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Rapha



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ピドコックが提案するプロトンの速度を落とすための革新的なアイデアとは?
近年UCIが力を入れるのがロードレースとプロトンの安全対策。直近の話題としてはハンドルバーの幅を制限したり、ホイールのリムの高さを制限したりといったものがあった。また一部のレースではギア比制限がテスト的に導入されることにもなっている。これまでこのブログではその点に関するネタを紹介してきた。関連記事として以下の記事を再び読んでもらいたい。
・UCIの評議会がツールのワイルドカード枠増加とギア比制限テストの案を可決
・8/1からSRAMの一部ギア比が使用禁止となるレースあり。UCIによる最大ギア比制限のテストで禁止されるギア比とは?
・ギア比制限の抜け道?
そんな安全対策だが、今年からQ36.5で走る東京五輪金メダリストで今年のヨーロッパMTB王者トム・ピドコックは、そうした装備面・機材面での対策を超えた、より革新的な対策を提案する。
ピドコックの主張はこうだ。まずギア比の制限については、
“Restricting gears will only make things more dangerous,”
訳「ギア比制限はただレースをより危険にするだけ」
このように明確に反対の立場を取る。
その理由としてピドコックは、ギア比制限により最大速度が落ちるとプロトンの誰もが同じ最大速度でしか走ることになるが、それは選手間の速度に差がつかないこととなり、プロトンはバラバラになりにくく、今よりも密着した状態で走らざるを得なくなるからだと話す。
ピドコックは、安全向上策を目的としたプロトンの速度制限には、ギア比制限など機材に依存した手段ではなく、異なるアプローチを取るべきだと考えている。
そして彼がプロトンの速度を落とす唯一の方法として提案するのが、
if we carry on like this, maybe we should all have a carb limit and be forced into ketosis. That’s the only way to slow the races down
訳「もしプロトンの速度を落としたいのならば、炭水化物制限を導入し、選手をケトーシス状態に陥らせればいい。それが唯一の方法だ」
ここで言うケトーシス状態というのは、体内のケトン体が増加した状態を表す。なぜ増加するのかといえば、人間はブドウ糖が不足すると脂肪を分解してエネルギーを得ようとするわけだが、そのときにケトン体が増加するからだ。
つまりピドコックは炭水化物を制限することで糖を不足させ、肉体をエネルギー不足にすれば当然にスピードは落ちる。こう主張しているわけだ。
もちろんピドコックは本気でこんなことを提案しているわけではないだろう。イギリス人お得意の皮肉だったり、ブラックジョークというものだろう。
ピドコックとしては、
people should focus on more important things
訳「もっと重要なことに焦点を当てたほうがいい」
これがピドコックの言いたいことだ。
ハンドル幅の制限とギア比制限というものは重要度は低く、そうした機材面・装備面のことばかりがニュースのヘッドラインで世間を騒がせるが、そうではなくもっと重要なこと(例:コース設計のあり方、道路上の標識のあり方、危険物の除去)をしっかりと議論すべきだという考えだ。