ゲラント・トーマス「近頃のロードレースは・・・」
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近年のロードレースは19歳~23歳の若い新人がプロデビューしてすぐに勝利を挙げたりなど強さを見せつけることが普通になりつつある。トム・ピドコック(Tom Pidcock)、レムコ・エヴェネプール(Remco Evenepoel)、タデイ・ポガチャル(Tadej Pogačar)などがまさにそうだ。
そんな新人類の台頭が続くプロトンの状況について、代表的ベテラン選手で37歳のゲラント・トーマス(Geraint Thomas)が、「昔とは全く状況が変わった。まるでジュニアのレースかU23のレースを走っているみたいになっている」と語る。
ゲラント・トーマスこと通称Gは、レッドブルのポッドキャストで次のように語る。
“There’s less respect for each other. Everyone just goes where they want, chopping each other up, whereas before you’d fight for position but it would be a bit more calm. Whereas now it’s just bonkers.”
訳「昔と比べて今のプロトンにはお互いのリスペクトが減っているんよ。今はみんな好き勝手にバラバラに動いとるわ。以前はポジション争いの場面でももうちょっと穏やかやったけど、今はもうめちゃくちゃや」
“That respect and that hierarchy in the peloton, it kind of was a good thing in a certain way, but now it’s just every man for himself, dog-eat-dog,”
訳「かつてはリスペクトやヒエラルキーというものがプロトンに存在してて、それが上手く機能していたこともあったけど、今はもうほんまにみんな自利的で、食うか食われるかの争いになっとる」
また、レース展開も昔はもっとまったりしていたが、最近はスタート直後からフルスロットルで、レース中の集中力も昔よりも長時間要求されて4時間も5時間もずっと集中して走り続けなければならない状況だとも話す。
さらに、かつてはプロ選手でもガチでプロらしくトレーニングしたり栄養管理していたのは40人~50人ぐらいだったが、今はもう300人レベルでみんな本気でトレーニングしたり栄養管理を行っていると語る。
そして、チームもかつてはエースクラスの選手だけをしっかりと世話していたが、今では全ての所属選手の1人1人をしっかりと管理し面倒をみるように変わったとも言う。
プロトン全体の平均レベルや平均時速が上がったとはよく言われるが、こうした変化が背景にあるのだろう。
そうした恩恵を最も受けているのが今の若手や新人選手かもしれない。最新のトレーニング理論、最新の心理学とメンタルトレーニング、そして最新のデータ分析・・・などなどこれまでは限られた一部の選手だけがやっていたことを若いうちから普通に取り入れたり指導されたりするようになり、新人の時点でのレベルが大幅に上がっているのだと思われる。