なぜディラン・フルーネヴェーヘンはバイクエクスチェンジへ移籍したのか、その理由
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この前発表されたユンボ・ヴィスマのエーススプリンターのディラン・フルーネヴェーヘン(Dylan Groenewegen)のバイクエクスチェンジへの移籍は、ファンらを驚かせた。そして関係者によってその移籍の理由が明らかになっている。
情報源:Lure of Tour de France opened door for high-profile Dylan Groenewegen move
バイクエクスチェンジ(来年からBikeExchange-Jayco)のジェネラルマネージャー、Brent Copelandが情報源記事でのインタビューで次のように述べている。
“Dylan was keen to race the Tour de France. Jumbo-Visma wants to win the Tour with a team built around Roglič. And it’s difficult to have a sprint train if you’re targeting final victory. As much as they were sad about losing him, it was the best decision for everyone.”
訳「フルーネヴェーヘンはツール・ド・フランスに出たいと強く想っているが、ユンボ・ヴィスマはログリッチたちによるツール総合優勝という方針。だからフルーネヴェーヘンのためのスプリントトレインを用意するのは難しい。ユンボとしても彼を失うのはつらいだろうが、でも今回の移籍はみんなにとってベストな選択肢だったと思う」
というわけで、フルーネヴェーヘン移籍の理由はやはりみんなが予想していた通りにツール・ド・フランス出場の気持ちというものだった。
ただ逆に考えれば、バイクエクスチェンジとしては今後ツール・ド・フランス総合優勝はもちろん総合表彰台すら狙わないという考えになる。総合エースとしてサイモン・イエーツを擁するわけだが、仮にツールに出場したとしてもステージ優勝に専念するということだろう。
チームの予算としてもユンボやイネオスやUAEのように強力な山岳アシストを揃えるのも困難というのもあるかもしれない。またアシストをそれなりに揃えたとしても果たしてログリッチやポガチャルに対抗できるのかといえばそれも可能性は低い、それならばステージ優勝で目立つという戦略のほうが実現可能性が高いと考えているのかもしれない。
サイモン・イエーツとの関係については以上のように考えられるわけだが、もうひとり、マイケル・マシューズとの関係性についても考える必要があるだろう。
というのもマイケル・マシューズはツール・ド・フランスでポイント賞のマイヨ・ヴェールを狙える選手だから。マシューズ自身はガチスプリンターというよりは登れるスプリンターというわけで、フルーネヴェーヘンよりもアップダウンに強い。よって役割分担は可能とは言えるが、仮にフルーネヴェーヘンが勝ちまくった場合にグリーンジャージをどちらが手にするのかがチーム内で問題になるかもしれない。
逆にマイケル・マシューズのポイント賞が現実的になろうとする場合にフルーネヴェーヘンがマシューズのアシストを積極的にやろうとするだろうか。どうだろう。
グランツールは各チーム8人制となり、かつてより1人だけ少なくなっているが、総合成績を狙うチームはそれだけ人員に余裕がなくなった。よりチーム戦略を明確に、より具体的にしなければならなくなった。あれもこれも狙うというのは難しくなった。
今回のフルーネヴェーヘンの移籍にはそういったチーム人数の変化というのも影響を及ぼしているのかもしれない。