レビュー
Rapha



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なぜリドル・トレックは、ジロを走る予定だったマティアス・スケルモースをツール・ド・フランスに出場させることになったのか?
Lidl-Trekから少し前に今年のツール・ド・フランスについて、エーススプリンターとしてジョナサン・ミラン、そして総合エースとしてマティアス・スケルモースを出場させるということが明らかになっていた。
まずジョナサン・ミランについては、登れるスプリンターでありクラシックスペシャリストでもあるマッズ・ピーダスンとの共闘も考えられたが今年のツールではミランだけが出場し、ピーダースンの出場はないことが確定している。今年のチームの戦略という観点ではミランとピーダースンでスプリントステージを共有・分け合うという選択肢は現実的ではなかったからだ。
そして総合成績を狙うために選ばれたエースがマティアス・スケルモースだが、昨年はブエルタに出場し、特にそのブエルタで総合5位となり大きな結果を出した。
そのスケルモースは昨年の時点では今年はジロ・デ・イタリアに出場する予定になっていて、本人もその気マンマンでいた。だがしかし、突如チーム側からツール・ド・フランスに回ってくれと要望があり、ジロを捨て今年のツールに出場することとなった。
一体なぜリドル・トレック側はそのように彼の予定を変更させたのか?
チーム側がそうせざるを得なかったのは、昨年のツール・ド・フランスでの不甲斐ない内容にスポンサー側が不満をもらしたからのようだ。
2024ツールではエーススプリンターとしてステージ優勝を狙うはずだったマッズ・ピーダスンが第8ステージをDNSで途中リタイア。その後残ったメンバーもステージ優勝をあげることができず、最終的にはジュリオ・チッコーネが総合3位のレムコからも20分以上遅れて11位がチームの最高順位だった。つまりなにも得られなかったと言っても過言ではない結果だった。
これは予想だが、おそらくメインスポンサーのリドル社から「おいおいー、あれだけ予算増やしてやったのにこの結果はちょっとないんじゃない?」みたいな不満が伝えられたのではないだろうか。
そこで24歳という若さの将来のエースとしてスケルモースをツールに出さざるを得なくなったという事情のようだ。最近は若いエースが活躍するのがロードレース界のトレンドであり、リドル・トレックとしても若い選手を前面に出していきたいという想いもあるだろう。
スケルモースは2023年にツール・ド・フランスデビューを果たしており、今年は2回目のツールとなる。本人としてはブエルタ→ジロ→ツールという順番のステップアップを計画していたのだが、いきなりのツール中心スケジュールへと変わる。
ただスケルモースとリドル・トレックがいきなりタデイ・ポガチャルやヴィンゲゴーたちとバチバチにやりあうには何もかもが足りてないわけで、まずは総合トップ10を狙うことになるだろう。ステージ優勝で目立つのはジョナサン・ミランに任せるか?
しかしリドル・トレック側はジョナサン・ミランのためのトレイン要員とスケルモースの山岳アシストとの両方をツール向けに用意しなければならないので、チーム編成におけるバランスの取り方がとても難しい。最終的にどのようなバランスの編成なるのかはわからないが、その点に注目したい。
一方でリドル・トレックはグランツール表彰台を狙えるエースを他チームから獲得しようともしているもよう。
ただポガチャルらとやり合えるようなエースというのは実際いないため、実質的にはポガチャルらのいないグランツールで表彰台を狙えるエースという考えになるだろう。