なぜ今年のツールでマチュー・ファン・デル・プールは精彩を欠いたのか、その原因をマチュー本人が語る。
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2年連続でツール・ド・フランスに出場したオランダの怪物マチュー・ファン・デル・プール(Mathieu van der Poel)。しかし2年連続の途中リタイアとなってしまった。昨年のリタイアは東京五輪出場のため、そして今年のリタイアは体調不良というか本来の走りができなかったことが理由だ。
ではなぜ昨年の衝撃的かつ爆発的なツールデビューの走りから一転して、今年は不調だったのか?マチュー本人がその理由を推察して話す。
情報源:Van der Poel suspects altitude training to blame for Tour slump
マチューの今年のツールでも精彩を欠いた走りの原因について世間では、ツール前にジロ・デ・イタリアにも出場し完走したことで肉体が疲れ切って、その疲労からの回復が不十分だったことが原因だと考えている人が多いと思う。
しかし、地元オランダメディアNSOでのインタビューでマチュー本人が述べたところによると、彼自身はそうした世間の考えとは異なる考えを持っているようだ。
マチューは、「ジロを終えても特別な疲労感とかエネルギーが空っぽになったとかは感じなかった」と言う。
そのうえで本人は、「ジロの後にツールに向けた調整のため高地トレーニングに入ったが、そのタイミングが早すぎた。もっと回復させてから高地トレーニングを始めるべきだった」という旨を話している。
マチューとしてはジロを走り終えても肉体が極度に消耗しているとは感じなかったのは事実だろうが、やはり肉体へのダメージはしっかりと残っていたようで、それをしっかり回復させないまま高地トレーニングに入ってしまったことが原因と考えているようだ。回復しきれていない体にさらに鞭打って激しい高地トレーニングをしたことで、本人もはっきりとは気づかないダメージが彼の肉体を蝕んでいたのだろう。それがツール・ド・フランスで顕在化してしまったということだろう。
若さと強すぎる身体能力をあわせ持つ選手だからこそのミスだったのかもしれない。「いけるいける」と思ってしまったか。
こうした調整の失敗もアスリートとしては貴重な経験・財産となるだろう。これで来年のグランツールではマチューは本来の走りを見せてくれる可能性が高くなった。
つまり来年のツール・ド・フランスでは昨年のデビューのように再びマチューの鬼のような爆走にプロトンはつきあわされるハメになるわけだ。かわいそう。