なぜ今年ユンボ・ヴィズマは1位になれなかったのか?UAEとの決定的な違いとは?【データサイエンス?】
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どうも、データサイエンティスト(大嘘)でKaggleのグランドマスター(大嘘)の🐷です。
さて、2023年10月17日にUCIランキングが最新へ更新された。そのランキングでもこれまでどおり、UCI World Rankingにおけるチームランキング1位はタデイ・ポガチャル(Tadej Pogačar)を擁するUAE-TeamEmiratesだ。そして2位に今年全グランツール総合優勝を歴史上初めて成し遂げた史上最強チームのJumbo-Visma。
今年の圧倒的な強さを考えればJumbo-Vismaが1位でもおかしくない。では、なぜJumbo-Vismaは1位になれなかったのか?UAEとの差は一体どこにあったのか?
今回の記事ではUAEとJumbo-Vismaのそれぞれにおいて、選手のポイント数上位20人だけを対象に(各チーム上位20名のポイントの合計がそのままチームランキングとなるから)して両チームの比較をしたいと思う。
UAEとJumbo-Vismaのポイント数上位20名
2023UAE-TeamEmiratesのポイントランキング
順位 | 選手名 | UCIポイント |
---|---|---|
1 | POGAČAR Tadej | 7695.86 |
2 | YATES Adam Richard | 4007.86 |
3 | GONÇALVES ALMEIDA Joao Pedro | 3110.62 |
4 | HIRSCHI Marc | 2997 |
5 | AYUSO PESQUERA Juan | 1943.62 |
6 | MCNULTY Brandon | 1407.43 |
7 | MOLANO BENAVIDES Juan Sebastian | 977.48 |
8 | WELLENS Tim | 917.86 |
9 | VINE Jay | 917.48 |
10 | TRENTIN Matteo | 912.86 |
11 | GROSSSCHARTNER Felix | 867.86 |
12 | ULISSI Diego | 864 |
13 | FORMOLO Davide | 734 |
14 | BJERG Mikkel | 701.29 |
15 | SOLER Marc | 701.05 |
16 | ACKERMANN Pascal | 660 |
17 | MAJKA Rafal | 564 |
18 | BAX Sjoerd | 349 |
19 | BENNETT George | 318.43 |
20 | ALVES OLIVEIRA Rui Filipe | 310.48 |
2023Jumbo-Vismaのポイントランキング
1 | VINGEGAARD Jonas | 6304.07 |
2 | ROGLIČ Primož | 5603.36 |
3 | VAN AERT Wout | 4762 |
4 | KUSS Sepp | 2612.5 |
5 | LAPORTE Christophe | 2311 |
6 | KOOIJ Olav | 1907.57 |
7 | BENOOT Tiesj | 1773 |
8 | VALTER Attila | 794.36 |
9 | VAN BAARLE Dylan | 538.5 |
10 | KELDERMAN Wilco | 535.5 |
11 | VADER Milan | 464 |
12 | VAN HOOYDONCK Nathan | 452.57 |
13 | VAN DIJKE Tim | 362.33 |
14 | FOSS Tobias Svendsen | 264.57 |
15 | DENNIS Rohan | 223.57 |
16 | BOUWMAN Koen | 205.86 |
17 | GLOAG Thomas | 175 |
18 | TRATNIK Jan | 141.93 |
19 | AFFINI Edoardo | 112.76 |
20 | OOMEN Sam | 107 |
次にこれら2つのデータについてもう少し詳しくみてみよう。
分析
まず上でまとめた各チーム上位20人について、総ポイント数、平均値などを見てみよう。
特徴量 | UAE-TeamEmirates | Jumbo-Visma |
---|---|---|
合計ポイント数 | 30958.18 | 29651.45 |
平均 | 1547.90 | 1482.57 |
中央値 | 890.36 | 499.75 |
最大値 | 7695.86 | 6304.07 |
最小値 | 310.48 | 107 |
標準偏差 | 1722.69 | 1881.48 |
上位20名の合計ポイントで比較するとUAEのほうがJumbo-Vismaより1300ポイントほど多く、上述のようにそれがそのままチームランキングのポイント差となっている。
また各チームの選手が、そのチームの平均の周囲にどれぐらい集まっているか(乱暴にいえば、能力の差がどれぐらい少ないか)を示す標準偏差はUAEのほうが少し小さい。つまり、UAEのほうがチームメイト間の能力格差がちょっとだけ少ない傾向にあると考えられる
次に棒グラフで見てみよう。←がUAEのグラフ、→がJumbo-Vismaのグラフだ。
上でまとめた各チームの上位20名ポイント数の順位表ではわかりにくかった両チームの差がこれで少し明確となっただろうか。注目すべき点は2つ。
- Jumbo-Vismaのほうが4400ポイント以上を稼ぐ選手が多い
- UAEのほうが低ポイント数の選手の数が多い
上位20名について正規分布のグラフにしてみる。
青がUAEのグラフ、赤がJumbo-Vismaのグラフだ。正規分布のグラフはそれぞれの頂点の横軸座標ところにそれぞれの平均がある。そして正規分布のグラフは平均を挟んで左右対称になるのが特徴だ。
この正規分布グラフを見ると、やはり平均のところの縦軸座標でグラフ間の隙間が大きい。一方でその他のところではほとんど同じような重なり方だ。
以上のことからすると、UAEが1300ポイント差でJumbo-Vismaを上回り1位になれたのは、ポイント数で下位の部分の選手層が厚かったといえるだろうか。もちろんそれはあくまで2023年だけの話だし、レース展開や作戦によっていくらでも変わることだが。
そういえば、今年からチーム上位20人までのポイントが有効になったのでしたね。
過酷なワンデイレースで、アシストだからとバンバンDNFしていた選手も、なんとか完走+60位以内に入って1ポイントでももぎ取ってこいみたいになったりして。
降格システムの実装以来、昔のようにエースだけが頑張ればいいという時代ではなくなったという感じブヒね。
そしてアシスト陣の中でもリーダー的な選手や准エースもしっかりとそれなりの順位でゴールする必要があるブヒね。
特に降格圏内にあるチームはその必要性が高いブヒね。全てのレースで誰もが気を抜けない時代に・・・