べたようにフランスはジュリアン・ベルナールを逃げに乗せ、さらにその後方ではジュリアン・アラフィリップも飛び出そうという動きを見せて驚かせるが、アラフィリップはその後プロトンに吸収されるとすぐに集団最後方に。
Alaphilippe já abandonou
— O País Do Ciclismo (@opaisdociclismo) September 28, 2025
Ao vivo aqui: https://t.co/0LLsnR2aIm#kigali2025 pic.twitter.com/ly8T7D3ihd
そしてしばらくしてアラフィリップのリタイアが発表された。
さきほどの飛び出しはひょっとしたら体調不良ながらも走っていれば調子が良くなると思ったのだろうか?それを試すために飛び出そうとしたのかもしれない。結果、力をこめて踏んでも全く体が上手く反応しなかったのかもしれない。そしてバイクを降りることを決断したのか。
なお残り205kmの時点でもフランスチームのルイ・バレもリタイアとなり、フランスは序盤で2名を失うことになる。8名から6名となる。
残り221kmもある時点で落車が発生。これにレムコ・エヴェネプールと同世代でスーダル・クイックステップでの相棒だったイラン・ファン・ウィルデルが巻き込まれ倒れ込む。またスペインで、UAE Team Emirates – XRGでタデイ・ポガチャルの強力な山岳アシストのマルク・ソレルも被害を受ける。

集団落車が…
— J SPORTSサイクルロードレース【公式】 (@jspocycle) September 28, 2025
大勢の選手が巻き込まれています…😭
ダメージが最小でありますように🙏
Cycle*2025 UCI世界選手権大会 男子エリート ロードレース#Kigali2025 #RidingNewHeights #jspocycle pic.twitter.com/RIk1tIEDIZ
この落車によりイラン・ファン・ウィルデルもマルク・ソレルもリタイアに。優勝候補のベルギーとスペインが重要なアシストをそれぞれ失ってしまう。
レムコ、トイレ休憩おわり
— 🚴バイクニュースマグ@ワイアードの豚🐷 (@BikeNewsMag) September 28, 2025
#ロードレース #ロードバイク #jspocycle #Kigali2025 pic.twitter.com/EmZR6GrEF4
プロトンはベルギーとスロベニアが中心となって逃げとの差をコントロールし、世界選には珍しく?決して大差を許さない。
そして前半の9周回を終えた時点ではプロトンとの差は1分40秒ほど。


ここでプロトンから留目が遅れてしまう。なんとか食らいついてもらいたいが・・・
そして逃げ集団でも1つの動きが出る。7名の集団だったものが先行4名と遅れる3名に別れてしまう。さらにその先行4名からはオランダのメノ・ハイシングも遅れて、逃げは3名に。

それがこの3人で、イヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル)、ジュリアン・ベルナール(フランス)、アナス・フォレーヤ(デンマーク)。
最大斜度20%もなるモン・キガリ。距離5.9km、平均斜度6.9%の山だ。逃げも集団もここに入ると両方ともに絞り込みが始まる。

逃げ集団ではジュリアン・ベルナールが他を突き放して独走へ。
一方その背後のプロトンでは・・・

🐷「ポガチャルいったあああああああああ!!!!去年は100km、今年も100kmかよ!」
レムコはすぐに反応してついていくが、

🐷「レムコついていけない!!!」

先頭はポガチャルのアタックについていけたフアン・アユソー、そしてポガチャル、さらに後方からイサーク・デル・トロが追いかけてくる!
🐷「これもうUAE Team Emirates – XRG選手権やんけ!」

🐷「あああああ、アユソーついていけない!」
ここからポガチャルとデルトロの2名、それを追走するレムコ集団という構図に。両者の差は1分弱ほど。
そのレムコ集団にはポガチャルのためにプリモシュ・ログリッチが抑えとして残り、余計な動きをマークする。しかしイタリアが5名も入れているのでイタリアがしっかり動けばポガチャル&デル・トロをきっちりと最後に捕まえられるはずだが、その集団も微妙に協調できてそうでできてなさそうな感じ。
残り75kmになるとレムコがバイク交換を要求。実はこの日はすでに1回バイク交換をしていて、2度目の交換となる。
Umubiligi Remco Evenepoel watwaye isiganwa ry’isi mu basiganwa n’ibihe (Individual Time Trial) agize ikibazo cy’igare bisaba ko bamuhindurira irindi.
— IsangoStar (@isangostar) September 28, 2025
Abari imbere ye barimo kumusiga umunota n'amasegonda 33 mu gihe.
Hasigaye ibilometero 70 ngo isiganwa rirangire.#UCI2025 pic.twitter.com/5tyxYyBVuc
この動画のようにかなりイラついてるのがわかる。

これでレムコは追走集団から40秒ほど遅れてしまうが、チームメイトのアシストとチームカーの隊列を利用して無事に集団復帰を果たす。そこからレムコはガンガン踏みはじめ、集団を牽引してタデイ・ポガチャルを追う。

残り66kmでついにメキシコの超新星デル・トロが落ちる。ここからポガチャルの独走がスタート。
レース後のポガチャルのインタビューでは、「デル・トロは胃に問題が起こっていたのではないか」とのこと。

そのポガチャルを追うのは、レムコ、ベン・ヒーリー、トム・ピドコック、ジャイ・ヒンドレー、マティアス・スケルモース。タイム差が1分のまま残り45km。

残り20kmになるとレムコは表彰台争いが嫌になったか2名の速度に焦れたか、ついに単独でアタック!ポガチャルを追う!

