レビュー
Rapha






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来年からロードレースでもノーモバリックチャンバーの使用拡大か?
チームSkyが起こしたロードレースの革命の1つにマージナルゲインがある。ごく小さな改善の積み重ねによって最終的に大きなパフォーマンスの向上につなげるという考え方だ。現代ロードレースでは、どのプロチームもエアロ性能、食事、タイヤ性能、ウェアなど様々な面から徹底的にアプローチし、それらの知見を活かしてレースで有利に立とうとすることは当たり前になっている。
そのマージナルゲインの1つに、一酸化炭素吸引トレーニングがあったのだろう。しかしこのトレーニング方法はUCIとWADAによって禁止となる。
一方で今年、INEOS Grenadiers、SoudalーQuickStep、Alpecin-Deceuninckが春のクラシックとジロ・デ・イタリア前に使っていた新たなマージナルゲインのための設備があった。それは、ノーモバリックチャンバー(Normobaric Chamber)と言われるものだ。
情報源:The next marginal gain: Cycling’s obsession with gas
ノーモバリックチャンバーという、この聞き慣れない設備だが、これは常圧のままでより濃度の高い酸素や調整された濃度の水素などを気密空間に供給できる装置だ。これを上記3つのプロチーム、そしてアメリカのパラ・サイクリングチームが今年使っていたとのこと。
その目的は選手の疲労回復を早めること。例えば、ノーモバリックチャンバーを使用したスポーツ選手はより深い眠りができるようになったりするらしい。
このように高い濃度(もちろん限度はある)の酸素と水素を吸引することは肉体に様々な良い効果があるようだ。少し前に流行った(科学的根拠はわからないが)水素水も抗酸化作用があると宣伝されていたことを思い出してもらうとわかりやすいか。
ただ、おそらくみんなも知っているだろうが、このノーモバリックチャンバーなどの濃度調整のできる酸素・水素マシーンは特に新しいものではない。これまでもサッカー界など他のスポーツでも使われてきたことを聞いたことがあるのではないか。
その科学的な根拠・メカニズムについては、超文系人間の🐷があれこれ書かないほうが良いので省略する。情報源記事や各種論文をチェックしてほしい。なお酸素などのこうした働きは、2019年に生理学・医学賞でノーベル賞をとった研究と大きな関わりがあるようだ。
ロードレースではそのゴールライン通過後すぐに、加圧ソックスを履いたり、チェリージュースやプロテインジュースを飲んだり、炭水化物の補給をしたりといったことが行われているが、そうしたことも回復を早めるためだ。
そうしたことに加えて今後はノーモバリックチャンバーの使用が広まっていくのかもしれない。
特に疲労回復効果の向上は3週間走り続けるグランツールでこそ大きな効果を発揮すると思われる。レース後に選手らが行う一連の儀式(プロセス)にノーモバリックチャンバーでの「ガス摂取」が新たに加わるのかもしれない。