打倒UCI?プロレース改革プロジェクト「CCG」とは?目指す改革の内容は?

プロロードレース改革「CCG」とは?21チームが参加見込み、放映権収入と予算上限をめぐりUCI・ASOと攻防へ

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ここ20年の間でも何度かプロロードレースの構造改革ついての動きがあった。ただそのどれもがいつのまにか下火になっていたり、実を結んだとは言えずに消えていったものばかりだった。

近年のアラブ地域の中東が中心となって構造改革を目指す動き「One Cycling」があったが、それもいつのまにか(UCIの抵抗があった)地表の下に沈んでいったように思われる。

しかしそれでもプロレースの構造改革を目指そうとする動きは消えていないようだ。

なぜならプロロードレースの経済構造を変えようとする新プロジェクト「Collective Cycling Group(CCG)」が、発足に向けて動き始めているからだ。

CCGは、実業家でピナレロQ36.5プロサイクリングチームのオーナーでもあるイヴァン・グラゼンバーグが主導する改革構想だ。男子ワールドツアー、プロチーム、女子ワールドツアーから約20チームが株主として参加する見込みで、過去の改革案を上回る支持を集めているという。

一方、UCIも独自の改革案を準備している。

世界最大の自転車レースであるツール・ド・フランスを運営するASOを交え、誰がプロロードレース改革を主導するのか、その主導権争いが勃発しそうだ

今回の記事ではそんなロードレース改革の現在の動きをまとめておく。

情報源:The next battle to reform pro cycling is here

Collective Cycling Group(CCG)とは?

CCGは、以前「TeamCo」と呼ばれていたチーム主導の改革プロジェクトの新名称だ。

中心人物は、ピナレロQ36.5プロサイクリングチームのオーナーである実業家の億万長者アイバン・グラゼンバーグだ。CEOにはオリバー・シースラ、EF Pro Cycling社長のミア・ノルマンも運営に関わっている。

このアイバン・グラゼンバーグ主導のこれまでのプロジェクトについてはこちらの過去記事を読んでもらいたい。

→過去記事「ロードレースビジネスモデルに新しい改革プロジェクトの動き?」

プロロードレースでは、チームの収入がスポンサー契約に大きく依存する一方、有力レースの放映権や商業的価値を十分に共有できていない。

CCGは、複数のチームが商業権をまとめて管理することで、新たな収益源を生み出し、交渉力を高めようとしている。

過去の改革構想「One Cycling」との最大の違いは、発足前の段階で男子・女子を合わせたプロチームの過半数に相当する支持を集めていることだ。

CCGへの参加が見込まれる21チーム

情報源メディアのEscape Collectiveによると、男子ワールドツアーから15チームがCCGの株主になる見込みだ。

現時点で参加しないとみられる男子ワールドツアーチームは、次の3チームである。

  • UAE Team Emirates – XRG
  • Alpecin-Premier Tech
  • Jayco-AlUla

男子プロチームでは、次の3チームが参加する見通しだ。

  • Pinarello-Q36.5 Pro Cycling Team
  • Unibet Rose Rockets
  • Tudor Pro Cycling Team

独立した女子ワールドツアーチームからも、次の3チームが参加するとされる。

  • FDJ UNITED – SUEZ
  • Canyon SRAM
  • SD Worx

報道どおりなら、CCGは合計21チームを株主として発足する。One Cyclingよりも幅広いチームが参加する点で、過去の改革構想より実現に近づいている。

CCGが目指す3つのプロロードレース改革

CCGの設立文書では、主に次の3つの改革目標が示されている。

  1. 放映権などの商業収入をチームへ分配
  2. トップ選手同士の対戦を増やす
  3. 放映権などの商業収入をチームへ分配

このうち1つ目の目標である商業収入の各チームへの分配という点については、CCGは各チームの既存収入を拡大するとともに、共同事業によって新しい商業機会を創出する方針だ。

より、具体的には参加チームはCCGに対し、共同スポンサーシップ、レースデータ、舞台裏映像などの商業権を独占的に利用するライセンスを与える。その対価として各チームは、参加数に応じて推定5~8%のCCG株式を受け取る計画のようだ。

しかしその際、特にツール・ド・フランスなどを運営するASOとの交渉が最大の難関となるだろう。

2つ目の目標についてはまだ現時点で具体的な方法は判明していない。情報源メディア自身が提案する仮定的なものは記載されているが、あくまで情報源メディアの想像上のものでしかない。

