ベン・ヒーリー移籍は？

現在のプロトンでアイルランドを代表する選手といえばなんといってもベン・ヒーリー（25歳）だ。プロトンで最も果敢に勝利に向けてチャレンジする選手の1人といってもいいだろう。レース中のアタックはまさに暴れん坊と表現できる。

もともと2021年までは英国のコンチネンタルチームでトム・ピドコックを輩出したTirinity Racingで、ルーク・ランペルティ（今年までSoudalｰQuickStep）、サムエル・ワトソン（INEOS Grenadiers）、マックス・スォーカー（EF Education-EasyPost）ベン・ターナー（INEOS Grenadiers）たちと走っていた。

なおそのルーク・ランペルティは来年からEF Education-EasyPostで走るので、ヒーリーにとってはTirinity Racing時代のチームメイトが増えることになる。

ヒーリーは2022年からEF Education-EasyPostでプロデビューし、アイルランドの熱い漢ダン・マーティンの後継者として🐷の中でホットな選手となり、お気に入りの選手の1人だ。

今年のUCIランキングの個人部門では13位。もちろんEF Education-EasyPostで最上位で、チームへの貢献度（稼いだUCIポイント）という点ではもはやエースといっても過言ではない。

ヒーリーはこれまでの主な戦績は、2023アムステル・ゴールド・レースで2位、2023Liège-Bastogne-Liègeで3位、2023ジロ・デ・イタリア第8ステージでステージ優勝など、そして今年はイツリア・バスクカントリー第5ステージでステージ優勝、ツール・ド・フランス第6ステージで念願のツール初ステージ優勝（加えて2つのステージで2位）、そして世界選手権ロードレースで3位といったものだ。

そんなアイルランドのエースは来年いっぱいでEF Education-EasyPostとの契約が終わる。そこで来年は早い段階から水面下で移籍交渉が進行すると思われる。

才能・実績という点でも25歳という若さという点でも魅力で彼を欲しがるチームはかなり多いはず。移籍するならば年俸はおそらくプロデビュー時と比べて少なくとも10倍になると予想されている。UCIの最低年俸はワールドチームでは2025年度で€44,150（約710万円）らしいので、7000万円～は確実となるだろうか。

一方でEF Education-EasyPostは是が非でも残留に持ち込みたいはずだ。

しかし、この移籍という件についてベン・ヒーリーは「移籍にはいつもリスクが伴う」と語る。

情報源：Ben Healy’s next big contract | “There’s always a risk if you move team”

このヒーリーの発言からすればヒーリーは移籍には慎重だと考えられるため、残留の可能性大と言えるだろうか。だがその移籍リスクを最小化できるのであれば、移籍する考えがゼロではないとも言える。

ヒーリーの脚質、これまでの走りを考えれば自分が自由にアタックして勝利を目指せるチームでなければならない。まさにEF Education-EasyPostはそれが許されているチームだったわけで、ヒーリーは年俸の額よりもその点を最重要視しそうな気がする。

そう考えると仮に移籍するならばSoudalｰQuickStepあたりがいいのかもしれない。絶対的エースだったレムコ・エヴェネプールがいなくなり、クラシックでもグランツールでも個人の走りの自由度が格段に上がるからだ。あとはDecathlon-CMA CGMとかだろうか。

今年の移籍市場は過去最悪の状況とも言われていたわけだが、大型移籍も相次いだ。そして来年の移籍市場ではベン・ヒーリーの動向が注目の的の1つとなるだろう。