
安全強化はロードレースを衰退させる?
安全対策の強化でレースが消える?ドイツ・ツアー責任者が費用負担に警鐘
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今年もロードレースの安全性については多くの議論が世界中でなされた。
そのきっかけになったのは不幸にも死亡事故となってしまったフィンレー・ターリングの事件、イル・ロンバルディアでの選手の抗議などだった。
UCIも近年はレースの安全対策を強化しつつある(効果が出ているかどうかは別として)中で、レースの主催者側には昔よりも大きなプレッシャーがかかる状況になっている。
そのような安全強化の声が高まるなか、ドイツ・ツアーの大会責任者ファビアン・ヴェークマンは主催者の資金力を超える基準強化は大会の存続を脅かしかねないと警告する。
重い負担の安全管理コスト
発言の背景には、レースコースへの車両侵入などを受け、イル・ロンバルディアやパリ〜トゥールで行われた選手たちの抗議がある。
ただヴェークマンの見立てでは、ロードレースのうち9割のレースは利益を上げることができておらず(同氏のただの推測?)、さらなる安全対策のコストを負担することは大きな赤字・借金を背負い込むことにつながる。
ヴェークマンによればドイツ・ツアーの警察バイクは以前の40台から現在は約20台に減少したという。また、同氏が携わるミュンスターラント・ジロでは、安全確保に当たる約1,200人に報酬を支払っている。
道路沿いをすべて柵で囲む方法にも限界がある。14kmのコースなら両側で28km分の柵が必要になるとして、その費用をスポンサーだけで賄う難しさを指摘した。さらに、道路管理の制度は国ごとに異なり、共通基準を定めても実施条件まで一律にはできないと説明している。
安全なフィニッシュを作れず、開催を断る場合も
コースの安全対策はなにも人員や柵の配置だけで済むものではない。
安全確保から交差点などの交通島を撤去することもあるが、その場合は大会後にそれを復旧する工事をしなければならない。当然それにも費用がかかる。
ヴェークマンは、3か所の撤去・復旧に3万ユーロ(約530万円)の税金を使う場合、自治体には住民への説明も必要になるとも言う。
安全なスプリントフィニッシュを設計できず、ドイツ・ツアーの開催を希望する都市からの申し出を断ったこともあると明かす。
競技のリスクと事故からの改善
ヴェークマンは、雨の石畳を高速で走るパリ〜ルーベを例にして危険と競技の魅力が結びつく側面もあると話しつつ、事故から学び、改善を続ける必要性も認める。
今回の発言が浮き彫りにするのは、実行に必要な人員と資金をどう確保するかという課題だ。
本気で安全確保の強化に取り組めばかなりのコスト増加となり、上述のヴェークマンが語るように9割のレースがそのコスト増に耐えられないかもしれない。極論ではあるが、そうなれば安全対策の推進がロードレースを消滅させることにつながりかねない。
解決策とすればコースに進入した車両などに500万円以上の罰金を課すなどのルールなどの厳罰化も考えられるだろうが、そんなことをすれば、ただでさえ地元住民の生活環境に負担を課すロードレースの開催について否定的な住民などを増やすだけになりかねず、ロードレース文化の衰退となる可能性もある。
地元自治体からの補助金の増額にしても、ヨーロッパ全体の経済が縮小・弱化している中で、グランツールやモニュメントなどの超有名レースは別として、ロードレースだけ特別に多額の補助金というのも難しいだろう。
結局のところレースの規模ごとにどこかで落としどころを探るしかない。













