絶対王者ついに陥落！！2022ツール第11ステージの感想・ハイライト動画・結果

今日は今大会初の超級山岳が登場する。アルプス三連戦の真ん中の日。総合争いにとって重要な1日となるステージだったが、おそらく誰もが「まさか･･･」と思った展開となったのではないだろうか。

そう、あの絶対王者にバッドデーが訪れた。

第11ステージのコース

以下の記事を見ておいてほしい。

【2022ツール】超級ガリビエ峠登場！今日の第11ステージのコースの概要

展開と感想：最後の超級山岳

1つ目の超級山岳のガリビエ峠：ユンボ・ヴィズマの揺さぶり！

コロンビアンスプリンターのフェルナンド・ガビリア（Fernando Gaviria）と間違えやすいが、ガビリエ峠ではなくガリビエ峠。

ここでユンボ・ヴィズマが積極的にポガチャルに揺さぶりをかける作戦に出る。

しかしこれらの動きをポガチャルは1人で対処し、ことごとくユンボの作戦を潰していく。

最後の超級グラノン峠で衝撃の光景が！

この日最初の超級山岳ガリビエ峠を超えて総合エースらは1つにかたまったまま、続く超級山岳のグラノン峠へ。

グラノン峠に突入してもJumbo-Vismaは、ワウト・ファン・アールトがその役割を終えて下がったものの、その後はプリモシュ・ログリッチ、セップ・クスも残って万全の状態で若きエース、ヨナス・ヴィンゲゴーをアシスト。

一方でライバルのUAEはポガチャルを守るのはラファウ・マイカ（Rafał Majka）ただ1人。マイカは昨日の火曜日の朝にコロナ陽性が判明していたが、昨日も出走し今日も走っている。今日の走りを見てもなんの影響もないようだ。

イネオスはアダム・イエーツ（Adam Yates）とゲラント・トーマス（Geraint Thomas）。チームDSMはロマン・バルデ（Romain Bardet）、そしてアルケアのナイロ・キンタナ（Nairo Quintana）もこの集団に残っていた。

そしてこの集団から少し遅れてGroupamaｰFDJの3人衆。そこにダヴィ・ゴデュ（David Gaudu）がいた。

また先行して逃げるのはキンタナのチームメイトのワレン・バルギル（Warren Barguil）。

まずは総合エースらの中からキンタナが飛び出す！

このキンタナがかなりいい感じで走行。

(‘A`)「これはコロンビアの王だわ」

と感じさせる力強く安定した走りでガンガン前の選手らをブチ抜いていく。山岳賞ジャージを着るシモン・ゲシュケ（Simon Geschke）も先にいたがそれも捕まえる。

一方で先頭をひた走っていたキンタナのチームメイトのバルギルは、謎のアルケアの伏兵にアシストされるものの、残り5kmとなったあたりで完全に力尽きてしまう。一瞬ペダルを止めてしまうほどの消耗ぶりで、完全に精根尽き果てたという感じで弱々しくなんとか前に進んでいるという感じ。

そして後方から追い上げたキンタナがついに2分以上前にいたバルギルを追い越す。その追い越しざまに、

キンタナ「俺の後ろにつけ！」

みたいなジェスチャーをバルギルにしたように見えたが、もうバルギルにそんな力は残っていなかった。もしバルギルにまだまだ力が残っていれば、キンタナと二人でまわってゴールまで突っ走れたかもしれない。そうすればアルケアのワンツーフィニッシュが見られた可能性はあっただろうか。

このあとキンタナに続きDSMのエース、ロマン・バルデ（Romain Bardet）も鋭いアタックを見せてキンタナを追撃。

だがそんなアルケア勢やバルデの望みを打ち砕き、そして絶対王者ポガチャルをも破壊した男がいた。

それがこの男。

ユンボのエース、ヨナス・ヴィンゲゴーだ。残り4.5kmからアタック。

なんとこれにポガチャルがついていけない。アシストのマイカも力尽きている。

ポガチャルはツール・ド・フランス3年目にして初めてのクラック！？バッドデー！？ついに若き英雄に最大の試練が訪れた！

ポガチャルが遅れるという衝撃的なシーンに誰もが「まさか・・・信じられない・・・」と思ったのではないか。ブタも、今日・明日とどうせポガチャルが勝つやろとすら思っていた。マジでアンビリーバボー。

ヴィンゲゴーはポガチャルを完全に置き去りにして爆走。ブタの脳内にはデンマークのヘヴィメタルバンドのロイヤルハントの曲が鳴り響いた。

ポガチャルはアダム・イエーツ以外の選手に完全において行かれてしまう。なぜかアダム・イエーツ（Adam Yates）はポガチャルと一緒に走っていた。もはやポガチャルをマークする必要もなかったと思うのだが。彼もきつかったのだろうか。

