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rapha エッセンシャルケース

Raphaが8年連続の赤字の報道。苦境の要因と今後の復活への戦略について

Raphaが8年連続の赤字の報道。苦境の要因と今後の復活への戦略について

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近年経営と財務状況に苦しむRapha。今年いっぱいでワールドチームのEF Education-EasyPostとも契約を終了となり、来年からの同ブランドがどのような道を歩むのかが注目されている。

だが実質的な現オーナーは世界最大の小売業ウォールマートの創始者サム・ウォルトンの孫(Raphaを買収したRZC Investmentsのオーナーでもある)であり、いざとなれば巨額の資金が投入されることが考えられるため、それほど心配はないとも考えられそうではある。

関連記事:ウォルマート関係者がRaphaを買収か

だがそれでも最新の一部報道ではRaphaが直近の決算でも赤字となり8年連続の赤字ともなったことが明らかとなった。

情報源:Rapha slashes valuation by £102m amid £15m loss and eighth straight year in the red, but insists “great work being done” to turn business around

数字で見るラファの厳しさ

2023会計年度と2024会計年度の比較

まずはRaphaの現状として、主要な財務数値を、いくつかのWEBサイトから抜き出してまとめてみると次のようになる。

(日本円は2025年10月22日時点で1ポンド=202円で概算)

項目2023年度会計(~2024/1/28)2024年度会計( 2025/1/26)
総売上(turnover)£110 m(約223億円)£96 m (約194億円)
EBITDA(例外項目除く)£0.9 m(黒字:約1億8000万円) –£2.6 m(赤字:約5億3000万円)
営業損失(Operating Loss)–£21.1 m(赤字:約42億6,220万円)–£17.2 m (赤字:約34億7,440万円)
純損失(Net Profit/Loss)–£19.7 m (赤字:約39億7,940万円)–£15.6 m (赤字:約31億5,120万円)


🐷「間違ってたらごめんなさい テヘペロ(・ω<)」

上表において、営業損失は本業の収益-費用(減価償却・償却前後含む)として、純損失」は税・金利なども含めた最終的な損益として示している。

この2023会計年度と2024会計年度との比較におけるポイントとしては、

  • 売上高が約13%減少
  • EBITDA(本業の儲けベース)で赤字に転落
  • 営業損失・純損失ともに前年より改善しているが、依然として大きな赤字
  • 一部報道では8期連続の赤字?

といったことが言えるだろうか。

会社価値の減損

こうした近年のRaphaの苦境はブランド力の低下、特にRaphaという会社の評価にもダメージを与え、その評価額・帳簿価値も大きく見直されているとの見方がある。

フィナンシャル・タイムズの報道では、2017年に買収された際の投資額・評価額はおよそ £200 m(約404億円) だったと言われているが、その後のブランドの帳簿価値はおよそ £65m~£70m(約131億3000万円~約141億4000万円) 程度になった(減損)という見方もあるようだ。

こうした減損という見方は、ようするに「Raphaには見込んでいたほどの利益は期待できない」という認識の現れだろう。

ポジティブなデータもあり

ただし上述のようなネガティブなデータだけではなく、以下のようなポジティブなデータも伝えられている。

  • ウェブ経由の新規顧客数:126,000人(2024会計年度)/118,000人(2023会計年度)
  • 顧客あたりウェブ上の「ライフタイムバリュー(LTV)」:£621(約12万5,442円、同2024)/£600(約12万1,200円、同2023)

つまり、RaphaのWEB上での販売において顧客は増加傾向で、かつ顧客一人当たりの売上も微増というデータである。

親会社からの豊富な資金投入の可能性も

また上で述べたようにそもそも実質的なRaphaのオーナーが莫大な資産を持つ資本家であり、緊急時にはRaphaの親会社から多額の資金が投入されることも期待できるので、現時点で差し迫った危険があるわけではないとも言われている。

Rapha苦境の背景・要因とは?

こうしたRaphaの苦境の背景はいくつかの要因が重なっている。

まず1つ目はコロナ後と自転車需要の変化だ。

この点についてはこのブログでも過去何度かパンデミック期には自転車関連の需要が急伸しましたが、その反動が出ていると紹介してきた。Raphaも自転車業界全体にわたる需要低下と過剰な在庫に苦しんできた。

2つ目には過剰な割引セールをやめたことがある。

以前、Raphaは過度な割引セールに頼る戦略を見直すこと、できるだけ通常価格で売ることに注力すると宣言したとこのブログでも紹介した。

当然それにより売上自体が落ち込むわけだが、このポリシー変更はあくまで将来的なブランド価値・利益率向上を見据えたものであり、復活に向けた戦略の1つだ。

3つ目にはブランドの“軸”がぶれたという点だ。

海外メディアでは、ブランドが本来の「高品質サイクルウェアという軸」から外れ、日常用途のライフスタイルウェアなど製品数を広げ過ぎたという指摘がなされているようだ。具体的には、

  • 製品の発売数が多すぎ
  • ライフスタイル系商品や自転車以外の用途の展開
  • プロモーション・店舗展開の拡大によるコスト増

Rapha経営陣はこうした展開によってRaphaが本来掲げていた「高品質・プロフェッショナルなサイクルウェア」というアイデンティティが希薄になったと反省する。

またその他の要因としては、

  • 買収後の経営移行に伴う様々な変化(企業文化の変化も含む)
  • 無形資産が毎年償却・償却費として損益に影響

といった事情も指摘されている。

今後のRaphaは?

今後についてRapha CEOは、これまでは過去の負債をなんとか消すための期間、そして来年からは刷新の年、反転攻勢のタイミングだと述べる。

そのためには、上述のとおりブランド価値を下げるセール乱発をやめ、正規価格・標準価格での販売を強化しつつ、魅力的かつ高品質な「サイクルウェア」を開発し続けることで、なによりもまずブランドアイデンティティを取り戻すことが重要となる。

またEF Education-EasyPostとの関係を解消したわけだが、次なるプロモーション戦略の1つとして、USA Cycling(アメリカ代表チーム)とのスポンサーシップ契約を発表している。

これは当然、2028年のロサンゼルス五輪を視野にいれたスポンサー契約であり、同五輪に向けて米国のサイクリング業界とその周辺が盛り上がること、それによりRaphaの知名度が上がることを期待してのものだ。

加えて今後も様々なコスト削減を進め、無用な製品ラインの多角化もやめて製品を絞ることなども重要となる。

🐷「最近のわけわからん製品はいらんねん、名作だったクラシックフライウェイトシリーズとプロチームラインとクラシックラインの冬用ビブショーツを復活させろ」


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