ついにUAEの牙城崩れる！2025ジロ第16ステージはXDSアスタナがワンツーフィニッシュ！リチャル・カラパスとサイモン・イエーツがイサーク・デル・トロからタイムを奪取！

第16ステージのコース

いつもどおりコースプレビューとレース展開・優勝予想は「獲得標高4900m！今日の2025ジロ第16ステージのコースプレビューと優勝予想」で。

感想・ハイライト

ログリッチはリタイアせず、「ジロ完走のために戦う」

第15ステージの遅れで事実上総合争いから脱落したRed Bull-BORA-hansgroheのエース、プリモシュ・ログリッチ。それまでの数度の落車による負傷の痛みが遅れの原因ということで、今後のことを考えればリタイアもあり得た。

しかし休息日の早い段階でイタリアのガゼッタ・デッロ・スポルト紙によってログリッチは第16ステージも出走すると報道された。

そしてログリッチ自身も第16ステージのスタート前に「総合争いではなく、今大会で生き残るために戦う」と意思表明。大会完走を目指して出走することとなった。

24名の逃げ

上の予想記事でも書いたが、やはり大人数の逃げが最初から形成された。その数24名。そこには予想していたように山岳賞ジャージを着るロレンツォ・フォルトゥナート、ぺリョ・ビルバオなどが入った。そしてその中にはワウト・ファン・アールトの姿も。ワウトは決定的瞬間のための前待ち作戦か？

ログリッチ、レース中にリタイア

完走のために戦うと話していたプリモシュ・ログリッチだったが、残り94kmとなった地点でリタイアが発表された。

1級山岳サンタ・バルバラで、アユソーが遅れる！

プロトンは10分近くの差を逃げとの間に容認していたが、1級山岳サンタ・バルバラが近づくにつれ少しずつ差をつめていく。

そして1級山岳のサンタ・バルバラに入るとその途中でEF Education-EasyPostがマリア・ローザ集団の先頭を牽引してペースアップをはかる。

ピュアクライマーではないがミッケル・フレーリク・ホノレが先頭にたち、そして次にジェフェルソン・セペダ（Jefferson Alexander Cepeda）へと交代。驚いたことにこのタイミングで遅れたのが、なんとフアン・アユソーだ。まぁそんな予感はしていたが。

そしてアユソーの周りにUAEのチームメイトが誰もいないことからすれば、完全にチームリーダーはイサーク・デル・トロであると確定したわけだ。アントニオ・チベリの予想は外れた。

関連記事：休息日に高度な情報戦。UAE「デルトロがチームリーダー」、アントニオ・チベリ「騙されないぞ、リーダーはアユソー」

最後の1級サン・ヴァレンティーノ、ついにUAEの牙城が崩壊！

サンタ・バルバラの下りで生き残った逃げの中からTudor Pro Cycling Teamのヤニス・ヴォワザール（Yannis Voisard）が果敢なアタックで一人抜け出すことに成功。

追走のクリスティアン・スカローニ、ロレンツォ・フォルトゥナート、ジェフェルソン・セペダ（Jefferson Alveiro Cepeda。EFのセペダとはいとこ）から40秒以上の差を稼ぐも、1級山岳サン・ヴァレンティーノの途中で彼らに吸収されてしまう。

そして残り11kmでセペダとフォルトゥナートが会話してるタイミングでスカローニがアタック！

スカローニとフォルトゥナートはチームメイトだが、まさかフォルトゥナートがセペダとわざと会話して、アタックの隙を作り出したのか？もしそうだとしたら、なんという策士、なんという作戦。

🐷「まぁただの偶然やろ」

二人は反応が遅れスカローニが独走を始めるが、このあと少ししてフォルトゥナートがセペダを置き去りにしてスカローニに追いつくことに成功。これで今日はXDSアスタナがワンツーフィニッシュか？

一方でマリア・ローザ集団ではワウト・ファン・アールトがサイモン・イエーツのために牽引。ワウトは完全にジロ中にコンディションを整えた。ツール・ド・フランスでも期待できそうだ。

ワウトの牽引が終わると、まずその集団からログリッチがいなくなったRedBullのジュリオ・ペリツァーリがアタック。しかし総合成績では脅威ではないためUAE勢を含めてこれをスルー。