3つ目の目標である予算上限規制などについては、具体案としてチーム予算の上限制度が検討される可能性があるもよう。UCIも別の改革として予算上限を推進しているため、この点では両者の構想が一致する余地がある。

初期投資は2500万ユーロ、7つの投資家が参加。Velonも買収か

CCGは初期投資家たちから合計2500万ユーロ(約45億円)を集める予定だ。この資金によって、発足直後から事業を進める財政基盤と交渉力を確保する。

記事で挙げられた7つの投資家は次のとおり。

  • アイバン・グラゼンバーグ(Pinarello-Q36.5 Pro Cycling Teamのオーナー)
  • シルヴァン・アダムス(元Israel-PremierTechのオーナー)
  • フィリップ・ハルト(EF Education-EasyPostの会長)
  • ズデネク・バカラ(SoudalーQuickStepのオーナー)
  • Team Visma | Lease a Bikeの持株会社
  • Lidl-Trekの持株会社
  • Bahrain Victoriousの持株会社

事業計画の内容次第では、投資会社や政府系ファンドなどから追加資金を募る可能性もある。ただし、CCGの発足そのものは外部資金を前提としておらず、上述2500万ユーロの初期資本で事業を開始できるという考えのようだ。

また2014年に9チームが設立し、現在はメディア事業やライブデータ事業を展開するVelonもCCGに買収される予定だ。

CCGの懸念要素:未完成の事業計画、離脱条項

このようなCCGだが不確定要素もあるようだ。最も懸念されるのは発足を目前にしながら事業計画がまだ提示されていないことだ。

さらに、計画に同意できないチームや初期投資家が、一定期間内に撤退できる離脱条項も追加されているもよう。

この条項によって懐疑的なチームも参加しやすくなった反面、事業計画の内容次第では株主数が急減する可能性がある。

会社を設立できても、参加者を拘束する力が弱いため発足時点では実効性を欠く組織になるとの見方も出ているもよう。

UCIも対抗策:独自案でCCGをけん制か

CCGがチームの最終的な参加を求める一方、UCI会長ダヴィ・ラパルティアンは、2026年9月3日のプロフェッショナル・サイクリング評議会で独自の改革案を説明したとみられている。

UCIは年初に関係者から改革案を募集し54件の提案を受け取ったもよう。

UCIは以前、CCGの前身とは異なる「One Cycling」を拒否し、参加を続ければチームのワールドツアーライセンスを剥奪する可能性まで示していた。今回もCCGを支持せず、参加チームに翻意を促す可能性がある。

CCG側もUCIからの反発を想定し、競争法と反トラスト法の専門弁護士を起用。UCI規則や欧州法に抵触しない組織設計を進めている。

ASOとの放映権交渉が最大の難関

CCGの改革を実現するには、ツール・ド・フランス、パリ~ルーベなどを運営するASOとの交渉が避けられない。ロードレースビジネスの中心はASOと言っても過言ではないだろう。

ASOが放映権収入の分配に応じなければ、CCGが掲げる商業モデルの中核は成立しにくい。一方、CCGにはASOの主要レースに出場する多数のチームが参加するため、従来よりも強い交渉力を得る可能性がある。

ただし、上で述べたようにUAE Team Emirates – XRGは現時点では参加しないとされる。つまりCCGはロードレースのスーパースターであるタデイ・ポガチャルを交渉材料にできない。

同時にAlpecin-Premier Techの不参加によっておなじくトップスターのマチュー・ファン・デルプールも交渉材料にできない。

この点を改革案の弱点と見る関係者もいる。

CCGはプロロードレースを変えられるのか?

CCGは、参加チーム数、2500万ユーロの初期資本、商業権の共同管理という点で、過去の改革案と比べて、より現実化しつつあるプロジェクトだと考えられる。

しかし、事業計画はまだ完成しておらず、参加撤回を認める条項もある。

さらに、競技を統括するUCIと最大のレース主催者ASOが反対すれば、放映権収入の分配や選手起用の調整を実現するのは容易ではない。

今後の焦点は、

  • CCGが予定どおり発足するか
  • 事業計画が75%以上の承認を得られるか
  • UCIやASOを交渉の場へ引き出せるか

といった点になるだろう。

プロロードレースの経済構造と主導権をめぐる争いは、2026年のオフシーズンに大きく動き出す可能性がある。

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