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ジロの新責任者ルカ・グエルチレーナによるジロ改革について。タイムトライアル増加へ?
これまでジロ・デ・イタリアのコースディレクターとして長年コースを設計してきたマウロ・ヴェンニが今春で引退し、2026ジロ・デ・イタリアはコースディレクター不在のままで開催された。
その後、彼の後任となったのがLidl-Trekの前ジェネラルマネージャーだったルカ・グエルチレーナだ。
今回ルカ・グエルチレーナはジロ・デ・イタリアのコース設計をこれまでとは異なる方向に変革を加えたいと語った。
情報源:New director Guercilena hints at more time trialling on Giro route
ルカ・グエルチレーナは、2026年9月1日付でジロを主催するRCS SportのHead of Cyclingに就任した。
グエルチレーナはイタリア紙La Gazzetta dello Sportのインタビューで、以前からタイムトライアルを好んできたと語り、今後はジロ・デ・イタリアにおけるその存在感を再び高めたいとの意向を示した。
重要なのは、単純に平坦なタイムトライアルを増やすことではない。個人タイムトライアルと山岳ステージのバランスを改善し、総合優勝を狙える選手の幅を広げることが構想の中心にある。
近年のグランツールでは、山岳で高い登坂力を持つ選手が有利になるコース設定も目立つ。タイムトライアルの距離が増えれば、純粋なクライマーだけでなく、レムコ・エヴェネプールのように独走力を武器とする総合系選手にもジロを選択する理由が生まれるわけだ。
より多くの有力選手に総合優勝への門戸が開かれるならば、そうした選手の参加が増える。それは大会の魅力アップにも当然つながる。
今年の2026ジロ・デ・イタリアでのタイムトライアルは、全長42kmの個人タイムトライアルが1つのステージで行われただけだった。
これに対し、2026年のツール・ド・フランスでは開幕日に19kmのチームタイムトライアル、第3週に26kmの個人タイムトライアルが設定された。
42kmという距離は決して短くないが、それだけではエヴェネプールにジロ出場を選ばせる材料にならなかったと情報源記事は指摘している。
グエルチレーナの発言は、タイムトライアルに強い総合優勝候補を呼び込むため、コース全体におけるTTの重要性を高める可能性を示すものだ。ただし、現時点で具体的なステージ数や距離が決定したわけではない。
グエルチレーナが掲げる大きな目標の一つが、ジロ・デ・イタリアをこれまで以上に国際的なレースへ成長させることだ。
その対象は選手だけではない。チーム、スポンサー、テレビ放送事業者にとっても魅力的な大会にする必要があると考えている。
一方で、トップ選手に対して個別に出場を働きかける手法には否定的だ。著名選手を探して招くのではなく、トップ選手の側から出場したいと思われるレースを作ることが重要だとしている。
タイムトライアルと山岳のバランス改善も、この考え方に基づくものだ。特定のタイプの選手だけが有利になるのではなく、異なる能力を持つ総合系選手が勝利を目指せるコースになれば、スタートリストの充実にもつながる。
グエルチレーナは、ジロの開催時期を現在より1週間遅らせるようUCIに働きかける方針も示した。
RCS Sportとしてはイタリア共和国記念日の6月2日を毎年ジロの開催期間に含めたいようだ。
ツール・ド・フランスがフランス革命記念日の7月14日を開催期間に含むのと同様に、国の祝日を大会の価値向上に結びつけたい考えである。
開催時期を遅らせることには競技面のメリットも期待される。春先のアルプスでは悪天候や積雪によりコース変更を迫られることがあるが、日程を後ろへ移せば高山地帯の気象条件が改善する可能性がある。
さらに、ロンド・ファン・フラーンデレンやパリ~ルーベを目標とする選手が、クラシック終了後に回復する時間を1週間多く確保できる。これによって、春のクラシックで活躍した有力選手がジロに出場しやすくなることも期待されている。
グエルチレーナは、Lidl-Trekのトップをアンディ・シュレクへと交代した後、RCS Sportと3年契約を締結した。
その3年間に取り組む目標として、次の三つを挙げている。
これらはそれぞれ独立した要素ではなく、有機的に関係しあうものである。
すわなち、早期にコースの方向性を固めればチームや選手は年間スケジュールを立てやすくなる。参加選手が充実し有力選手の出場が増えれば、国際的な注目度が高まり、放映権やスポンサーにとっての価値向上にもつながるというわけだ。
グエルチレーナは現代のロードレースには世界的な視野が必要であり、組織として協力しながら大会を運営する方針を示している。
今後のジロでは、上述のようにタイムトライアルの距離、山岳ステージとの配分、開催時期という三つの要素が大きな焦点になりそうだ。
タイムトライアルの増加が実現すれば、レースの勝敗構造だけでなく、どの総合優勝候補がジロを年間目標に選ぶかにも影響するだろう。
グエルチレーナの改革は、ジロを「クライマー中心のグランツール」から、多様な能力を競う国際的な大会へ進化させる試みとなる可能性があると考えられる。