今夜、魔の山モン・ヴァントゥ！2025ツール・ド・フランス第16ステージのコースプレビューと優勝予想

第16ステージのコースデータ: モン・ヴァントゥ決戦

ご覧のとおり今日の第16ステージはとてもわかりやすいシンプルなコースとなっている。魔の山モン・ヴァントゥがその全てだ。ぐぁーっと平坦を走り最後にぐぉーっと登るだけ。

ツール・ド・フランスといえばモン・ヴァントゥ、モン・ヴァントゥといえばツール・ド・フランスとっても過言ではないかもしれない象徴的な山で、直近だと2021年第11ステージに登場。このときは1日に2回登るというトチ狂ったコースだったが、1回目はジュリアン・アラフィリップが1位通過、しかし2回目はワウト・ファン・アールトが1位通過、そのままステージ優勝となり、脚質ワウトを世界に知らしめた1日だった。

さて、今日のモン・ヴァントゥは山頂フィニッシュで登坂距離は15.7km、平均斜度8.8%。きつい。

今日最大の注目点は中間スプリント？

今日はクライマーや登れるパンチャー系の選手がたくさん逃げそうだ。というのも翌第17ステージは平坦ステージであるためそういった選手は逃げに乗らないと予想されるからだ。乗っても勝機がない。

そしてプロトンはその大きな逃げをあっさり容認する可能性は少ないのではないか？

総合系チームについていえば、もちろん逃げのメンバー次第だが、UAEはポガチャルが2位に対してかなり余裕のあるタイム差をつけているため、UAEはVismaの動きだけ見ていればいい。Vismaが動かなければUAEも動く必要はない。

一方Vismaのヴィンゲゴーは、ポガチャルとの差よりも3位のRed Bull-BORA-hansgroheのフロリアン・リポヴィッツとの差のほうが近い。VismaはUAEはもちろんRed Bullの動きのほうにも注意しなければならないが、モン・ヴァントゥに入るまでは動かないだろう。

このように総合系チームは大きな逃げを容認しても問題ないだろう。

あるチームだけはそんな大逃げを容認したくない。それはLidl-Trekだ。なぜなら中間スプリントでジョナタン・ミランを確実に1位通過にしたいからだ。

現在のポイント賞争い1位はミランだが2位のポガチャルとの差が28ポイントしかない。もしポガチャルが今日ステージ優勝すれば30ポイント付与されるためその差がいっきに消える。

明日の17ステージでミランが中間スプリントを1位通過（20ポイント）、さらにステージ優勝（50ポイント）すれば合計70ポイントで大きく差を広げられるが、仮に明日ミランにトラブルが発生してポイントが全く稼げないと非常に不味い事態になる。

また、同ランキング3位のマチュー・ファン・デル・プールとの差も41ポイントであり、逆転される可能性はまだある。そのためマチューが逃げに入る可能性は高い。よってLidl-Trekもこのマチューを中間スプリントで1位通過させないために逃げにメンバーを送り込みたい、もしくは中間スプリントまでに逃げを完全に潰したい。

したがって今日の中間スプリントまでは、Lidl-Trekがミランのために、逆にそのライバルでマチューのポイント賞逆転にかけるAlpecin-DeceuninckがLidl-Trekを妨害し、マチューの中間スプリントポイント獲得のためにプロトンをコントロールするのではないかと予想される。

優勝予想

上述のようにタデイ・ポガチャルにはまだポイント賞獲得の可能性が残っている。もちろん山岳賞も十分に可能性があるわけだがポガチャルがそのポイント賞すら手に入れようとするならば、必ずモン・ヴァントゥで動く。

結局毎度のとおりポガチャル次第となるわけだが、ポイント賞まで手に入れようとするかといえば･･･たぶんその可能性は薄いような気がする。

一方で山岳賞1位のレニー・マルティネス（レニマル）はなんとしても同2位のポガチャルとの差を広げたい。その差は僅差だ。そのため今日は逃げに乗るだろう。そしてモン・ヴァントゥで絶対に攻撃をしかける。仮にそうしなければポガチャルにやられるに決まっている。少なくともポガチャルはポイント賞よりも山岳賞のほうを狙うだろう。

よってレニマルが逃げに乗らない、かつ、中間スプリントまでに逃げが潰されればタデイ・ポガチャルがステージ優勝。そうでなければレニマルが動いてかーらーのー、ベン・ヒーリーまたはヴァランタン・パレパントル（弟パントル）のどちらか。

迷うが、個人的に好きなベン・ヒーリーで！