レビュー
Rapha


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トム・ピドコック「ツールは退屈でクソ」
昨年、INEOS GrenadiersからQ36.5へとまさに電撃的な移籍となったトム・ピドコック。いうまでもなく東京五輪とパリ五輪でともにMTBで金メダルを獲得したイギリスのスター選手で、ロードレースでもアムステル・ゴールド・レースやストラーデ・ビアンケといったビッグレースで優勝、さらにツール・ド・フランスでもステージ優勝を挙げている。
INEOS Grenadiersのクラシックエースだった彼だが、上述のように契約途中でいきなりチームのレベルとしては格下となるProTeamのQ36.5へ移籍した背景には、ツール・ド・フランスのドキュメンタリー番組で示唆されていたように、INEOS Grenadiersにおけるツール・ド・フランスのチーム戦略と彼の希望との間に大きな溝があったとされている。
そのピドコックがツール・ド・フランスについて「退屈なだけでクソ」だという感想を持っていると話す。
トム・ピドコックとツール・ド・フランスといえばまず初出場となった2022年ツール・ド・フランス第12ステージを思い出す。そこで彼はいきなり超級山岳ラルプ・デュエズを独走優勝。華々しいツール・ド・フランスデビューとなった。またそのツールではチームメイトのゲラント・トーマスが総合3位でフィニッシュした。
その2022年ツールについてピドコックは自身のステージ優勝とGの総合3位ともにすごい経験だったと語る。ただそれ以降の2023・2024のツールについてはどちらもあまり目立った活躍はできず、2022年のような楽しさ・感動はなく、走るためのモチベーションを再発見しなければならない状況だったようだ。
ツール・ド・フランスは世界最大の祭典であるため、選手、特にスター選手にかかる注目、期待、プレッシャーはどれも最大のものになる。彼自身はこの2年間その期待に応えられていなかったことは正直に認める。
INEOS Grenadiersというチームとしてはツールは特別な舞台であり、そして総合表彰台こそが最大の目標。
だがトム・ピドコック自身は別にツール・ド・フランスでしか輝けない選手だったり、ツールだけを目標にしている選手ではない。MTBやシクロクロスはもちろんワンデイレースでも勝てる選手だ。そのためツール出場とそのステージ優勝を特別重要だと考えるわけでもないし、その必要もない。つまりツールはピドコックにとって特別な大会ではないとも言える。
しかも出場した(させられた?)ツールでは自由な走りは許されない。
この点につき、マチュー・ファン・デル・プールとも関連してピドコックは次のように述懐する。
“I remember one day riding at the back in the Tour and Van der Poel was just in front. I didn’t speak to him, I didn’t say anything, but I could just see from his body language that he was kind of feeling the same as me, in that ‘this is just boring, this is crap’,”
訳「いつだったか覚えてるのは、あるツール・ド・フランスのステージで自分がプロトン後方で走ってたとき、マチュー・ファン・デル・プールが前方にいたことがあって、まぁ話しかけたり、何か言ったりはしなかったんだけど、マチューの仕草で彼も自分と同じこと感じてるだろうなとわかったわけ。つまり、『ツールはマジ退屈。クソだわ』ってこと」
“He wasn’t enjoying it, even though you’re in the biggest race in the world and there’s thousands of people cheering.”
訳「マチューはツールを楽しんでなかったね、そりゃツールは世界最大のレースで、何千もの人が沿道で声援おくってくれるのも事実だけどね」
そしてピドコックは、「マチューはアルカンシェル着てたし、基本的にはリードアウトマンとしてアシストの仕事が任されていたから、なおさら退屈だと思ってたんじゃない?」と話す。
あくまでピドコックという目を通してのマチューの理解の仕方であり、マチュー本人がそんなことを言っていたわけではない。
ただマチュー本人のこれまでのツール・ド・フランスについてのコメントでは、さほどツールを面白いとは思ってなさそうというのは伝わってくる。
マチューが巻き込まれてて草。
マチュー「ほんとそれ・・・」