イネオスはヴィスマやUAEに勝てない現実を踏まえ、グランツール総合を諦めステージ優勝狙いに切り替えるべきか?
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INEOS Grenadiers(元チームSky)は2010年のチーム創設以来、特に2012年のブラッドリー・」ウィギンスによるツール・ド・フランス総合優勝をきっかけにグランツール最強チームとして君臨し、グランツールを含むステージレースで数多くの勝利を重ねてきた。
だがクリス・フルームの大怪我からの移籍、そしてなによりヨナス・ヴィンゲゴー、レムコ・エヴェネプール、タデイ・ポガチャルといった新世代の化け物たちの台頭により、INEOS Grenadiersのグランツール支配力は大きく衰えている。
そしてINEOS Grenadiersはこの1年少しでチームの中心となってきた首脳陣や選手が一気にいなくなり、来年から体制が抜本的に変わってほぼ新チームのような様相を呈している。
そんな同チームは来年からグランツールの戦略を大きく変えるべきなのではないか?
イネオスの戦力不足
たしかに今のINEOS Grenadiersでも予算はワールドチーム中最上位グループであり、UCIポイントという点でも降格の危機とはずっと遠いところにある。それだけ見ればチームとしては安泰と言えるが、結局それは「これまで」の話であり、新体制となる「これから」はどうなるかわからない。どの業界・業種でも同じことだが、現状を維持するためには変わり続けるしかない。それができないと沈んでいくだけだ。
その生まれ変わる新INEOS Grenadiersのチーム戦略として、元プロ選手のボブ・ロールとブレント・ブックウォルターは、「INEOS Grenadiersはグランツール総合成績を捨てて、ステージ優勝狙いに切り替えるべき」と主張する。
彼らは、ポガチャル、レムコ、ヴィンゲゴー、さらにはログリッチもいないイネオスでは彼らに対抗するのは難しく、単純にVismaやUAEらと総合優勝を争う戦力が足りないと考えている。
パワーメータが全ての時代の終わり
チームSkyは2010年代にパワーメーターによる徹底的なパワー管理でロードレースの戦い方を一変させたわけだが、そこから10年が経った現代のプロトンはもはやそれをやるだけで優勝できるようなレベルにはない。
INEOS Grenadiersもそんな現代のプロトンのレベルに適応し、変化しなければ生き残れないと彼らは考える。大きな方向転換は簡単なことではないが、冷静に現実を受け止めグランツール総合優勝を狙う戦略を捨てるべきだと主張する。