ポガチャルはさらに後方からやってきたGroupamaｰFDJのダヴィ・ゴデュにも抜かれて、結局アダム・イエーツからも遅れてしまい、完全に一人旅。

いつもはポガチャルが1人で飛び出して独走するという意味での一人旅だが、今日は完全に正反対。いつものような強さが感じられず、うなだれたような感じで走り続けた。

そんなポガチャルとは対照的にヴィンゲゴーはキンタナをも追い越してステージ優勝！

結局ポガチャルはヴィンゲゴーから2分53秒も遅れてゴール。これまで欲しいがまましていたマイヨ・ジョーヌを、山岳ステージで奪われてしまった。

ロマン・バルデも頑張った･･･

明日はどうなる？

さて明日はアルプス三連戦の最後の日。なんと超級山岳が今日より1つ増えて3つ登場する。名物の超級山岳ラルプデュエズがゴールの舞台だ。

今日の結果ヨナス・ヴィンゲゴーがマイヨ・ジョーヌを着る。つまりユンボ・ヴィズマがプロトンをコントロールすることになる。今まではUAEを攻撃する立場だったが、今度は攻撃される側に立つことになる。

はたしてユンボ・ヴィズマのアシスト陣は最後までヴィンゲゴーを守り切れるのか？

そしてチームUAEは明日どんな作戦を決行するのか。今日の反省を踏まえて作戦を修正することは出来るのか。

またポガチャルが大きくタイムを失ったおかげで、他の選手とポガチャルとのタイム差も縮小。そういった状況を受けてそれらの選手がこれまでよりも積極的にポガチャルやヴィンゲゴーを攻撃しようとするかもしれない。

ただどんな展開になったとしてもやはり鍵を握るのはタデイ・ポガチャルなのは確実だろう。

ハイライト動画

結果

ステージトップ10

順位	選手名	チーム名	1位とのタイム差
1	ヨナス・ヴィンゲゴー（Jonas Vingegaard）	Jumbo-Visma	0
2	ナイロ・キンタナ（Nairo Quintana）	Arkéa-Samsic	0:59
3	ロマン・バルデ（Romain Bardet）	DSM	1:10
4	ゲラント・トーマス（Geraint Thomas）	INEOS Grenadiers	1:38
5	ダヴィ・ゴデュ（David Gaudu）	GroupamaｰFDJ	2：04
6	アダム・イエーツ（Adam Yates）	INEOS Grenadiers	2：10
7	タデイ・ポガチャル（Tadej Pogačar）	UAE Team Emirates	2：51
8	アレクセイ・ルツェンコ（Alexey Lutsenko）	Astana Qazaqstan	3：38
9	ステフェン・クライスヴァイク（Steven Kruijswijk）	Jumbo-Visma	3：59
10	ワレン・バルギル（Warren Barguil）	Arkéa-Samsic	4：16

総合トップ10

順位	選手名	チーム名	1位とのタイム差
1	ヨナス・ヴィンゲゴー（Jonas Vingegaard）	Jumbo-Visma	0
2	ロマン・バルデ（Romain Bardet）	DSM	2：16
3	タデイ・ポガチャル（Tadej Pogačar）	UAE Team Emirates	2：22
4	ゲラント・トーマス（Geraint Thomas）	INEOS Grenadiers	2：26
5	ナイロ・キンタナ（Nairo Quintana）	Arkéa-Samsic	2：37
6	アダム・イエーツ（Adam Yates）	INEOS Grenadiers	3：06
7	ダヴィ・ゴデュ（David Gaudu）	GroupamaｰFDJ	3：13
8	アレクサンドル・ウラソフ（Aleksandr Vlasov）	Bora-hansgrohe	7：23
9	アレクセイ・ルツェンコ（Alexey Lutsenko）	Astana Qazaqstan	8：07
10	エンリク・マス（Enric Mas）	Movistar	9：29

各賞ジャージ

ジャージ	選手名	チーム名
マイヨ・ジョーヌ（総合首位）	ヨナス・ヴィンゲゴー（Jonas Vingegaard）	Jumbo-Visma
マイヨ・ヴェール（ポイント賞）	ワウト・ファン・アールト（Wout van Aert）	Jumbo-Visma
マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ（山岳賞）	シモン・ゲシュケ（Simon Geschke）	Cofidis
マイヨ・ブラン（新人賞：25歳以下）	タデイ・ポガチャル（Tadej Pogačar）	UAE Team Emirates