【超重要】UCIがレースポイント配分を修正！グランツール、モニュメントなどの重要度アップとポイント増加、イスラエル・プレミアテックの救済など変更多数！

UCIがこれまでのポイント配分システムを変更すると発表した。その結果、グランツールでのステージ優勝のポイント配分が増加したり、モニュメントが独立した特別なカテゴリーとなりこれまで以上のポイントを得られたりするなど、大きな変化が加えられる。

UCI公式：Modification of points scale for men’s events in UCI International Road Calendar

修正の背景

背景その1：奇妙なねじれと不平等：注目度の高いレースは稼げなかった

このブログでも何度も紹介してきたが、今年度末のワールドチームの降格戦争については、2020〜2022年の3年間の総合ポイントが基準とされていた。

しかし、レースごとのポイント配分が不公平だと批判されてきた。簡単にいえばグランツールでステージ優勝するよりも、他のマイナーレースで優勝したり上位に入るほうがポイントを稼げるというアベコベな状態だった。

たとえば、ツール・ド・フランスでステージ優勝すれば120ポイントだが、それより格が下のカテゴリーのワンデイレースで勝てば125ポイント稼げることもあった。

今回のUCI発表でそのような奇妙なズレが解消される方向に向かう。

背景その2：強い選手の戦線離脱によるリスク

また、そのような不合理なズレとともに、これまでの制度では強い選手（エースなど）が、なんらかの理由（コロナ感染とか）でレースができなくなった場合にその不在によるポイント減少が、チームのポイント獲得活動に大きすぎる影響を与える可能性があった。

しかし、今回の修正で（理論上は）そうしたリスクがより減少する方向に改善される。

修正内容1：グランツールの配分ポイントアップ

具体的に何ポイントがどのように配分されるかはまだ未発表だが、UCIの発表では次のように書かれている。

increase in the number of points attributed by the three Grand Tours – the Tour de France, the Giro d’Italia and the Vuelta Ciclista a España (final general classification, stage and secondary classifications);

ここではっきりとグランツール全てで、最終総合成績、ステージ優勝、そして、各種の賞についてのポイントが増加されると書かれている。

修正内容2：モニュメントが特別扱いへ

creation of a special category for the five Monuments (Milano-Sanremo, Ronde van Vlaanderen, Paris-Roubaix, Liège-Bastogne-Liège and Il Lombardia) with a greater number of points attributed to them compared with the other one-day races on the UCI WorldTour;

またこの部分では、ミラノ〜サンレモ、ロンド・ファン・フランデレン、パリ〜ルーベ、リエージュ～バストーニュ～リエージュ、イル・ロンバルディアの5つのレース、すなわちモニュメントについて、特別なカテゴリーとして扱い、配分ポイントを増やす方向が示された。

こちらも具体的にどのようなポイント数でどのような配分となるかはまだ未発表だ。

修正内容3：通常のワールドツアーとProシリーズでもポイント配分増加

increase in the number of points attributed during stages of races of the UCI WorldTour and of the UCI ProSeries; in future, points will be awarded for finishes lower than third place (all the way down to fifth, tenth or 15th, depending on the competition);

また上記グランツールとモニュメント以外のワールドツアーのステージレースやProシリーズのステージレースでもポイントをより多く得られるようになる。

というのも、これまでグランツールやモニュメント以外のワールドツアーのステージレースでは、その日のステージ順位1位〜3位までの選手にしかUCIポイントは付与されなかった。

それが上のUCI修正では、3位より下の選手たちにもUCIポイントが付与されるようになる。具体的に何位までの選手にポイントが付与されるかはレースごとに変わる。

これもどのようなポイント数などになるかはまだ不明。

修正内容4：世界選手権や五輪でもポイント増加

increase in the number of points distributed during the Olympic Games and the UCI Road World Championships (road races and time trials in the Elite categories).

最後の世界選手権とオリンピックについても、エリートカテゴリーのロードレースとタイムトライアルでその配分されるポイントが増える。

修正内容5：UCIワールドチームランキングの基準が変更

Furthermore, the UCI World Ranking for teams, which up until now has been determined by the total points obtained by the best 10 riders in each team, will now be calculated on the basis of the results of the best 20 riders (which corresponds to the minimum number of riders for UCI ProTeams).

これまでワールドツアーチーム間のチームランキングは、各チームごとにその選手のうちUCIポイントが多い順に10人を抽出し、その10人の総計ポイントを基準にして、チーム間のランキングを決定していた。

しかし、今後はその10人が20人へと変更される。これはUCI ProTeamが保有すべき選手数の最小人数と同数となる。

修正内容6：ワイルドカード枠の変更。実質的にイスラエル・プレミアテックの救済？？

The system of mandatory invitations to UCI WorldTour races has also been modified, on a temporary basis. For the 2023 season, any UCI ProTeam which lost its UCI WorldTeam status at the end of the 2022 season due to sporting criteria and which is not one of the teams eligible for mandatory invitations (as set out in article 2.1.007 b of the UCI Regulations) will automatically receive invitations to stage races (with the exception of the Grand Tours) and one-day UCI WorldTour races.

そして最後にワールドツアーレースのワイルドカード枠に2023年は変更が加えられる。

なんど来年からProTeamへ降格となったチーム、つまりロット・スーダル（来年からロット・デスティニー）とイスラエル・プレミアテックの2チームだが、これら両チームとも自動的にグランツールを除くワールドツアーレースにワイルドカード枠として招待される権利を与えられる。

たとえこの修正がなかっとしても、ロット・デスティニーはそもそもProTeamランキング1位となるため、自動的にグランツールも含めて全てのワールドツアーに参加できる。これは今年までのアルペシン・フェニックス（Alpecin-Fenix）と同じ扱い。

そこで問題なのは、やはりイスラエル・プレミアテックだった。

しかしこの修正によって同チームは、グランツール以外はワールドツアーに出場できることになる。これはもはや実質的にイスラエル・プレミアテックについての救済策と言えるだろう。