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Rapha






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英エアロセンサー企業Body Rocketが会社清算手続きへ。リアルタイムCdA計測はなぜ市販化に届かなかったのか?
イギリス・ブライトンを拠点とするエアロセンサー企業Body Rocketが、資産売却を進め、清算に向かっていることが明らかになった。
Body Rocketは2018年設立のスタートアップ企業で、パワーメーターペダル、空気速度センサー、そしてハンドルバーやサドル周辺のセンサーを組み合わせ、走行中にリアルタイムで空力抵抗を測定するシステムを開発していた。
その狙いは、風洞実験に頼らず、ライダーが実走環境でCdA(空気抵抗係数)を把握できるようにすることだった。
しかし、同社の主力製品は最終的に商業販売というステージに到達できなかった。そして同社は市販化を諦め、会社を清算する手続きに入るようだ。
Body Rocketは2020年にクラウドファンディングで25万ポンド超を調達。さらに2024年には約3,000ポンドからのパッケージで予約販売を開始していた。
それでも、プロトタイプ段階から量産・市販化へ移る過程で資金が不足。創業者で同社CEOのEric DeGolierは開発と商業化の間で資金が尽きたと説明している。
同社の直近の会計資料では、2025年8月31日時点で約31万ポンド(約6700万円)の赤字だったようだ。
現在は特許、商標、オフィス備品などを含む有形・無形資産を売却しようとしており、その買い手を探しているところだ。
Body Rocket社の構想は、ロードレースやタイムトライアルにおける空力最適化を、より多くのライダーに届けることで、「空力を身近にする」ことを目指したものだった。元プロ選手で、英国タイムトライアル王者でもあるアレックス・ダウセットも同社に関与していた。
従来、空力テストには風洞、トラック、専用機材、専門スタッフが必要で、費用面でもハードルが高い。Body Rocket社が目指したのは、実走中にCdAを確認し、ポジションや機材変更の効果をその場で判断できるようにするものだった。いわば「空力計測の民主化」と言えるかもしれない。
だが、精密な空力計測を市販製品として成立させるには、センサー精度、耐久性、キャリブレーション、量産コスト、ユーザー体験のすべてを高い水準で満たす必要がある。Body Rocketは技術的な可能性を示しながらも、資金不足によりその市販化という最終段階を越えられなかった。
今回の件は、ロードバイク業界における「空力計測の民主化」が決して簡単ではないことを示していると言えるだろう。
近年のロードバイクでは、エアロフレーム、ワイドリム、最適化されたタイヤ幅、エアロソックス、エアロヘルメットなど、空力性能は機材選びの中心的テーマになっている。
しかし実際にそうした装備・機材が本当にどれだけのパフォーマンスの向上につながっているのか、それをデータとして把握できなければ不便である。
ところが個々のライダーが実際にどれだけ空力的に改善したのかを測る日常的で身近な手段は現時点ではほぼ存在しないと言って良いだろう。
パワーメーターを使ったデータ主導(データドリブン)の方法論がロードバイクのトレーニグを大きく変えたように、CdAをリアルタイムで測れる機材が普及すれば、ポジション調整や機材選択はさらにデータ主導になる可能性がある。しかしBody Rocketの事例は、その理想をビジネスとして成立させる難しさも浮き彫りにしたと言える。
Body Rocketが清算に向かうことは、リアルタイム空力計測そのものの価値が否定されたことを意味しないのではないか。
むしろ、プロチーム、プロ選手、トライアスロンの選手、そして機材開発者たちにとって、実走環境で手軽に空力データを計測できるというのは需要があるのではないだろうか。
問題は、技術の価値と、市販製品としての完成度、価格、サポート体制、コストなどとの総合的なバランスにある。
そうしたバランスが取れた市販製品が生まれれば、この分野も一気に市場が拡大するかもしれない。