マチューとワウトがいなくなるシクロクロスの未来と課題。グラベルレースとのコンビネーションが鍵か?
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今年のシクロクロス世界選手権は、10年にわたるマチュー・ファン・デル・プール(Mathieu van der Poel) vs ワウト・ファン・アールト(Wout van Aert)のライバル関係、そしてそれぞれがロードレースでもスター選手となっているという事情もあり、これまで以上の注目と大観衆を集め、大成功の大会だったといえる。
だが、そんなシクロクロス界にも考えるべき課題はある。それは、マチューとワウトがいなくなったときにどうするか、そして、「非常に近い」分野のグラベルレースとの関係性をどう考えていくべきかだ。
情報源:Cyclocross needs to plan for future without Van der Poel, Van Aert says organiser
シクロクロスレースがロードレースよりも優れている点
シクロクロスレースが持つ、ロードレースと比べたときの個性・優位性について、Flanders ClassicsのCEOであるTomas Van Den Spiegeは、次のような点をあげる。l
- 1時間前後でレースが終わること
- 男女が実質的に平等であること(ロードレースだと女子のほうが距離が短いとか、レースの種類が少ないとかがある)
- 周回コースなので、観客はレースをずっと見続けられる。
- 周回コースなので、大会スポンサーの名前などがずっと観客や視聴者の目に映り続ける
今後のシクロレースのあり方
上のTomas Van Den Spiegelは、マチューやワウトといったスターがシクロクロスをやめたときにどうなるか。そういった今後のシクロクロスのあり方を考えた場合、現行のレースカレンダーなどを改革する必要があると考えている。
2021年にUCIがシクロクロスのワールドカップシリーズのレース数を増やしたとき、それ以外のシクロレースの主催者は激怒したことだろう。
だがシクロクロス界は、ワールドカップシリーズが少ないクリスマスシーズンにレースを多くいれるようにすることで、それに対抗した。この試みは上手くいっているようだ。
だがTomas Van Den Spiegelそれでも今後のことを考えると十分ではないと考えていて、新しいレースカレンダーのあり方をゼロから創造することを考えているようだ。
そんな中でアイデアとしてあるのが、シクロと近い分野のもので、近年世界中で急成長しつつあるグラベルレースと組み合わせて年間のレース予定を作ることだ。
特に北米で人気のグラベルレースの選手やファンを、ヨーロッパが本場のシクロクロスレースへ取り込むことができれば、シクロ人気も拡大できる。さらに経済面では、北米でのグラベルレースにおけるスポンサーがシクロクロスにもやってくるかもしれない。現状は、北米グラベルレースで大会スポンサーを務める企業は、バイクメーカーなどは別として、あまりシクロクロスには手を出していない。スポーツ超大国でありスポーツビジネスの超大国アメリカで動くマネーはやはり魅力的だ。
同CEOは、シクロの親戚のようなグラベルレースは脅威ではなく、相互補完できる関係にあると語る。たとえば冬はシクロ、夏はグラベルのように。