そしてマリア・ローザ集団では、ついにサイモン・イエーツがアタック！

これにはデル・トロとリチャル・カラパスが反応。そして続けて、

カラパスがアタック！これにはデレク・ジーだけが反応するも彼もカラパスにはつけず！そしてカラパスはどんどんデル・トロたちと差を広げ、ついに先行するジュリオ・ペリツァーリをも捕まえる。

一方その後方では･･･

🐷「うあああああ！デル・トロここまでかああああ！！」

🐷「ついにUAEの牙城が崩れた！」

ラスト1kmの動画

XDSアスタナの完全勝利！またUCIポイントを大きく稼ぎ出した。ジロが終わったあとのUCIランキングが楽しみだ。

3位にはリチャル・カラパスに追いつかれながらも最後はカラパスを振り切ったジュリオ・ペリツァーリが入り、なんとこの日は1位～3位までイタリア人が独占ということとなった。

4位はリチャル・カラパスで残念ながらボーナスタイムは稼げなかったものの、イサーク・デル・トロから1分半以上タイムを奪うことに成功。また8位のサイモン・イエーツもデル・トロから50秒ほどのタイムを奪い返すことに成功。

UAEは第15ステージでライバル勢の波状攻撃にも耐えきり最強のチーム力を誇示していたが、ついにここにきてその圧倒的支配が崩壊。まだ山岳ステージが第19ステージ、第20ステージと残っていて、しかも第20ステージはあの凶悪なフィネストレ峠、しかもグラベル区間があるわけで。ジロの総合優勝がここにきて混沌としてきた。

視聴者としてはとてもおもしろくなってきたと言える。逆にUAEとしては苦い敗戦となった。フアン・アユソーも本来の実力なら今日遅れなかったかもしれない。だがそのアユソーは後半で大きく遅れてしまい、UAEの総合表彰台独占という野望は完全に潰えた。

もしアユソーが今日遅れなければ、今後デル・トロが大きく遅れてしまったときに、アユソーがエースとして総合優勝を狙うというプランもあり得たわけだが、それも実行不可能となったわけだ。

チーム力という点ではまだUAEが頭1つ抜けているとは思われるが、EF Education-EasyPost、そしてTeam Visma | Lease a Bikeとの三つ巴という構図になったわけだ。リチャル・カラパスとサイモン・イエーツの調子がかなり良さそうなだけにUAEが苦境に立たされているか？

レース全体のハイライト動画

結果

ステージトップ10

1	Christian Scaroni	XDS Astana Team	1位との差
2	Lorenzo Fortunato	XDS Astana Team	,,
3	Giulio Pellizzari	Red Bull – BORA – hansgrohe	0:55
4	Richard Carapaz	EF Education – EasyPost	1:10
5	Derek Gee	Israel – Premier Tech	1:23
6	Alveiro cepeda Jefferson	Movistar Team	1:43
7	Michael Storer	Tudor Pro Cycling Team	1:52
8	Simon Yates	Team Visma | Lease a Bike	,,
9	Gijs Leemreize	Team Picnic PostNL	2:19
10	Yannis Voisard	Tudor Pro Cycling Team	2:31

総合トップ10

1	Isaac del Toro	UAE Team Emirates – XRG	1位との差
2	Simon Yates	Team Visma | Lease a Bike	0:26
3	Richard Carapaz	EF Education – EasyPost	0:31
4	Derek Gee	Israel – Premier Tech	1:31
5	Damiano Caruso	Bahrain – Victorious	2:40
6	Egan Bernal	INEOS Grenadiers	3:23
7	Michael Storer	Tudor Pro Cycling Team	3:31
8	Antonio Tiberi	Bahrain – Victorious	4:07
9	Giulio Pellizzari	Red Bull – BORA – hansgrohe	4:36
10	Adam Yates	UAE Team Emirates – XRG	5:08

各賞1位

総合1位	Isaac Del Toro（UAE Team Emirates – XRG）
ポイント賞1位	Mads Pedersen（Lidl – Trek ）
山岳賞1位	Lorenzo Fortunato（XDS Astana Team ）
新人賞1位	Isaac Del Toro（UAE Team Emirates – XRG）