レムコが追い上げるも、その情報を知ってか知らないでかポガチャルも最終周回でペースを上げ、レムコの追い上げを完璧に拒否。逆にこれまでよりも少しタイム差を広げながらゴールへ。

疲労はしたと思うが、いつものポガチャルのように今日もフィニッシュ後にあまり疲労を感じさせない涼しい顔でチーム関係者とともにお祝い。ほんとどんな体してるんだ。もうあと余計に250km走っても、500kmを12時間ぐらいで走りそう。

一方でレムコはフィニッシュ後に座り込んだまま動かず。極度の疲労というよりは優勝できなかった悔しさと悲しさが極まった様子。そしてしばらくすると涙を流していた。
個人TTに続いて今日も優勝ができるだけの好調さを見せ、ポガチャルさえいなければ確実に優勝できたであろうだけの強さを見せつけた。それだけにつらい2位だろう。
しかし、もし仮にレムコの2度のバイク交換がなかったとしてもおそらくはポガチャルに勝てなかったのではないだろうか。なぜなら登りで毎回秒差をつけられていたからだ。モン・キガリで遅れたあとでたとえ最後までにポガチャルとレムコの2名が残ったとしても、やはり最後のほうの登りでポガチャルがアタックして優勝という可能性は高かったと思われる。

また3位には残り5kmでデンマークのスケルモースを引き離したアイルランドのベン・ヒーリーが入った。
なお下の結果の通り今年の完走は30名。残念ながら日本の留目夕陽も完走はできなかった。
ポガチャルはレース後に、「コースはまさに自分向きだった」、「フアン・アユソーとイサーク・デル・トロと抜け出したときは自分にとって完璧な展開だった」、「だが予想外に早く自分1人で独走することになった」、「下りでもペダルを回し続けなければならなかったので休憩できなかった」と語る。
| 順位 | 選手 | チーム | タイム差 |
|---|---|---|---|
| 1 | Tadej Pogacar | Slovenia | 1位との差 |
| 2 | Remco Evenepoel | Belgium | 1:28 |
| 3 | Ben Healy | Ireland | 2:16 |
| 4 | Mattias Skjelmose | Denmark | 2:53 |
| 5 | Toms Skujins | Latvia | 6:41 |
| 6 | Giulio Ciccone | Italy | 6:47 |
| 7 | Isaac Del toro | Mexico | ,, |
| 8 | Juan Ayuso | Spain | ,, |
| 9 | Afonso Eulalio | Portugal | 7:06 |
| 10 | Thomas Pidcock | Great Britain | 9:05 |
| 11 | Primoz Roglic | Slovenia | ,, |
| 12 | Mikkel Frolich Honore | Denmark | 9:07 |
| 13 | Paul Seixas | France | ,, |
| 14 | Harold Tejada | Colombia | ,, |
| 15 | Pavel Sivakov | France | 9:47 |
| 16 | Jai Hindley | Australia | 10:01 |
| 17 | Andrea Bagioli | Italy | 10:06 |
| 18 | Marc Hirschi | Switzerland | ,, |
| 19 | Michael Storer | Australia | 10:12 |
| 20 | Carlos Canal | Spain | ,, |
| 21 | Bauke Mollema | Netherlands | ,, |
| 22 | Gianmarco Garofoli | Italy | 10:16 |
| 23 | Kevin Vermaerke | United States | ,, |
| 24 | Artem Nych | Individual Neutral Athletes | ,, |
| 25 | Andreas Leknessund | Norway | 10:18 |
| 26 | Cian Uijtdebroeks | Belgium | ,, |
| 27 | Embret Svestad-bardseng | Norway | 10:48 |
| 28 | Valentin Paret-peintre | France | 10:59 |
| 29 | Jan Christen | Switzerland | 11:55 |
| 30 | Amanuel Ghebreigzabhier | Eritrea | 12:04 |
ポ「わいの独走もマンネリ化してきたな…。よっしゃ来年は200kmからアタックや!」
ポ「よっしゃ、来年からスプリンターに転向するか!」
となる可能性も!
上れるスプリンター(本業は上り)
世界「それ今とあまり変わらないんじゃ」