2026ジロのブルガリアスタートが危機。内閣総辞職の混迷とチーム側への補償金問題が影響

来年度の2026ジロ・デ・イタリアについては下の過去記事で伝えたようにすでにそのグランデパールも全コース・全日程が発表されている。

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その2026ジロのスタートはブルガリアだが、そのブルガリアスタートにはなにやら暗雲が立ち込めているらしい。それが直面している主要な問題は2つあるようで、ブルガリア国内の政治状況とワールドチームなどの参加料だ。

情報源：Political turmoil and team unrest threaten 2026 Giro start

要因1：ブルガリアの政治状況

今年の2025ジロ・デ・イタリアはヨーロッパの火薬庫バルカン半島のアルバニアからのスタートだったが、来年もまたバルカン半島にある国のブルガリアからスタートということで、2年連続の火薬庫からの大会発射となる。

そのブルガリアの現地ジャーナリストによると、ブルガリア政府はジロ・デ・イタリア主催者のRCSに対してジロ誘致の対価として1250万ユーロ（約23億円強）を支払ったとのこと。

さてここで「ユーロ」と書いたが、実はブルガリアはこれまでユーロを通貨として導入していなかった。しかし今年の7月にEU理事会がブルガリアのユーロ導入を正式に承認。来年1月1日から同国でユーロが導入されることになっていた。

決して大国ではないブルガリア経済にとって通貨の安定性は最重要課題でもある。ユーロ導入でそれが実現されるというわけだ。（なお、ユーロをまだ導入していないEU加盟国は、チェコ、デンマーク、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、スウェーデン）

しかしそのブルガリアだが、今月11日に内閣が総辞職している。その主な理由は汚職だ。そうした問題に起因する抗議デモが大規模化・激化していた。同国は今年の1月に中道右派政党などが連立政権を発足させたばかりだった。

その結果、今後誕生するであろう新政権がジロ・デ・イタリア開催を本当にサポートするのかどうか不透明になっている。

要因2：ジロ主催者側から参加チームへの補償金問題

ワールドチームをはじめ多くのチームが西ヨーロッパに本拠地を持っている。やはりレースが多い国の近くに本拠地を構えるのが様々な面で便利だ。もちろんコスト面でも有利である。

レース開催地への移動距離が長くなれば時間はもちろん、ガソリン代など機材の輸送費も交通費もかかる。おやつ代も増えるかもしれない。

そんな西ヨーロッパに本拠地を持つチームにとっては、ヨーロッパの東側にあるブルガリアへの移動はかなりの長距離移動となる。必要機材の輸送だけでも相当の手間・時間、そして金がかかる。

そのためUCIルールではなく紳士協定的なものによって、これまでレース主催者側が参加チームにそうした増大するコストの補償金のようなものを支払っていた。いくつかのチーム関係者が言うには、通常はだいたい€50,000～65,000（約920万円～1200万円）とのこと。

ただプロチーム側に言わせれば、こんなのは焼け石に水程度の額でしかないとのこと。

プロチームが作る団体AIGCPがプロチームに実施したアンケートによると、チーム側はブルガリアスタートなら主催者RCS側から€160,000（約3億円）は欲しいと答えたようだ。仮にそれが満額支払われたとしてもRCS側には、ブルガリア政府から受け取った額からそれらを差し引いて16億円強が残る計算となる。

ただ実際にはRCS側はそうした要求額は多すぎると拒否したようで、€115,000（約2100万円）を提示したものの、チーム側もそれを拒否したとのことだ。

そして12月1日に上述のようにジロのコースが発表されたわけだが、その後RCS側は前回のオファーから少しだけ増額して€125,000（約2300万円）を提案したものの、やはりチーム側はこれを拒否。

現時点でこの移動・輸送コスト問題は解決していない。今後の課題となっている。

まとめ

以上のように、来年度のジロ・デ・イタリアのブルガリアスタートには、ブルガリア政府の政治的な混迷という問題、そして参加チーム側のコスト増大に伴う補償金問題という2つの問題が横たわっている。

これらがどのように解消されるのか、はたしてブルガリアスタートは本当に実現するのか？