レビュー
Rapha




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ポガチャルが鍛えるのは「脳」。レース前に行うウォーミングアップの本当の意味とは?
特に今年からだろうか、タデイ・ポガチャルが伸縮性のあるゴムバンドを使ってチームバスの近くでウォーミングアップをしている様子を見たことがないだろうか?次のようなシーンだ。
This is how Tadej Pogačar’s warm up before the race looks like. 🤔 #UAETour
— Lukáš Ronald Lukács (@lucasaganronald) February 17, 2025
🎥: erwin_cyclist pic.twitter.com/WLzTAFwCBx
これについて映像では「prevent injury(怪我を防ぐ)」という説明が付与されているが、UAE Team Emirates – XRGのスタッフが言うには、実はこのウォーミングアップの主眼はそうしたことでもなく、また体幹トレーニングというわけでもないらしい。
このウォーミングアップの真の目的は「脳」だと言う。
UAE Team Emirates – XRGと長く仕事をしている理学療法士Michele Del Galloが言うには、テストの結果多くの選手が左右のペダルの出力に差があるとわかったとのこと。その左右差はパワーロスにつながるなど非効率性を生み出す原因となる。
そしてそのちょっとした非効率性の積み重ねが長いレース時間を経た最終局面での決定的な場面で勝者と敗者を分ける差となり得る。
では左右の脚の絶対的なパワーや筋力そのものが問題なのかといえば、そうではないようだ。
というのも筋肉はしょせん筋肉でしかなく、それはあくまで脳からの指示によって動くものであるからだ。どれだけしっかりトレーニングをして強靭な体幹と脚を持っていたとしてもそれを100%活かせないのならば意味がない。つまり脳が上手く機能していなければ筋肉は上手く動かない。
UAEはこうした脳による運動制御能力をいかにして向上させるか、それを重視しているようだ。問題は脚ではなく脳だと言う。
そこでUAEはトレーニングの焦点を変更した。ジムなどでのインターバルやパワートレーニングよりも、いかに脳が適切な指示を筋肉に出せるか、それを鍛える方向に舵を切ったのだ。もちろんジムでパワートレーニングや体幹トレーニングを全くやらないわけではない。
それの象徴があのレース前のゴムバンドを使ったウォーミングアップだ。
上述の理学療法士は、レース前にそのウォーミングアップをすることで脳の運動制御能力に刺激が入ってその能力が向上する効果があると言う。それによって左右差のない効率的な筋肉の使い方ができる。選手の体がもつ本来の能力を十分に発揮できるわけだ。
無意識にかつ自動的に脳がそのような適切な指示を筋肉に送れるようにすることがそのウォーミングアップの主眼だ。
そして驚くべきことに、レース前のその5~6分のウォーミングアップの効果がレースの最初から最後までずっと続くという点だ。
UAEはこのウォーミングアップをレースの当日だけでなく、トレーニングキャンプでも行っている。もちろんグランツールの休息日でも。とにかく脳から指令の自動化を定着させるために。
このウォーミングアップによる「脳の運動制御能力の強化」こそがUAEの強さの秘密なのか?