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イネオス(Ineos)が英政府に660億円の融資を求める。その理由とは?

なぜイネオスグループのPetroineos社が英国政府に融資の相談をしているのか?

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チームイネオスのスポンサーである巨大化学企業イネオス(Ineos)が、英国政府に対して5000万ポンド(約660億円)の融資(ローン)を求めていることがわかった。

情報源(Sky News):Coronavirus: Ineos tycoon’s venture seeks government loan



目次


(1) イネオスグループのPetroineos社について

(2) なぜ政府に融資を求めるのか?




(1) イネオスグループのPetroineos社について



今回のこれは、チームイネオスどうこうとは直接的な関係はなく、企業としての活動に関係するもの。新コロ助によって現時点でチームの運営資金が足りないとかではない。

ちなみに正確にいえば、今回英国政府にローンを求めているのは、イネオスグループに属するPetroineos社である。この会社はイネオスグループの創業者Jim Ratcliffeと、中国の石油企業の中国石油天然気(PetroChina)とがオーナーである。

中国石油天然気は字面からして中国の国営企業か?とも思われるが、もともとは国営の中国石油天然気集団公司に属していたが、後に民営化され、実はなかなか国際色豊かな民間企業となっている。たとえばかつてはキッシンジャー元アメリカ合衆国国務長官が同社顧問だったこともある。

それではなぜ企業として政府にある種の救済を求めるような行動に出て、政府と交渉しているのか?

(2) なぜ政府に融資を求めるのか?


それは日本のTVや新聞でも少し前に報道されていたが、石油価格が下落しているからである。

なぜ下落しているのか?それはそもそも新コロ助の影響で世界経済が冷え切っており、企業の生産活動や人々の経済活動、移動が停滞しているからである。つまり、石油の需要が大きく減っている

ならば石油の採掘量を減らして価格調整を行えばよいのではないかという話になるが、中東の石油産出などで作るOPECプラス内部で意見が対立し、減産がなかなか行われなかった。

特に対立が激しかったのが、ロシアとサウジアラビアである。

世界最大の輸出国のサウジは当初からOPECプラスで減産を主導しようとしていたが、ロシアがなぜかそれに難色を示し、増産を継続すると主張。

この舐めくさったロシアの態度にサウジの王族がブチぎれ、サウジも増産の方針を明らかにした。サウジの狙いはロシアの石油政策を破壊すること。

石油の需要が減っている中で、サウジも増産を続ければ石油価格は暴落する。石油を採って販売するコストはサウジのほうが安く、ロシアのほうがずっと高い。さらにロシアの市場シェアはサウジよりもずっと小さい。

そこでサウジは言うことをきかないロシアの石油産業・石油政策を潰すため、価格競争をしかけたというわけ。サウジ怖い。

おかげで石油の先物市場は歴史に残る大暴落を記録。

ようやく最近になってどちらも頭が冷えたのか、双方減産に合意となった。このような経緯がある。

今回のPetorineos社の話の前提となる事実はこのようなものである。

ただ、それでもやはり世界的に石油がダブついてるのは間違く、今後もすぐに新コロ助から世界経済が立ち直るとは考えにくいので、しばらく石油価格の低迷は免れない。

それは石油会社であるPetorineos社に大きな不利益をもたらす。そこで、Jim Ratcliffeが政府に融資の相談というわけである。

というわけで、今回の融資話は直接的にはチームイネオスとは関係がないわけだが、イネオスグループ全体の状況が悪くなれば当然、チームへのスポンサー料も減らそうという流れになるかもしれない。そういう意味では、チームに対して薄いけれども間接的な影響が及ぶかもしれない話でもある。





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