最速のリムブレーキ用カーボンホイールは?Roval、Enve、Hunt、Zipp、DT Swissの比較実験データ
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今回はみんなの大好物、カーボンホイールで最もエアロ性能が高いのはどれかというデータの紹介。といっても、全ブランドの全ホイールを実験したわけではなく、英国のホイールブランドHunt社が下記の実験対象となったホイールに限定して行った、風洞トンネルでの実験結果の紹介となる。
その実験結果は下のリンクからどうぞ。
さて、このブログでは上記データを全て紹介するのはめんどくさい(本音)ので、おそらく読者諸君が一番気になるであろう結果だけ紹介しておく。
目次
実験の条件・方法
まず最初に実験対象となったホイールと、実験方法についておおざっぱに説明しておく。
実験対象となったホイール
- Roval CL 50
- ENVE 4.5 SES
- HUNT 52CA
- ZIPP 303 NSW
- DT Swiss ARC 1400 Dicut 48
だいたい、どれもリムハイトは50mm前後のものでそろえてある。ただし、だいたいね。だいたい。そういう意味では科学的厳密さがあるとは言えないか。そこはご愛敬。あくまで参考程度に。
実験方法
- タイヤにContinental GP5000の23Cと25Cを利用
- ヨー角をマイナス20度~プラス20度まで変化させる
- 時速45㎞で走り続けて、ヨー角の変化に応じてどれだけの抵抗がかかるか、その平均を取る
なお、ヨー角とは次の画像の通りに定義する。
この図でいうBの角度( 黒線と緑線の間の角)がヨー角。
実験結果
Continental GP5000の23Cの場合の結果
ConfigurationContinental GP 5000 23c | Mavic calc WAD Power [Watt] @45km/h | Power difference [Watt] |
Roval CL 50 | 71.155 | 0.000 |
ENVE 4.5 SES | 71.927 | 0.772 |
HUNT 52CA | 72.392 | 1.236 |
ZIPP 303 NSW | 74.553 | 3.398 |
DT Swiss ARC 1400 Dicut 48 | 75.422 | 4.266 |
「 Mavic calc WAD Power [Watt] @45km/h 」という項目の数値が小さいほうが、抵抗が低いということ。ただ、あくまで上述のようにヨー角を「ー20度~+20度まで変化させた時の平均(算術平均)」の数値であって、ある特定のヨー角(あるいは特定の範囲)では順位が入れ替わることもある。平均では弱くとも、たとえばヨー角+20度のときは最強というのもあり得るってことね。
「 Power difference [Watt] 」という項目は、1位のホイールとの「差」を表している。単に引き算したもの。ロードレースでいう秒差。
Continental GP5000の25Cの場合の結果
ConfigurationContinental GP 5000 25c | Mavic calc WAD Power [Watt] @45km/h | Power difference [Watt] |
Roval CL 50 | 71.153 | 0.000 |
ENVE 4.5 SES | 73.074 | 1.920 |
HUNT 52CA | 73.386 | 2.232 |
ZIPP 303 NSW | 74.548 | 3.395 |
DT Swiss ARC 1400 Dicut 48 | 76.163 | 5.010 |
まとめ
23Cと25Cの両方の場合で、1位はSpecializedのカーボンホイールRoval CL 50となった。Roval強すぎる…
また、普通は23Cと25Cでは、後者のほうがタイヤの幅が広くなり重くなるはずなので風の抵抗により影響を受けやすい。しかし、Rovalの場合は両方の場合でほとんど値が変わっていない。これもRovalの優秀さを示すと思う。28Cの場合はどうなるか不明。
一方、特徴的なのがZIPP 303 NSW。23Cのときよりも25Cのときのほうが抵抗が少なくなっている。すごい。ていうか誤差か?
このような結果となった。
しかし、あくまでこれは上記Hunt公式による実験の一部だけを紹介したもの。たとえば他のリムハイトならどうなるかについても実験がなされている。また、その他にもいくつか実験がなされている。たとえば、同社が新しく販売したカーボンホイールCarbon Aerodynamicist(3種類のリムハイトで展開:52,、62、82mm)シリーズ間での比較データなども掲載されている。
興味あれば全文を読んでみてね。
こういうので「うちのが一番凄い!」じゃなく自社が一番じゃなくてもちゃんとデータ出すところが好印象ですねえ。
前に風洞実験の生中継もしてましたし、Huntとしては信頼性と値段で勝負ってことなんでしょうか。
尖った製品の開発には資金力がモノを言うはずなので、資金力に優れる大企業とまともに勝負するのは難しいかもブヒね。
そうなると、自社の経営戦略や製品のアピール方法・内容も変わると思うブヒ。
Hunt社としてはまさに情報公開の透明性や信頼性とか親しみやすさ、あるいはユニクロ的な「コスパで勝負」という感じかもしれないブヒね。